第36回野間児童文芸賞受賞作品。

 

『永遠の出口』(集英社)を読み終えたとき、ため息が洩れたことを今も覚えている。それ以来、森絵都さんの作品は無条件で読んでいる。

 

 

ひらがなだけのタイトルに淡い色調の表紙で中学生の友情や恋を描きながら、万引きや麻薬、売春の斡旋、心の病気と取り扱う内容は軽くはない。

 

 

 

 

 

 

(ネタバレ含みます。御注意!)

 

 

ノストラダムスの大予言目前の1998年。

 

中学生のさくら、親友の梨利、ふたりを見つめる勝田くん、そして智さん。

 

縺れていく友情、すれ違う想い、壊れてゆく心、救いたい願い、いろんな感情が交錯しつつも、満月の夜、約束の地に舞い降りる「つきのふね」へと向かう真の友4人。

 

少女たちの心模様を鮮やかに掬い取るようなみずみずしい文章が、ものがたりぐいぐいとを推し進めていく。

 

正直、ラストの火事のくだりはやや危ないと思ったが、最後の最後に小さな楕円形の銀のバレッタをゆらゆら揺らすその筆力に降参m(__)m

 

 

小学4年の智さんがつゆ木くんに書いた手紙が素晴らしい。

 

 

みんな、みんな、とうとい(´;ω;`)

劇団イキウメ(主宰/前川知大)の新作公演配信に感謝m(__)m

今回も発売してすぐ、ほぼ売り切れだった。

 

イキウメの舞台からは、なんでもない日常のすぐ裏側にある非日常をまさぐろうとする手触りをいつも感じる。

眼には見えないがそこに確かに住まうものと人との関わりを、さまざまな神話・伝承、SF、哲学、オカルト、超常現象などを綯い交ぜにして描き出す。

不思議や怪異、奇跡や啓示に満ちたその光景は、今のわたしたちの歪つな世界を照らし出し新たな可能性を切り拓く。

 

今公演は年2回定期公演スタイルの最終公演となる。

 

劇団員5人だけの宛書が超ハマる。

その密度、濃度、完成度に酔える。

 

 

 

 

 

(ネタバレ含みます。御注意!)

 

 

小山田輝(安井順平さん)、弟の春(大窪人衛さん)、環境活動家の佐久間一郎(盛隆二さん)、秘書兼ハウスキーパーとして雇われた山鳥士郎(浜田信也さん)、伝説の整体師時枝悟(森下創さん)のそれぞれがズレながらも噛み合っていく展開が妙。

 

本来は引き合うはずの魂魄(こんぱく)(魂は精神を司るたましい、魄は肉体を司るたましい)をズラらすことで幽体離脱を起こすという発想も面白く、さらにズレたその先でこの地球の声を聴くことになる。

 

 

私たちはいつまで聴こえないふりをしているのか。

 

その言葉は深く重い。

 

 

いつかまたイキウメの舞台が観たいm(__)m

原作は同名漫画『神様のえこひいき』(著/小村あゆみ 集英社)。

 

少女マンガ誌「マーガレット」とオンライン動画配信サービスHuluが、強力タッグを結成する「マーガレット Love Stories」シリーズ。

『マイルノビッチ』(著/佐藤ざくり)、『悪魔とラブソング』(著/桃森ミヨシ)に続く第3弾となる。

 

 

 

 

(ネタバレ含みます。御注意!)

 

 

七原ケンタ(窪塚愛流さん)、天野弥白(藤原大祐さん)。天堂神楽(桜田ひより)ケンタの元カノ鈴(新井舞良)のそれぞれの想いが切実に胸に迫る。

 

個人的には、神様(古川雄輝さん)が完璧に美しく、まさに神ってた(;゚Д゚)

右近(志田未来さん)も見事。

 

 

あらゆるひたむきな想いを推してくれることが有難い( ̄▽ ̄;)

人間の性的な交わりを描いた浮世絵「春画」を愛する者たちの目線を通して、それぞれの愛のカタチに迫ってゆく、その熱量に気圧された。

 

 

 

 

(ネタバレ含みます。御注意!)

 

 

冒頭、芳賀一郎(内野聖陽さん)が眺める春画を見て激震が走る春野弓子(北香那さん)が素敵。

春画とそれを愛する個性豊かな人たちと触れあう中で、芳賀への想いに目覚めていく弓子がさらに魅力的。


見守る?辻村俊介(柄本佑さん)が飄々として風情がある。

芳賀の元妻の双子の姉の一葉(安達祐実さん)がまた凄い存在感。

 

 

正直、私には弓子と辻村の関係性も、それを許容する芳賀や、一葉の執着やそれぞれの性癖もよく理解はできない。

 

ただ、そこに春画の持つ芸術性への畏敬の念や、やむにやまれぬ衝動、本能的な熱情の持つ意味が分からないわけではない。

 

 

画面から溢れ、醸し出される色気みたいなものに魅せられました。

 

 

でも、最愛を捧げられるほどの何かを許容するのは、私にはちょっとコワイ( ̄▽ ̄;)

2015年公開の映画(アメリカ)。

 

 

 

 

(ネタバレ含みます。御注意。)

 

 

突然の事故で妻ジュリア (ヘザー・リンドさん)を喪ったデイヴィス(ジェイク・ジレンホールさん)は、その喪失をうまく受け入れられず、次第に破壊衝動に取り憑かれていく。

 

 

素直にその匂いや手触りだけでは済まないハリウッド。笑。

 

 

ところところで挿入される妻の幻影。

妻の父で社長のフィル(クリス・クーパーさん)との確執。

壊れかけていきそうなデイヴィスに寄り添うカレン(ナオミ・ワッツさん)。

その息子のクリス(ジュダ・ルイスさん)はゲイであることに悩んでいる。

さらにカレンの彼氏とのイザコザ。

 

そして、家の解体中に胎児のエコー写真を見つけると、それは別の男との子だから堕胎したのだと義母(ポリー・ドレイパーさん)から告げられる。

 

ドラマてんこ盛りだが、映像は丁寧にデイヴィスを映しとる。

 

ジェイク・ジレンホールさんがとにかく画になる。

 

それぞれのシーンの雰囲気も素敵で、かなり無無茶苦茶な展開なのに全てのシーンからデイヴィスの哀しみが漂ってくるのも凄い。

 

 

ただ細部はかなり粗いし、破壊行為も見ていて良い気持ちはしない。

物語もラストまでしっくり馴染むとは言えない。

 

 

それでも大きな喪失で心は潰れそうになることと、それと向き合い受け入れるまでに沢山の時間が必要なことは、痛いほどわかる( ̄▽ ̄;)