先週のセミナーでの話.
セミナー後の質疑応答で,とある参加者より,
「先生のところの抗がん剤治療って,要はAI(人工知能)
ですよね.」とコメントあり.
正直驚いた.
当院の少量抗がん剤治療の「本質」を見事に看破(勘破)した
と言っていい.
以下呪文のような文言だが,当院の少量抗がん剤治療の
考え方の「基本」になる.
『“個”から得られた“条件”は“全体”のために活用され、
“全体”から絞り込まれた“条件”は、次の“個”に還元される。
そして、その“個”から得られた“条件”は、また“全体”に活用
される。“条件”はユニット(単位)のため、がん発生臓器、
個体、人種(性別)に関係なく共有できるので、このサイクル
を繰り返しながら、弁証論的に個々の抗がん剤の効く“条件”を
絞り込んで臨床的精度を上げていく.』
ここでのキーワードは『弁証論的に』だ.
集積されたデータから弁証論的に薬剤の適応条件を絞り込んでいくというコンセプトは,AI(人工知能:Artificial Intelligence)によるビックデータ(様々な種類や形式のデータを含む巨大
データ群)解析と世界観は一致するものである.
AIは,大量のデータからルールやパターンを見つけること,
分類することに非常に長けているので,当院で行っている
弁証論的絞り込み作業をAI解析に繋げていけば,薬剤の使い方
や人では見つけられないデータの深層に潜むルールを詳らかに
していくことが期待される.
ここで,AI(人工知能)といえど 0から1を生み出すことは
できない.そのため,AIがビッグデータを利用するためには,
人の手で質の良い何かしらのデータやパラメータをAIに与える
必要がある.
そのAIに与えるデータやパラメータは当院で実践している
内容(特許第7370046号)を利用すればいい.
もちろんAIにより導かれた内容が正確なのかどうかは,
最終的には人間が判断を下すことになるが,十分実用的な
結果が得られると推察する.
この方法論は,現在の第1相〜3相試験を経て設定される薬剤
使用法を別観点から捉えることになり,現在使用している薬剤
だけでなく,今後開発・販売される新薬をも含めた全ての
抗がん剤の新たな使用展開に繋がっていくと考えている.
先の将来,二重盲目試験なんざ苦労の割には益少ない,
チマチマしたもん流行らなくなるぜ.ww.
参考図書:いちばんやさしいAI〈人工知能〉超入門:大西可奈子 著;株式会社マイナビ出版(初版2018年3月)
【追記】NCI(米国)より,抗がん剤選択ツールを開発という
ニュースが出た.(2024.5.13)
シングルRNAシーケンシングという超高額なAI技術を
使うらしい.腫瘍の捉え方や治療の考え方が当院と
似ているから親近感あり.
でも,当院の方が遥かに安くてお金かかんないし,
すでに15年以上前から実践導入している.♪
そして,疾患制御率約60%と数字も出してるんだよね.♫