ハードケースをオーダー | Dream Lights

Dream Lights

Blieve ! Sea of Dreams
ハーじゅう〜ツェ〜

個人でやっていらっしゃる、とのことだったので、○○職人!みたいな風情の方かと思いきや、工場のオヤッさんと言った感じの方でした。
年齢もボクより一回りくらい上じゃないでしょうか・・・

Sugi Bassは四角いハードケースに入れて持って行きました。

楽器を見せるために持っていったのですから、iGiGでもよかったんだけど、『しばらく置いておく』ということにしましたから、出し入れの簡単なハードケースのほうがいいかなと思って、あえてハードケースにしたんです。

ケースを開けるなり
『これは・・・素晴らしいベースですね』
『あ、ありがとうございます』

テーブルの上で、ケースを開けっ放しにして、今回のオーダーケースのプランを練ります。

職業柄か、この四角いハードケースが気になるらしく、オヤジさんはアチコチ触って、ん~とか言いながらネックを持ち上げたり、ヘッドの裏にまで手を入れて、隙間を確認したりしています。

『このケースは国産ですね、板も厚いものを使っているし、キッチリ出来ていますよ。これはこのベースに合わせた内張りになっていますね、ネックにも負担がかからないように作られていて、いいケースです』

先日電話で一通り、オヤジさんには希望を伝えてあったのですが、あるいはこういうことは素人のボクがどうのこうの言うより、プロにお任せしてしまったほうがいいものが出来る場合が多いので、なるべくオヤジさんの意見を聞いておこうと思いました。

『ところで、どうしてこういうケースは四角なんですか?』
『簡単に作れるのと、あと大事な点はここです』

と、ヒンジの部分を指差して

『この3箇所が一直線にならないと開けられないわけで、ベースに合わせて型を作っても、ここが一直線にならないと上手くないんです。両側の2ヶ所でも作れますけど、強度が持たなくなります』

そうか・・・基本的にそういう前提があったのですね。

そんな意味で四角に作っておけば、内装でベースに合わせることも出来るし、要するに量産型のケースなのだとか。。。

さらに、オヤジさんはSugi Bassを巻尺(メジャー)で測り始め、というか寸法を測っているのではなく、主に直線でどんな線が引けるのか調べている様子。。。

『ほら、このベースはここで一直線に出来るでしょ?』

先ほどのヒンジが上手く配置できるかを確認していたようです。

『このベースでしたら、ご希望のようなベースの形に沿ったケースが出来ますよ、たいていのベースは真ん中のヒンジが出ちゃうことが多いので、そういう場合は四角いケースで作ることをお願いしていますし、そうじゃないと強度が持ちません。このベースのような形で仕上がっているのは珍しいことですよ。』

つまりは、ヒンジのラインが一直線で結べるのであれば、デザイン上ベースの形に沿ったデザインにしたとしても、ケースとして成立するということだったんですね。

では先ず、第一段階はクリアした、ということですね(笑)

あとは、ケースのデザイン的なイメージです。
ボクは何となく、サドのギグバッグのようなシルエットになるのかな~と思っていたのですが、オヤジさんは、他にはないSugi Bassしか入らないデザインで構想していたようで、『型』を作ってから製作するので、どんな形でも手間は同じことだと。。。
そのほうが楽器を持った喜びを味わえるのではないかと。

やっぱり、素人がテキト~に考えるよりも、プロが考えた方が確かです・・・

どんなものが出来るのか、楽しみになりますしね!

いろいろとお話をしていると、やはりこの世界も昔に比べたら、ずい分進歩しているのだとか。
中のスポンジ?でスッポリとベースが入るようになるし、どんな置き方をしてもベースに負担がかからないように作っているのだそうです。

取っ手も、持ったときにケースが水平になるのは、実は持つ人にとっては少しバランスが悪くて、ちょっとだけボディが下がって、ネック側が上がっている状態のほうが持ちやすくて、軽く感じるのだそうです。
取っ手自体も、重量物専用のものがありましたが、今回はかなり軽くなるということなので、オヤジさんのお勧めで、ご自分で巻かれたという革製の取っ手をオーダーしました。

さらに今回、一応ケースにストラップが取り付けられるよう、金具を取り付けていただくのですが、これも面白いことに取っ手の横と、もう一ヶ所はボディーを跨いだ真裏の部分に金具を取り付けます。。。
普通だったら取っ手側のネックあたりとボディー部分に付いているんですが、実際ここにストラップを付けて肩に掛けると、非常に安定しないことになって、ズリ落ちたりするのだそうです。
それがケースを横断するようにストラップをつけると、安定して肩に掛けられると。。。

実際、他のケースでやってみましたが、ほんとだ!!

ところで、この工房、普段はナニをやっているのか聞きましたら、さすがにオーダーケースだけでは生活が成り立たないと(笑)
元々、楽器専門のケースを作ることが生業だそうで、ハープであるとか、木琴、シタールから和楽器と、どんなケースなのか考えられないような楽器のケースまでオーダーで受けているそうです。
ですが、普段はなんと三味線のハードケースをメインで作っているらしい。。。
オヤジさんは自分でも三味線にハードケース!?と思っていたらしいのですが、需要はかなりあるらしく、ずっと注文はあるそうなので、ボクも意外でした。

三味線って、布の袋じゃなかったっけ?

オヤジさん曰く、モータリゼーションの結果だと。。。
車で三味線も運ぶようになってから、突然ハードケースの注文がきたということでした。

初対面のオジサンと、ケースのことで話し込んでしまい、でもいろいろなお話が聞けて、勉強になりましたし、とても楽しかった。

それではよろしくお願いしますと、ドアを開けて出ると、オヤジさんがボクのSugi Bassを持って一緒に出てくるんですね。
あれ?どこかへ持っていくのか、自宅まで帰るのかな・・・程度にしか思っていなかったので、駐車場に向かうついでに、いわゆるソフトケースですが、その話にもなって、ボクがあれは要するに袋であり、肩から掛けるにしても手で提げるにしても、そんな一ヶ所だけで引っ張って、楽器にしてみれば余計な重量がどこかへ集まったり、負荷が掛かってしまうのではないか、と聞いたら、オヤジさんも、その通りです、怖いですよ、とおっしゃったところでクルマの前に着きました。

オヤジさんはボクのクルマにSugi Bassを積もうとしていたんです・・・
わざわざ、そのためにクルマまで運んでくれた!?

だからぁ~、置いていくって言ったじゃん!!(笑)

一瞬、オヤジさんは呆然として、『そうでした、失礼しました』と。。。

ほんとうに大丈夫なのか?(笑)