12月17日に、東京・六本木のテレビ朝日・本社スタジオで収録を行ない、
24日深夜に放送された特番『イヴ真夜中のプロレス祭り”メリー☆愛してマース!”』。
みんな、観てくれたかな?
関東地区以外のかたは観られなかったのかもしれないが、
ここで1枚の記念写真を紹介したいと思う。
収録翌日に新日本プロレス担当者が送ってくれた写真なのだが、
事前に番組の内容が分からないようにという配慮もあって、掲載を自粛したもの。
スタジオで行なわれた試合はあくまでサプライズ演出なので、
せっかくの記念写真もお蔵入りしたというわけだ。
出演者全員がリングに上がって撮影したもの。
後方のファンの人たちは抽選によりスタジオ観覧した
『Teme NJPW』の会員たち。
最初はディレクター氏が
「みなさん、どうぞリングサイドまで来てください!」と声を掛けたが、
それでは写らないと判断した獣神サンダー・ライガーが、
「みんな靴を脱いで、エプロンに上がってこいよ」と一言。
そこでファンも交えての撮影ができた。
こういったところにライガーの機転と気配り、
ファンを大切にする姿勢が見えるのだ。
ところで、番組を観た方々は分かると思うが、
サプライズ企画として、スタジオマッチ2試合が急遽組まれている。
まず、1・4東京ドームの第0試合出場権を賭けて
三上恭佑vs高橋広夢のシングル戦が実現。
これを制した三上がドーム出場権を手に入れた。
続いて、真壁刀義の発案によって6人タッグ戦も実現した。
カードは、棚橋&ライガー&三上vs真壁&タイガーマスク&広夢。
これも最終的にヤングライオン対決となり、またしても三上が勝利を奪った。
そこで、なぜこの写真を掲載したかというと、
ヤングライオンの2人をよく見てほしいから。
6人タッグ戦の終了直後の記念撮影。
棚橋、真壁、ライガー、タイガーはごく普通にポーズを決めている。
ところが、三上は脇腹を押さえ、広夢は後頭部を押さえたまま。
ここに激闘の余韻が残っているのだ。
ハッキリ言って、テレビ収録用のスタジオマッチにはとても見えなかった。
ヤングライオン対決も激しかったし、
6人タッグの内容もじつに濃かった。
何より普段なら絶対にリングで交わることのない、
真壁vs三上、棚橋vs広夢の絡みには釘付けとなった。
キャリア1年9カ月の三上と、1年3カ月の広夢。
ほんの半年前を思うと、格段の成長ぶりだ。
身体の柔軟性には定評がありながら、もうひとつ力強さに欠けていた三上。
一方、不器用を絵に描いたような感もあった広夢。
そんなイメージが完全に払拭されていた。
真壁いわく「広夢は基本に忠実な動きがいい」と言っていたが、
まさにその通りで、攻撃も的確さを増している。
三上には以前より力強さを感じた。
6人タッグのフィニッシュ技は、
三上が決めたジャーマンスープレックス・ホールド。
この1発は本当に素晴らしかった。
広夢のエルボーをダッキングで交わし、
バックにピタリと張り付いた瞬間に投げた。
速くて高角度、ブリッジも腕のクラッチも完璧。
元祖である”神様”カール・ゴッチも真っ青という感じ…。
今年、私が見た数々のジャーマンスープレックスのなかでも、
もっとも素晴らしい完成度だったように思う。
もう一つ、ついでにいうなら、
相手の攻撃をダッキングで交わし、
素早く背後に回りこんでスリーパーというのは、
鈴木みのるがもっとも得意とするパターンである。
これは三上が鈴木から学んだ(盗んだ?)パフォーマンスなのかもしれない。
というのも、たまたま会場に早く入ったときに、
三上が鈴木とスパーリングをしている光景を何度か見たことがある。
もちろん、寝技で鈴木が押さえ込み、
三上がもがき苦しみながら必死に返そうとしているシーンばかりである。
もう、オ―ルドファンならおわかりだろう。
かつて、新日本とUWFが業務提携していた時代、
新日本所属の山田恵一がUWFの藤原喜明に弟子入りを直訴。
毎日、試合開始直前まで、藤原ー山田のスパーリングは続いた。
山田が海外遠征に出てからは、船木優治(現・誠勝)がその後を引き継ぎ、
さらに、佐々木健介(当時・長州軍団)、鈴木みのるもその輪に加わった。
派閥を超えた練習風景は、新日本マットのひとつの名物でもあるのだ。
「強くなりたい!」
みんな、その一心だったし、向上心の塊でもあった。
そういえば、鈴木が全日本にレギュラ―参戦していた時代、
鈴木みのるとのスパーリングの輪に加わっていたのは、
東京愚連隊の2人(NOSAWA論外、MAZADA)と菊タロー。
意外と思われるかもしれないが、彼らも強さに憧れた。
「相手にバカにされたくなかったら、舐められたくなかったら、強くなれ!」
鈴木の言葉に感化されて、若手でもない彼らが鈴木に学んだのである。
1・4のIWGP挑戦が決定したとき、
鈴木は「オレは鬼から生まれた」と言った。
鬼とは藤原組長のこと。
鈴木は、師匠である藤原組長の姿勢を継いでいる。
来るものは拒まず。
鈴木が新日本に敵対する鈴木軍の大将であろうと、
そこへ弟子入り志願したのなら、三上は大したものだ。
日進月歩で成長する三上恭佑、高橋広夢。
1・4に凱旋する岡田かずちか(オカダ・カズチカ)と吉橋伸雄(YOSHI‐HASHI)。
彼らの成長に期待しているし、彼らに新日本の未来を照らしてほしいと願っている。
私もこの業界で仕事を始めてから、25年以上になる。
そこで、「この仕事をしていて何が一番楽しいのか?」と聞かれたら、
私は即答できる。
それは、ちゃんこ番を務める練習生、新弟子時代を経てヤングライオンと呼ばれるようになり、
やがて海外修行を経験して凱旋し、中堅、トップへと上り詰めていく選手の姿を間近で見ること。
彼らが、レスラーとして人間として成長していく姿を見守っていけることだ。
これこそが、私にとって最高の楽しみであり、喜びでもある。