銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。


 

ここ数年の新薬の影響で

前立腺がんの二次治療の定義が

ちょっと変わってきました

 

従来は転移が見られた場合

 

<一次治療>

従来のホルモン薬

  ↓

<二次治療以降>

化学療法

・ドセタキセル

・カバジタキセル(ドセタキセル無効時)

  or

新規ホルモン薬±従来のホルモン薬

・イクスタンジ

・ザイティガ

・アーリーダ

  or

放射線治療

・ゾーフィゴ

 

上記を一つずつ使っていました

 

そして、一次治療が終了した場合、

去勢抵抗性前立腺がんと呼ばれていました

(去勢抵抗=ホルモン薬が効かなくなった)

 

 

前回のブログで紹介したように

 

一次治療に新規ホルモン薬や

ドセタキセルが使われるようになり

 

現在の一次治療が

 

化学療法+従来のホルモン薬

  or

新規ホルモン薬+従来のホルモン薬

 

となってしまったので

 

二次治療で用いられるのは

一次治療で使われなかった薬剤

となります

 

 

ドセタキセルを使った後だったら

ジェブタナ(カバジタキセル)

も使うことができます

 


 

加えて、卵巣がんや乳がんで使われる

PARP阻害薬も使えるようになりました

*BRCA変異陽性の場合のみ

 

2021年に承認された

リムパーザ(オラパリブ)

 

 

もう一つのPARP阻害薬である

ルカパリブは

”転移のない”去勢抵抗性前立腺がんで

FDAで承認されました

 

 

ただ

様々ながんで治療を大きく変えた

免疫チェックポイント阻害剤では

良い結果が出ていません

PD-L1陽性でも5%…

なかなか厳しい数字です

 

前立腺がんと免疫療法は

相性が良くないようです

 

 

 

他には、骨転移のみの場合には

ゾーフィゴ(ラジウム-223)

いう放射線治療があります

 

放射線治療といっても

外から放射線を照射する訳ではなく

骨転移巣内で放射線を放出し

がんを死滅させるという治療法です

ゾーフィゴについて|患者さんとご家族向け|放射性医薬品・抗悪性腫瘍剤 ゾーフィゴ 静注の情報サイ

~バイエル薬品株式会社のHPより~

 

 

 

同じく放射線治療で、

残念ながらお亡くなりになりましたが

西郷輝彦さんがオーストラリアで受けた

PSMA療法というのがあります

 

三次療法でもなかなかの成績です

 

 

 

以前は転移のある前立腺がんは

1~2年でホルモン治療が効かなくなり

二次治療で+6か月~1年延命

という感じだったのが

 

新規ホルモン薬が一次治療に登場し

一次治療の奏功期間が

3~4年と大幅に延びました

普通のがんだったらステージ4の生存期間が2、3年あるかどうかなのに…

 

 

そして

3、4年経って効かなくなっても

二次治療で使える薬剤がたくさんあり

さらなる延命が可能となります

 

となると、、、

前立腺癌は高齢者が多いので

転移のある前立腺がんだとしても

治療中に自然寿命を迎える人も

結構出てくると思います

*平均寿命まで20年あるような50~60代の場合は別です

 

 

ステージ4でも共存して寿命を迎える…

 

高齢者にとってはがんと言って良いのか…

 

という感じです

 

 

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