4月も後半になりましたね。
早いもので、来週からGWに突入ですね。
今年のGWは、皆様はどのようにお過ごしの予定でしょうか?
長期休暇を利用して海外旅行?といきたいところですが、この円安の影響は大きいですよね・・・。
インフレについては、実質賃金が高く経済状況が良い状況であれば良い傾向ですが、実際問題として、現在のインフレは、スタグフレーションの状況が続いているように感じます。
アメリカの利上げに大きな影響を受けてしまう部分があり、円安(1ドル=155円にも・・・)と、景気低迷は大きな課題だと思います。
※スタグフレーションとは・・・景気が低迷期(あるいは後退している局面)でインフレ(物価上昇)が同時進行する状況を言います。
原油価格の高騰などにより原材料や素材関連の物価上昇が原因により不景気の中でも物価が上昇してしまう状況。
1970年代のオイルショック後に、こうした状況になっていました。
さて、本日は、表題の通り「相続税・贈与税について学ぼう」とします。
令和5年度相続税及び贈与税の税制改正において、相続税・贈与税の税制改正がありましたので、簡単におさらいをしておきたいと思っております。
そもそも、相続して課税、贈与して課税・・・何でもかんでも税金・・・と感じてしまう方も多いのではないでしょうか?
「相続税」は、家族が亡くなった際に、その方の財産(遺産)に対して受贈者(法定相続人など)が受け取る際に課税される税金です。
ちなみに、アメリカでは、「相続税」とは言わず、「遺産税(estate tax)」という税金がそれに当たります。
国税に相当する連邦遺産税と、地方税に相当する州遺産税があります。
アメリカの遺産税の基礎控除額は、なんと1,140万ドル!!!(日本円に換算すると、約17億円 1ドル=150円換算)
遺産がこの金額に満たない場合には、遺産税は発生しません・・・。
これに対して、日本はどうかと言いますと・・・
日本の相続税の基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人数」となっています。
一般的なご家庭のケースで計算してみますと・・・
父(亡くなった方)・母・子2人の場合では、「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」になります。
つまり、4,800万円を超える部分の遺産については相続税が課税対象になります。
また、一次相続だけの特例と言っても良いですが、「配偶者の税額軽減制度」というものがあります。
配偶者が、遺産のうち法定相続分以下、または1億6,000万円以下を相続した場合には、相続税は課税されないという制度になります。
(とは言え、アメリカとはえらい違いですよね・・・(泣))
(一旦、アメリカのことは忘れて・・・)
続いて、「小規模宅地等の特例」という制度も利用するメリットがあります。
小規模宅地の特例とは、亡くなった方が事業用もしくは居住用に使用していた宅地を相続した時、相続税を計算する際、その宅地の評価額を50~80%減額した上で、相続税の対象とする制度です。
居住用宅地の場合、一定の要件(※)を満たせば、宅地の評価額の80%の減額を受けることができます。(適用面積は、330㎡)
事業用宅地の場合は、特定事業用宅地等は、80%減額(400㎡)、貸付事業用宅地等は50%減額(200㎡)になっています。
(※)一定の要件とは・・・①被相続人の居住用に供していた宅地等②被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の居住用に供していた宅地等
(過去3年間に自宅を所有したり、近親者の所有物件に住んでいたりしたことがある人は、「住む家がある」と判断され、適用の対象外になります。)
生命保険を活用した相続対策についても、触れさせていただきます。
相続税の納税資金対策として、もっともシンプルかつ有効な方法と言われています。
最大のメリットは、被保険者が亡くなった時に、「現金(死亡保険金)」が受け取れ、遺族はそれを納税資金などに活用できる点です。
また、保険金受取人の権利として、遺産分割協議とは分離した形で故人から遺族(受取人)へ現金を移転できる点も大きいと思います。
また、保険金については、みなし相続財産として相続財産に加えられるものの、「非課税枠」が設けられています。
「500万円×法定相続人数」
上述のケースで試算しますと、法定相続人×3名=1,500万円の保険金について、非課税枠を活用することが可能です。
加えて、特定の相続人に、法定相続分を上回る現金を残したい場合も、その相続人を受取人とした生命保険に加入しておくことが可能です。
その他、介護等で世話になった息子の妻など、相続人ではない人に財産を残すこともできます。
生命保険の受取人については、「受取人固有の財産」となるため、活用の幅も広がります。
仮に財産のうち、1,500万円を一時払い終身保険等に加入することで、遺産そのものを保険に移転することも可能です。
