【78】卑屈な心 | 〈 追 憶 の 向 こ う 側 〉

〈 追 憶 の 向 こ う 側 〉

筆者のリアル体験物語。「社内恋愛」を題材にした私小説をメインに、創作小説、詩を綴っています。忘れられない恋、片思い、裏切り、絶望、裏の顔―― 全てが入った、小説ブログです。


『どうせ、私は・・・』
―― 俯き、生まれてから何度、胸で呟いたか判らない言葉を、また呟く。

人から良く思われない、マイナスな言葉だ。
最初に言ったのは、いつの頃だったか。小学校低学年とか、中学年の頃には、自分を酷く蔑む人間になっていた覚えがある。

口喧嘩というより、些細な言い合いをした時。
高校生になった、多感な年頃の私に、母はこう言ってきた。

『あんたは、義理のお姉さんにソックリ。お父さんの方の血が強いのね。ああ、嫌だ』

父の実家、義理の兄姉との折り合いが悪く、母が父側の親戚を悪く言う事も、私には理解が出来た。
理不尽な、酷いことを言われたのを、子供だった私も聞いていたから。
私が、向こう側の味方になった事は一度もなく、母を庇っていたのに、この言われよう・・・。好きで似た訳ではないのに。

その場の勢いや、感情で言ったのかもしれないが、『嫌い』や、『嫌な子』と言われた事もあった。
子供の頃を思いだす時、記憶の中には必ず母が現れた。
こんな事を言われた、こんな風に怒られた、こんな物で殴られた・・・という、良くない思い出。


私は、こんなにダメな人間なのだから、誰かから愛されるなんて無理な話だったんだ。
――でも、初めて私を好きだと言ってくれた人を、信じたい。

もしかしたら・・・岩田さんに聞かれた事も、多少なり影響しているのだろうか。
以前、彼と付き合っていることを、親に話したかと聞かれ、反応を聞きたがっていた彼に、反対されているにも関わらず、そのまま伝えてしまった。
誰でも、交際相手の親に良く思われていないのは嫌だろう。簡単に言うべき事ではなかった。
聞いた彼は、「ふうん」と流していたけれど、正直に言ってはいけなかったのかな。


岩田さんと、寺島さん・・・ではなく、田浦さん。
2人の話は本当なのか、私に隠れて、会ったりしているのか。
想像をして、胸が痛くなる。

ありのままの私を受け止めてくれる人は、何処にいるのだろう。助けて欲しい。
逃れられないこの渦から、引っ張り出して欲しい。

姿の見えない誰かに縋ることで、少しばかり現実から逃げていた。





・「この人誰?」と思ったら → 登場人物
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