今年3月7日に死去したザ・デストロイヤーさん(享年88)の追悼興行として、

『ザ・デストロイヤー メモリアルナイト~白覆面の魔王よ永遠に~』が

11月15日、東京・大田区総合体育館で開催された。

 

 

テレビ画面を通してのデストロイヤー(敬称略)の強さはよく知っていたが、

実際に彼の試合を生で観戦したり、取材したりするようになったのは、晩年時代。

 

人当りのいい、ジョークばかり言っている面白いオジサンだった。

また、デストロイヤーの全盛時の凄さを知っている私からすると、

驚いたのは身長が私よりもすこし低かったこと。

 

実寸でいうと、おそらく175㎝ほどだったのではないだろうか?

これは、ブルーノ・サンマルチノを間近で見たときにも同じ印象を持った。

サンマルチノも私よりすこし背が低かったのだ。

無論、デストさんにしてもサンマルチノにしても、横にも縦にも分厚かった。

 

超一流レスラーというのは、リングに上がったときに

何倍にも大きく見えるものだということを思い知らされた感じ。

 

ビギナーファンのかたにはピンとこないかもしれないのだが、

日本でプロレスが始まってから65年を数える歴史のなかで、

もっとも有名で世間にまで名前が轟いた外国人レスラーといえば、

ザ・デストロイヤー、アブドーラ・ザ・ブッチャー、スタン・ハンセンの3選手だと思う。

 

デストロヤーといえば、足4の字固め。

ブッチャーといえば、地獄突き。

ハンセンといえば、ウェスタンラリアット。

 

子どもにとっては、プロレスごっこの定番でもある技。

かくいう私も小学・中学時代によくプロレスごっこをしていたが、

得意技は倒立式ダブルニードロップ。

 

これはデストロイヤーのオリジナル技で、現在では使い手がいない。

デストさんのダブルニーを得意とするあたりに私のマニアックぶりが表れているかも(笑)。

 

 

第3試合終了後に、追悼セレモニーが行なわれた。

デストさんが大好きだった『あの鐘を鳴らすのはあなた』の曲で関係者がリングへ。

遺影を持っているのは、長男のカート・ベイヤーさん。

遺族で並んだのはウィルマ夫人、長女のモナさん。

 

そのほか、デストロイヤー所縁の選手たちOBも参列。

一際、歓声を浴びていたのは、徳光和夫さん、せんだみつおさん、

そして、名曲『あの鐘を鳴らすのはあなた』を歌唱する和田アキ子さんだった。

 

徳光さんの弔辞は素晴らしかった。

 

「当時のPTAからワースト番組ナンバー1という冠をいただいた

アッコさんの『金曜10時!うわさのチャンネル!!』に出演して、

実況しながら足4の字固めの洗礼を受けたとき、

やめろ、この野郎!とアナウンサーらしからぬ発言をしたことにより、

その後ニュースを読むことがなくなり、バラエティアナウンサーという

新しい肩書をもつことになりました」

 

しんみりとした思い出話の間に出てきた

このセリフに会場は爆笑に包まれた。

 

そう、もともとヒールレスラーだったデストロイヤーを

一躍お茶の間の人気者に変えたのが、その番組。

 

最盛期には視聴率30%を超えた『金曜10時!うわさのチャンネル!!』だった。

ドリフターズの『8時だョ!全員集合』などもそうなのだが、

PTAから俗悪番組と評されるバラエティ番組ほど

子どもたちにとっては面白いものはない。

 

私もご多分に漏れず、うわさのチャンネルは毎週欠かさず観ていた。

デストロイヤーが出演していたのは、

イチバン人気だった『アコのゴッド姉ちゃん』のコーナー。

 

なぜかドイツ軍兵士のヘルメットをかぶっているデストロイヤー、

悪ガキに扮したせんだみつおとアッコさんの掛け合いが抜群だった。

 

 

デストロイヤーが毎週ゲストに容赦なく足4の字固めを決めるシーンもインパクト満点。

当時絶対的なアイドルだった西城秀樹にまで足4の字を決め悶絶させたのだから、

やはり常識を超えたバラエティ番組だった(笑)。

 

徳光さんがやられたシーンもハッキリと憶えている。

足4の字固めを決められ苦悶するところにマイクを向けられた徳光さんが、

「明日は父親参観日なんだよ」と叫んだところでスタジオ中が大爆笑。

 

あれから45年ほど経つのに、私がいまでも鮮明に憶えているのだから、

いかにインパクトのあるバラエティ番組であったかがわかろうというもの。

 

追悼セレモニーのあと、

囲み取材に応える徳光さん、アッコさん、せんださん。

当時を振り返って笑顔が絶えなかった。

うしろのポスターではデストさんも笑顔!

 

試合のほうは全8戦。

メインイベントの6人タッグマッチは、

武藤敬司&宮原健斗&獣神サンダー・ライガーvsSANADA&KAI&BUSHI。

 

レジェンド&三冠王者に対するは、

武藤体制・全日本でデビューした同期の3選手。

豪華版のドリームタッグとなった。

 

真面目に試合の印象をいうなら……

弟子でありながらSANADAが武藤にまったく位負けしていなかったこと。

宮原のデビュー戦の相手を務めた経験があるからなのか、

やはりSANADAが自信満々に宮原にも対峙していたのが印象的。

 

こういう感じで他団体の選手と交わったときにあらためてわかる。

SANADAはこの2年で本当に大きくなったなあというのが率直な感想だ。

 

おそらく、これが最後のタッグになるであろう

武藤とライガーがハグする場面にはジーンときた。

 

 

「ほとぼりが冷めたころにマスターズでまた(笑)」

 

「ない、ない。ほとぼりってなんだよ(笑)」

 

 

息ピッタリの2人の会話にマスコミ陣も爆笑。

 

 

最後に締めたのは、三冠王者の宮原。

武藤とライガーが主役を健斗に譲ったカタチだった。

 

 

長男のカート・ベイヤーさんも、

流暢な日本語で選手たち、ゲスト、関係者へ感謝の言葉。

当然ながら、素顔のデストロイヤーの面影が見える。

 

だれからも愛されたザ・デストロイヤーは、

プロレスラーとしても人間的にも超一流の男だった。