さよならの朝に約束の花をかざろう
あの花、ここさけ、花咲くいろは
などの岡田麿里監督・脚本ということなので
またまた聖地巡礼のネタになりそうな現代劇かと思っていたら
エルフ族のような種族に中世の城や街並み
といったいわゆる剣と魔法とドラゴンの世界
(今回魔法は出てきませんが・・・)が舞台となっていました。
こういう世界観は好きなので、さらに期待値が上がるのですが、
反面、このネタってこれまで実写・アニメ問わず多く出尽くしているので、
映像技術だけアップデートした焼き直し的なものになりそうなものなのですが、
そうではなかったです。
縦糸は流れゆく月日、横糸は人のなりわい・・・、
機織りを生業とし、別れの一族と呼ばれ
数百年の寿命を持つイオルフ族の少女と人間の子どもの物語。
種族間であるとか諸々の要因による寿命の違いによる葛藤の描写は、
古くは人魚伝説からブレードランナーにロード・オブ・ザ・リングにインターステラー、
つい最近では“今夜ロマンス劇場で”など、他にも枚挙に暇がないほど既出なのですが、
個人的には一番響いたのが本作でした。
それは今回の主人公であるマキアとエリアルの出会いから別れに至るまでの過程が
長い時間軸で丁寧に綴られていたせいだったと思いました。
また、泣けるという前評判だったのですが、
口コミサイトの映画評とは得てして一定のジャンル限定で観ている人のものが多く、
必然的にその範疇での評価になってしまっているので、
相対的にはあてにならないことや、
劇中のキャラが号泣しているシーンなどではほぼ冷静に客観視しちゃってたり、
泣けたとしても、クライマックスのワンカットでウルッてくらいなんですけど、
あくまでここは人によるとは思うのですが、
自分の場合、今回はクライマックスに入る前の段階からもう・・・涙腺崩壊でした。
個人的評価・・・5 ☆☆☆☆☆
美しい映像世界とストーリー、声優さんたちの好演に
音楽からキャラクターデザインに至るまで
全てが一体となって流れ込んでくる感じ、
うーん、言葉でうまく理由付けできないんですけど、
好きな映画でした。
母と子の親子愛が軸になっているのですが、
広い意味での普遍的な人間愛。
特に直近の社会情勢であるとか風刺もなく、流行りのドロドロとしたリアル人間表現もなく、
ビジュアル、ストーリーなどすべてにおいて、とおしてキレイなお話なので、
捉えようによっては綺麗事を描いただけのファンタジーように映るかもしれませんが、
汚い世界を知っている大人ほど味わえる懐の深い作品に思えました。
そして、最初から劇場上映用長編作品として企画されたアニメだけにとにかく作画が美しい
光や水や空といったものから部屋の中の静物に至るまで実写のようにリアルなんですけど、
絵画(セル画)調の暖かみを残している作画は
日本アニメのアドバンテージであるとあらためて感じました。
是非劇場の大画面でご覧になってもらえればと思います。


