神さまをおろす、

その人へとの出会いを運んでくれたのは、

ある宿でのことだった。



その宿に泊まることにしたのは、

バリのウブドに来て、1週間がたった頃だった。





宿は、バリらしいしつらえのビラで、

オーナーは、バリの人であり、



インドネシア国内で、シェフとして活躍したのち。リタイアして、おいしい食事が愉しめる

ビラをやっているらしい。



世界中から彼に手間暇かけた

スローなインドネシア料理を

習いにやってくる。ミシュラン星を

獲得したことがあるとか、





なんとなく、我が家の旦那さんも

料理に関わる人なので、



2人が出会うと、おもしろいことが

起こるんじゃないかと、

宿を予約してみることにした。



その宿は、ウブドの中心からは外れていて、

村を抜けて、田んぼ道を抜けて、

夜は、ほとんど明かりのないところにあった。



到着すると、気さくなバリ人の若いスタッフ

の人たちと、3匹の動物が出迎えてくれた。



(部屋の窓から見る夕暮れ、雲と空がきれい)




(宿の守り主のような優しさで、訪れる人の側にそっと寄り添う、宿の動物の一匹、mia)


(いつも、寄り添いにきてくれた)



部屋から見える景色は、

これまで泊まっていた場所と比べても、

かなり、自然が深い。



川でお風呂にはいるおじさんがいたり、

聞いたこともない、鳥の鳴き声が聞こえたり、

野犬がうろうろしている。



東南アジアで、なんどか野犬に追いかけられた

記憶があり、道を歩き、野犬とすれちがうときは、体がこわばる。



「はは、噛みやしないよ〜」と

バリの人に笑われながら、散歩をすると



そこは、まるで私が生まれたばかりの頃の

日本のような、懐かしさがある。

カエルの合唱に、田んぼの匂い。



宿のオーナー、シャーマンへと橋渡し



それは、まったく予期せずにやってきた。



宿泊して二日目のこと、

たまたま2人目の石使いのヒーラーに

会うことが決まり、





ロビーで車の手配をしていたとき、



オーナーが、おはよう、とやってきて、

「今日は、どんな風に過ごすんだい?」



と聞いてきた。



オーナーは、よいおじさんという感じで、

60歳手間くらいだろうか?



動物たちと、奥さんと、

余生をビラの経営を楽しみながら

過ごしているようにみえる。




わたしは、


「ヒーラーに会うのだ、、」

と正直に言うか、一瞬ためらった。



なぜなら、ヒーラーという言葉にまつわる、

感覚というのは、人によって、

嫌悪感を示す人もいる。



現に私も、バリバリに生きていたときは、

ヒーラーという存在に不思議な魔力を感じて

いたものの、どこか怪しく、訝しい、



弱っている人につけ入る

という偏見をもっていた。





けれど、1人目のヒーラーから、

もっと、ハートを開いていきなさい



と言われた言葉が、こだましたとき、


口からは、ごく自然と

「これから、ヒーラーに会いにいくんです」



とオーナーに話している自分がいた。




ヒーラーが身近である暮らし


オーナーのリアクションは、

想像を遥かに超えていた。



「ヒーラー?そうか、ヒーラーに会うんだね」



と、さも当たり前かのような、

返答だった。



「で?どんなヒーラーだい。

ほんものヒーラーにあうのは、

すごくむずかしい。

ただ単にお金儲けだけが目的の人もいるしね」



相槌をうちながら、わたしは、

自分のことについて、少しだけ彼に伝えた。



すると、驚くような

誘いかけをしてくれた。



「実はね、わたしの奥さんのいとこが、

シャーマンなんだ。普段は警官をしている。

会ってみるかい?ほんものシャーマンとは、ひっそりと、ごく身近な人たちだけに行っているから、見つけることができないんだ」



突然のことで、



私が、明後日には、

ウブドをでるんだ、というと、



「Ok, 2人は(夫婦でおろす役をしている)

バリの東部にいるから、そこへ連れていったあと、

空港の方まで、送ってあげるよ」



わたしは、内心、少し怖かった。

全然、イメージがわかなかったし、

わざわざ、また遠くまでいくのかな?

とか、



とにかく、具体的なことは

なにも、わからない。

情報がすくないし、そんな必要があるのかな?



とか、思考がいろいろ巡りはじめた。



でも、これは、流れだ。

こんな展開、起こるのはやはりおかしい。

会う必要があるんだろう。



宿を予約した方がいいという、直感は、

料理を軸に、なにか起きるかな?と

感じたからだが、



実は、夫のためではなく

私のために、もたらされたものだったのかなと、

その時、わかった。



彼のお弟子さんが作るバリ料理は、化学調味料などは一切使わずに、どれも丁寧で最高においしかったが、オーナーシェフとは、料理の話では、まったく盛り上がらなかった…!)



ということで、

突如として、バリ東部にいるシャーマンの場へと

導かれた。



すこし、躊躇したが、

内なる奥の声は、いきなさいと伝えてくる。



それと同じように、

夫も、背中をおしてくれた。



「おもしろそう、いったらいいよ」



彼もまた、いろいろ苦しかった

20歳ごろにカンボジアに旅をして




たまたま、泊めてもらった

現地の人のおばあちゃんがシャーマンであり、

素敵で温かなメッセージを与えてもらった

という、原体験がある。




ほんとうに不思議だけれど、

こうしたことが起こるのは、

なぜなのか、いろいろなことが

わかりはじめて、心が温かくなった。



あとは、恐れずに

のるか、そるか。



いざ、シャーマンの元へ。