銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。


 

前日の大阪大学の発表です

 

 

放射線治療に用いられる種類は

・α線

・β線:甲状腺のヨード治療など

・γ(ガンマ)線:通常の放射線治療

・重粒子線

・陽子線

・中性子線

などどがあり

今回はその中でα線のお話です

 

 

日経の記事ですが内容が難しいので

画像だけ覚えていてください

図2 α線とβ線の違い

 

α線=何か強力そう

っていうイメージだけで十分です


 

実はα線治療はすでにあって

前立腺がんの骨転移に対して

ゾーフィゴ

という治療薬があります

 

ゾーフィゴについてはこちらを

 

ラジウムは骨転移に集まるので

その性質を利用して

骨転移部でα線を出す治療です

 

ゾーフィゴの問題は

骨転移にしか有効でないことです

 

 

 

骨も含めた全身の転移には

Lu-177(ルテシウム) PSMA治療

が行われていますます(日本未承認)

 

 

Lu-177 PSMA治療は西郷輝彦さんが

オーストラリアで受けたやつです

 

ただ

ルテシウムが発するのはβ線

α線に比べると弱い上に

作用する範囲が広いので

正常細胞にも多少影響があります

 

 

海外でLu-177 PSMA治療を受けた

患者さんを診たことがありますが

皆さん骨髄抑制が強く出ていて

結構しんどそうでした

しかもあまり改善していない…

 

 

 

一方、α線を発する放射性物質

アクチニウム(Ac)を使った治療は

劇的に改善した臨床試験もあり

かなり期待されています

 

 

<1例目>

全身転移(骨中心)の前立腺がん

Ac-PSMA治療4回でほぼ消失

 

 

PSAの推移

*↓は治療のタイミング

 

PSA 2923 → <0.1 

 

 

<2例目>

全身転移(内臓中心)の前立腺がん

ルテシウム×2で悪化したため

アスタチンに変更して

3回で転移がほぼ消失

 

PSAの推移

*↓は治療のタイミング

 

PSA 419 → <0.1

 

 

たった2例ではありますが

2例ともPSA <0.1まで低下

1例は3000近くあったのにです

 

 

 

このアクチニウムと同じ

α線を発生する物質

アスタチン(At)を使った

Ac-PSMAという放射性薬剤を

大阪大学が開発しました

 

2024年の治験を目指すそうですが

先ほどのアクチニウムと同じような

α線による効果があるなら

 

奇跡のような治療になりそうです

しかも国内製造で!

 

 

 

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