マルクス・アウレリウス「自省録」を読む | ギッコンガッタン 

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 古代ローマ帝政期にご賢帝と呼ばれた最後の皇帝であるマルクス・アウレリウスが出した「自省録」をテーマに分けてわかりやすく解説している本です。自省録は、元々がストア派の哲学者の道に進みたかったマルクスアウレリウスが自らをお前と問いかけて叱咤激励(叱咤激励を通り越してディスっているとしか思えない部分もありますが)しいている体裁を取っています。

 

 ヨーロッパ全体を統治していた大帝国の皇帝として、時に対外遠征をしながら奮闘していた彼の思い悩みながらも一生懸命に生きてきた様子がわかってきます。ストア派は、今でもストイックと言う言葉が浸透するくらい厳格に自らを律するイメージがありますがその様子も伝わってきます。大変な苦労があっただろうことは、想像がつきます。

 

 大概、このような本は、著者を手放しで称賛しているような調子が多いのですが、著者は、自らの経験や考えも踏まえたうえで是々非々な態度です。ただ、マルクス・アウレリウスへの敬意は、凄く伝わってきます。それにしても、二千年の時を隔てた本がこんなにも現在の人間を引き付けているのは、見事です。まあ、人間の考えることの根本は、時代を経ても変わりがないのだと思えてきます。面白く読めましたね。