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都市銀行である帝都銀行と東西銀行が合併した後に、帝都側は意にそぐわなかったが、関西を拠点とし全国展開していた大栄銀行と、中部地方を基盤とする名京銀行も吸収してできた日本一のメガバンクの東西帝都EFG銀行。 その中身は、多くの帝都の役員が占めて実権を握っていた。 東西帝都EFG銀行の頭取は、何とか銀行名を帝都銀行に戻したくて、金融庁長官の五条、財務省の事務次官、政党の幹事長らの罠に嵌り、超長期国債の四十年債を五兆円で購入してしまう。
そんなある日、アメリカ経済発の国債大暴落で一夜にして東西帝都EFG銀行は、推定損失4兆2千億円もの負債を抱えてしまう。 資産負債管理を統括し東西銀行出身者の中では最高の地位にある専務の桂は、頭取の勝手な行為を何も知らされておらず憤り茫然自失となるが、自身が責任を被ってこの銀行経営破綻の超難局を回避するための舵を取る事になる。
その頃、マスコミ情報で今回の東西帝都EFG銀行の一大事を知らされた多くの預金者が、預金解約のために押し寄せていた。 その騒ぎを総務部部長代理の二瓶(通称ヘイジ)は、本店並びに各支店で新聞紙で作った偽札を沢山の紙袋に詰めて預金者に見せ、銀行にはまだ金があるから大丈夫だと落ち着かせ騒ぎを収める事に成功する。 そんなヘイジの機転に一目置く桂。
その後、桂が五条長官に掛け合い損金処理は行わないとしてもらい取り敢えずひと段落ついた
かに思えた。 一方で、香港で機関投資家になり大成功を収めているヘイジの高校時代の同級生の塚本が、ヘイジに東西帝都EFG銀行を買収するからヘイジにスパイになってくれと頼む。 名京銀行出身で虐げられてきた過去からヘイジの心が揺れる。 そして、塚本の心には、高校時代に失恋した女性に対するいまだに消えない深い情念があった。 そして、その女性はヘイジの昔の恋人であり、現在は桂の恋人の珠季であった。
そんな中、アメリカ上院議員が議会で日本の金融庁の東西帝都EFG銀行に対する裁量を批判した事から、五条長官が記者会見で一転して「東西帝国EFG銀行の負債会計処理に対する特別措置を認めない」と発表し、東西帝都EFG銀行は再び経営破綻の危機に陥ってしまう。
ヘイジは、スパイとなって桂の下で働きつつ、塚本と組んで銀行を買収した後に自身は役員になろうと目論み、桂は大栄銀行出身の2人の常務と組み行内で革命を起こそうとしていた。
そして、五条長官は、アメリカのファンド会社の日本担当であり桂の死んだ親友の不倫相手だった佐川瑤子、それから何と内部の裏切り者の東西帝都EFG銀行の副頭取と組んで東西帝都EFG銀行の息の根を止めようとしていた。 副頭取は、東西帝都EFG銀行がアメリカに売られ、その後に
新しくできる銀行の頭取のポストを五条長官に約束されていての裏切りだった。
五条長官の妨害で、桂や塚本とヘイジは計画が頓挫し、悪の黒幕である五条長官を打ち倒す為に桂とヘイジは奔走する事になる。 五条長官は、戦前から続く日本の闇の官僚組織と繋がりがあり、日本を裏で操るフィクサーで、東西帝都EFG銀行をアメリカに売り払い甘い汁を吸おうとしていた。 しかし、父親を死に追いやった張本人が五条だと知った瑤子が、愛する人を裏切り、仕事も、地位も捨て五条に復讐する為に桂に協力し、財務省の事務次官も日本を守るための義侠心で桂に協力する。
最後は、臨時株主総会で、珠季が桂とヘイジを救うために自身の財力に物を言わせた真の力を発揮しアメリカのファンド会社に止めを刺し大逆転すると同時に、五条長官は、これまでの陰謀、裏工作の数々が明るみに出て失脚する。 更に五条は、闇の組織の工作で自殺を偽装し行方を晦ませる。
この手の銀行を舞台にした小説は、必ず池井戸潤の作品と比較されると思うが、どちらもエンターテイメント性があるけど、大衆娯楽という意味では池井戸潤の作品の方が少し優れているかもしれない。 でも、この作品での話のスケールのデカさや、四転五転六転する展開のインパクトが凄まじく池井戸作品を圧倒し凌駕していて非常に楽しめた。



