夫の友人Cさんの悲しみ | 最愛の夫を亡くして 白い花を手向ける日々

最愛の夫を亡くして 白い花を手向ける日々

2020年4月のことでした。歳の離れた大切な夫と、アラフィフの私。
いつまでも一緒。きっと死ぬまで、彼のことを想う。

 Cさんと夫は飲み友だちだった。仕事帰りに、よく飲んでいた。

二人とも恐ろしく酒が強く、まだ若い時は、眉毛1本、ネクタイをちょこっとも乱さず、

朝まで飲むことも出来た。

私たちは3人とも同じ職場だったので、よくご一緒することがあった。

愛妻家のCさんの奥様にも、何度かお会いした。

ちなみにアメリカ人がよく出て来るブログだが、Cさんご夫婦は日本人である。

退職してからも、Cさんはよくうちに来て飲んだ。

Cさんが来るのは当たり前になっていて、ごく最近のことだが、高齢になられて、頻度が減って来ていた。

Cさんはあれから時々、電話をくださる。


しかし、あなたに看取られて、彼は幸せだったと思いますよ。男冥利に尽きる。
(意識不明だったけど、それでもよかったのか、また聞いておこう。)

もう会えないのかと思うと涙が出ます。もうあんな人はいない。

あなたは素晴らしい結婚をしましたね。
今すぐには無理でしょうけれど、あなたはまだ若いから、

元気に生きて行ってくれたらなあと、僕なんかは、思うんですけどね。

もっと一緒にお酒を飲めばよかった。

もう高齢になる、夫の親友Cさんの言葉は、素直に受け止めることができる。

私とも本当に長いお付き合いで、それこそ父親代わりのように、見守ってくださった方だ。

もっと一緒にお酒を飲めばよかった

そう言って、電話の向こうで涙をこぼすCさん。

ええ、もっと?もっと?
飲み足りない?
あれだけ。

あれだけ、あれだけ、

飲んだのに?

いやいや、ものすごい、飲んでましたよね、

あなた方。
こんなのとか、なんでも。


電話を切って
なんか笑ってしまう。

まるで、自分を見ているようだ。

あんなに一緒に過ごしたのに、もちろん、もっと一緒に過ごしたかった。

飲み友だち同士は、ケッコンしているようなものなのかもしれない。

ミックジャガーは、ストーンズと、ケッコンしているようなものだ、と言っていた。

そういう意味での、ケッコン。

そして、つくづく思う。

「あなたには元気になって欲しいと願う」という言葉は、

Cさんと私くらい、近いところで夫と繋がっていた者同士が、

酸いも甘いも噛み分けた上で、心を込めて伝える、とっておきの言葉なのである。

Cさんには、次は僕だ、などと言わず、きっと他にもいる飲み友だちや、

素敵な奥様と、どうか1日でも多く、美味しいお酒を召し上がっていただきたい、

と、ここまで書いて、ふと気がつく。

元気になって、と言うほかの人々も、
もちろん、そこまで深い付き合いでないのを重々承知で、

でも、踏み込まずにはいられず、言ってしまうだけで、

気持ちは同じなのかもしれない。

私が脳内お花畑なだけかもしれないが、
この世はきっと、前と変わらず、キラキラして、

スリルと興奮と人情に満ち溢れているのに違いない。


それを見たいかどうかは、きっと、私次第なだけなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

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