さらに、「二次相続」対策としての生命保険活用についても解説をしておきます。
「二次相続」対策の生命保険活用方法として、
●保険契約者・・・被相続人(夫)
●被保険者・・・妻
●保険金受取人・・・被相続人(夫)
という契約形態にて保険加入をし、被相続人(夫)が亡くなり相続が発生したら、その保険契約を引き継いで保険契約者を妻(または子)に契約者変更手続きをし、保険金受取人を子に変更する方法です。
●保険契約者・・・被相続人(夫) ⇒ 保険契約者;妻(または子)
●被保険者・・・妻
●保険金受取人・・・被相続人(夫)⇒ 保険金受取人;子
続いて、「贈与税」についてもお話をしていきたいと思います。
先ほども比較しましたので、アメリカの贈与税についても触れておきたいと思います。
アメリカにも贈与税(Gift tax)という連邦税があります。
日本では、贈与を受け取った人が贈与税を支払いますが、アメリカの場合には、「贈与を贈った人」に課税される制度になります。
また、州によっても課税される州とされない州があるようです。
アメリカの贈与税については、年間免除額というものがあり、さらに課税されない贈与というものがあります。
例えば、①授業料または医療費、②配偶者への贈与(アメリカ市民の場合)、③政治団体への贈与
年間贈与の免除額については、2023年のデータでは、17,000ドル(約255万円 1ドル=150円換算)
これらの免除額は、贈与を受け取る個人ひとりひとりに適用され、限度を超えるまで複数回に渡って贈与することができるそうです。
(授業料の贈与や、医療費の贈与、配偶者への贈与が免除・・・さらに年間17,000ドルまで非課税・・・大きいですね。)
一方、日本の制度についての解説をしていきますね(汗)
日本の贈与税の非課税枠は、「年間110万円まで」となっています。
納税する人は、受贈者(つまり、贈与を受けた人)が支払うことになっております。
また、年間110万円の贈与税非課税枠は、受贈者1人に対してとなりますので、例えば、父・母それぞれからの贈与は可能ですが、年間110万円までが非課税枠となります。
これを暦年贈与や暦年課税などと言われる贈与税制度になります。
ここで本題のお話に移ります!
皆様は、「相続時精算課税制度」という制度についてお聞きになられたことはございますか?
この制度自体は、かなり前から施行されておりましたが、あまりメジャー級の制度ではない印象を持たれる方も多いのではないでしょうか?
相続時精算課税制度は、相続税と贈与税を一体化したような制度となっており、税務署に申告をすることで子に対して2,500万円まで無税で贈与することが出来ますが、「相続時」にその贈与額を相続財産に加えて計算をする制度になります。
この制度の有効性としては、財産をできるだけ早い段階で次世代に移転させたいという方にとっては、とても良い制度だと思います。
また、2015年1月1日より、「孫」への一世代飛び越し贈与も認められるようになりました。(贈与者;60歳以上の父母または祖父母・受贈者;18歳以上の子または孫)
さらに、事業承継税制の特例から、60歳以上の贈与者から20歳以上の後継者への贈与も制度の対象とすることになっています。
ここで、やっと「令和5年度の税制改正」についてのお話をさせて頂きますと、「相続時精算課税制度」にさらにもうひとつ、新しい制度が創設されています。
それは、「年110万円の基礎控除」の創設です!
あれ!?あまり響いていないでしょうか?(アメリカの制度みたいにアグレッシブではないですけど・・・)
意外と知られていないのですが、この相続時精算課税制度の活用(年110万円の基礎控除)によって、相続税・贈与税対策の新しい方法のひとつになっています。
ご存じの通り、これまでの暦年課税(暦年贈与)については、制度変更があり、「相続開始前7年以内」の贈与は、相続財産に加算されることになっています。
以前は、相続開始前「3年以内の贈与」だったところが、一気に7年以内の贈与となりました。
資産を夫婦で持っているご家庭などにとっては、一次相続も二次相続も頭が痛い状況になっていましたが、先ほどの「相続時精算課税制度」を活用することで、早めの対策でさらに効果的な資産の移転ができるようになります。
●父(あるいは祖父母)・・・相続時精算課税制度を活用
⇒2,500万円の贈与
⇒新設された年110万円の基礎控除により贈与
●母8あるいは祖父母)・・・暦年課税制度を活用
⇒年110万円の贈与
これにより、子(あるいは孫)に対して、父(あるいは祖父母)より110万円の贈与、母(あるいは祖父母)より110万円の贈与を受けることが可能になります。
あれこれとお話をさせて頂きましたが、内容が難しい部分もあるかと思います。
ご興味がある方は、ご連絡・ご相談を頂けたらと思います。
生まれてから亡くなるまで税金がかかる世の中ですから、せめて少しでも納税額を減らす方法などを検討していくことは有効かと思っております。
やや、まじめなレポートとなりましたが、最後までお読みいただきましてありがとうございます。
ご相談、ご連絡お待ちしております。