★★☆☆☆
江戸で最古参の十手持ち、金座裏の宗五郎親分と、その手先衆が事件解決に挑む連作短編集。
佐伯泰英の作品のわりには小難しくなくて読み易いのはいいのだが、何の罪もない若い娘や幼い子供が無残に殺される事件がさらっと起きて、わりとさらっと解決してしまい、いくら短編集と云えあっさりし過ぎている。 もっと被害者や家族の深い悲しみ、下手人の心の闇をちゃんと描いてほしかったし、江戸の市井物でもあるから人情話も盛り込んでほしかった。
事件とは別に、宗五郎と手先衆がいつも集う酒問屋 豊島屋の主人の清蔵が、今で云う所の広告ちらし業である引札屋の女主人おもんに思いを寄せ、老いらくの恋にのめり込んでいく様子も各話の中で少しづつ描かれているが、それぞれの事件とは何の関係もないから、こんなサブストーリーは別になくてもいいんじゃないかとも思ったが、最後に清蔵のため、豊島屋のため、そして、おもん自身のために潔く身を引いたおもんの心情が静かに胸を打つ。
それから宗五郎の手先の政次、亮吉、馴染の船頭の彦四郎、豊島屋に奉公する娘しほの仲良し
若者4人組が話に活気を生んでいるが、お調子者の亮吉が、いつもしほをからかって大好きアピールをしているけど、しほは3人の男の中で誰が好きなんだろうと思っていたら、巻末に本シリーズ十二巻の紹介で政次としほの祝言と書かれてあって、あぁやっぱり冷静沈着な二枚目と結ばれるんだよなぁと、お調子者だけど、きっと心は繊細なんだろう亮吉が、どれほど深く傷つき、切なく淋しく辛い思いをしたんだろうかと思いを馳せてしまった。




