銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。
トリプルネガティブ乳がん
ホルモン受容体陽性乳がん
ときたら、次はHER2です
<HER2陽性乳がん>
現在、HER2陽性乳がんの治療は
抗HER2薬+抗がん剤±ホルモン薬
となっていて、
抗HER2薬なしでは治療できません
現在日本で承認されているHER2薬は
・ハーセプチン🄬(トラスツズマブ)
・タイケルブ🄬(ラパチニブ)
・パージェタ🄬(ペルツズマブ)
・カドサイラ🄬
(アド・トラスツズマブ・エムタンシン)
・エンハーツ🄬
(トラスツズマブ デルクステカン)
の5種類です
治療の流れとして
一次治療
ハーセプチン+パージェタ+ドセタキセル
ハーセプチン+パージェタ+パクリタキセル
二次治療
カドサイラ
三次治療
エンハーツ
が基本となっています(状況による)
一方アメリカでは
・マルゲツキシマブ
・ネラチニブ
・ツカチニブ
が承認されています
①マルゲツキシマブ
三次治療でハーセプチンと比べて
生存期間が延びるということで
FDAに承認されましたが…
差がわずかでインパクトが弱く
積極的に使われることはなさそうです
②ネラチニブ
今までの抗HER2薬になかった
脳転移に有効
な抗HER2薬として話題です
従来の抗HER2薬や抗がん剤は
血液脳関門(BBB)と呼ばれる
脳のバリアを超えることができず
脳転移には有効ではなかったんです
脳転移のあるHER2陽性乳がんには
将来的に第一選択薬になりそうです
もちろん
脳転移が無くても有効性はあります
FDAには2020年に承認されましたが
日本ではまだ第2相試験中なので
承認はまだまだ先だと思います…
③ツカチニブ
こちらも②ネラチニブと同様に
脳転移に有効
な抗HER2薬です
無増悪生存期間も生存期間も
しっかりと延長しています
また脳転移のある症例では
さらにはっきりと違いが出ています
やはり②ネラチニブと同様に
日本ではまだ第2相試験中なので
承認はまだまだ先だと思います…
今回紹介した3つの抗HER2薬は
三次治療の臨床試験しかありませんが
将来的(といっても10年以上先)には
一、二次治療に使われるように
なっているかもしれません
その時に日本がどれだけ遅れているか…
最後に、
特にHER2陽性乳がんは
温熱療法の併用で相乗効果が期待でき
また、抗HER2薬の耐性を下げる
ということが分かっています
マイクロ波で劇的に効いた症例も
HER2陽性の乳がんでした
https://ameblo.jp/ginza-miyako/entry-12738130894.html
だいぶ先になる新薬を待ちながらも
一・二次治療をいかに長引かせるか
(=耐性を作らせないようにするか)
が重要となってきます
マイクロ波はその力になれそうです
ちなみに、回数券まだやってます…
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