治療に関しては、あまり関わりたくない気持ちが少しありますが、あくまでも僕個人の考えを書きます。
ALSの場合、すぐ想像する治療は『治る』、『進行が止まる』、『進行を遅らせる』という事だと思います。
このほかに人工呼吸療法、胃ろう、喉頭気管分離術、喉頭全摘術等々があると思います。
僕がALSを発病した時『治りたい』と思いました。
それで教授に聞いたのです「治る薬はありませんか?」と。
そしたら「研究は進んでいますが、今は有効な治療薬はありません」と言われました。
しかし、それでも諦めきれず、転院してカナダでALSに効くという治療法を見つけてもらい、国内で僕が初めて実施してもらいました。
もちろん全額自費です。
期間と金額は相当掛かりましたが、効果はありませんでした。
その間もALSは進行して、腕は動かなくなり、歩けなくなり、
遂に声を発する力も失いました。
その後、国内で広く知られている薬を進められましたが、
その薬は治る薬ではなかったので、4~5日でやめました。
治る薬以外は興味がなかったのです。(あくまでも僕個人の考えです)
その時に思いました「やはり治る薬はないな」と。
でも、この経験が、僕の気持ちを前向きに変えてくれました。
「エーッ!、治療法がないのに前向き!?、どういうこと!?」と思うでしょう。
実は、この時に自分の中で折り合いが付いたのです。
つまり、もう治らないないと割り切りました。
そして治そうという気持ちは捨てて、
次に進もう(乗り越えよう)と考える事にしたのです。
これは発展的な諦めでした。
僕にとって1番大切なのは時間です。
人生は限られた時間しかありません。
その限られた時間を無駄に使うのを止めました。(あくまでも僕個人の考えです)
それからは「ALSが進行しても、
実際の生活で困らないようにしよう」と考えるようにしたのです。
この考え方は、僕の生き方にマッチしていました。
その後、Alsの進行に伴い体重は激減して31キロになり、
むせが酷くなり誤嚥もしていました。
そして食べる事もストレスになっていました。
その頃『胃ろう』の治療を勧められましたが、これは僕1人の考えで行いませんでした。
断った理由は、将来の生活を考えていたからです。
治療を行う、行わないは、僕が『ある基準で』考えて判断します。
『ある基準』は、後ほど書きますが、この頃に、今の食べ方を発見したのです。
※今月、この食べ方が岡山県で開催される学会で発表されます。
スケルトン玄三が見れると思います。
その後、Alsの進行に伴い呼吸苦が始まり、遂に呼吸が止まり大学病院へ緊急搬送。
そこで次の治療の説明を受け、僕は『ある基準』に照らし合わせて、
わずか3秒で『それをやります』と決断。
その治療とは、食べられる手術と同時に人工呼吸器をつける方法でした。
その時の様子を妻がこう言います『あなた、目が輝いていたよ』って。
それくらい嬉しかったのです。
この時行った手術(治療)は、喉頭全摘術と人工呼吸療法の2つです。
この時、見事に明るい未来が描けたのです。
13年前のことです。
その延長線上に今の生活があるのですが、
参考のために、つい最近の生活を紹介しましょう。
写真
・息子の誕生祝い(大切にしている家族団欒)
・今日の僕(支援体制が整った不自由のない生活)
・妻とPA兼ヘルパーさんとチョット買い物(悠々自適な暮らし)
・松茸御膳(家族と同じ物を食べる)
これが、Alsでも望んでいた自分らしい生活です。
ここで次の治療を行うのか行わないのかの『ある基準』を書きます。
それは、その治療の先に『自分らしい生活があるのか?』ということを基準に考えていました。
それで、ないと判断したら、その治療は行いませんでした。(あくまでも僕個人の考えです)
あると判断したら、その治療を行って来ました。
結果として、胃ろうの治療の先に『自分らしい生活があるのか?』ということを考えて、ないと判断したので断りました。(胃ろうの包囲網が敷かれて手術台に乗ったことはあります)
喉頭全摘術と人工呼吸器は、治療の先に『自分らしい生活がある』と判断したので治療を行いました。
そんな訳で、その治療が医療的には正しいとか正しくないのではなく、
その治療の先に『自分らしい生活があるのか?』ということを基準に考えていました。
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