オークションや楽器サイトなどでも時々見かけるこれ。
ファストマンのバロックベース
こちらに掲載されているバロックベースはいわゆるリイシューですが、改良もされているようですね。
市場で探すと、お値段もかなりお高くなっています。
このベース、ボクは大好きです。
グループサウンズ全盛期のころのボクは中学生で、ブルー・コメッツの高橋健二さんはもちろんですが、当然ながら同時に使用されていたこのベースも憧れのベースでした。
高橋健二さんは当時から、いわゆるフェンダーを使わない方で、ボクは高橋健二さんがフェンダー(型も含む)弾いているのを見たことがありません。
何と言っても一番有名なベースが、上記のバロックベースで、高橋健二=バロックベースですもんね。
一時期現役から退かれて、それでもブルー・コメッツとしてたまにTVなどでも拝見することができる頃に使用されていたのがギブソンのLPレコーディングベースでした。
このベースはボクも所有していたことがありますが、高橋健二さんが持つと、とても品があって、かっこいいベースだったんだな~と思いました。
余談ですが、ほんとにいいベースでしたよ!
しかし、高橋健二さんは、ここでもフェンダーは使わないと。。。
そうしてみると、ボクが勝手に推測してみるのですが、高橋健二さんには特有のベースの好みがあって、それは高橋健二さんの演奏スタイルとも関係していて、それを考えると、フェンダーを弾かない、ということにも合点がいくのです。
高橋健二さんは、ベースを正面から向かって左側、ご本人の感覚で言いますと右側ですけど、かなりシフトされ、左手は一番ローポジションでも正面前方に突き出すような形。
つまりはご本人を上から見ますと、ベースそのものは左前方から右後方へかなりの角度でシフトしていることになり、必ずその体勢をフォーメーションされていますね。
高橋健二さんがピッキングされている位置は、フロントピックアップ付近。
従いまして、この体勢によって、ピッキング位置は極端に言うと右腰骨あたりとなります。
この体勢で尚且つ、今回の記事で一番重要なファクターとなるのが、高橋健二さんはダウンストローク・ピッキングしか行わない、と言うことです。
このベースの構え方、ダウンストローク・ピッキングしか弾かないという点で考えますと、あらゆる点で高橋健二さんは、これ以上ないベストな奏法をされています。
右腰骨あたりでベースも固定させ、右手をダウンストロークするのは、安定したリズムをキープするのに最適な場所ですし、それが現実にブルーコメッツでの確実かつ正確な演奏に繋がっているのだと思います。
研究し尽くされたベース奏法だったんだなと、あらためて超一流プレーヤーのスゴさがわかった気がします。
さらに、なぜフェンダーを使わなかったのか、という疑問。
一つは、ダウンストローク・ピッキングそのものにあると思います。
右肘を軸にして腕ごとダウンストロークされています。
弦に対しても相当な力で当たるのだと思いますが、その時の右手のフォロースルーがフェンダーを使わない最大要因ではないかと思うわけです。
バロックベースのようなセミアコベースはヘフナーベースのようにネックの『仕込み』がフェンダーとは違って、かなりの角度で仕込まれています。
この仕込み角によって、ブリッジが高くなり、ネックそのものもボディに対してかなり持ち上がった状態でセットされているのですが、その結果、弦とボディの隙間が広がり、ダウンストローク・ピッキングのフォロースルーも維持できると思います。
これがフェンダーですと、ピッキングした時にはもう右手がボディを叩いている状態となって、ピッキングそのものに支障があるのだと思っているのですが。。。
そしてさらに付け加えるなら、先ほどベースが左前方から右後方へかなりの角度でシフトされていると書きましたが、その際にもネックの仕込み角があれば、左手を前に突き出す姿勢も楽になりますよね。
フェンダーでそれやると、左手は相当前に突き出さなくてはいけませんし。。。
プレイスタイルを守って楽器を選ぶ、これ、なかなかできることではありません。
ボクなんか、先ず楽器ありきで、楽器に自分が合わせて弾くというやりかたが常ですので、高橋健二さんのスタイル、ほんとにすごいと思いますよ。
昔は、あのスタイルを古いとか、技術的にどうだ、とか思っていたこともありますが、今は逆によく理解できるし、そうありたいと思いますね。
ボクは高橋健二さんがもともと大好きですが、あの正確なリズムと正確な音はダウンストロークにあるんじゃないか、と最近そう思っていて、流行りの技法がどうのこうのと言う以前にベース弾きの大先輩から見習うべきことは多いし大きいぞと。
※ブログ内では画面がすべて表示されておりません、さらにクリックしてyoutube動画でごらんください。
※追記
このyoutube映像では、ジャッキー吉川さんが、ちょっと???なドラミングをされていまして、そちらの方が気になったりしていますが、調べたところ、ジャッキー吉川さんは左手の腱鞘炎でスティックを持つのも儘ならない状態だそうです。。。それでも右手でカバーされたり、オカズの時には両手で叩かれて・・・そう思って観ると、逆に気迫のこもった素晴らしいドラミングですね。