オヤジのマンガの本の中で車のジャンルでバイブルと言えば「湾岸ミッドナイト。」であるが、バイクのジャンルでいえば、この「キリン」である。
※のちに大鶴義丹さんが監督で、真木蔵人さんが主役で映画も作られた。
当時、漫画の主人公が若者で、努力によって栄光をつかむ話が多い中、30代後半の男が主人公で、バイク事故が原因で長期入院後、離婚や仕事も退職を余儀なくされる、よーするに人生負け組の男の話である。(何故か復帰後は新しい会社に拾われ、年収もかなり良くなっていたみたいだが・・・)
冴えないおっさんが、カタナに乗ってポルシェとバトルを行うことで、再び、自分の生き方を取り戻していく話なのだが。
オヤジが元々、大型バイクの免許を取ったのも、この「キリン」を読んでいなかったら、無かったことであろう。
作中の名言で「あちら側の人間。」と「こちら側の人間。」という言葉がある。
バイク乗りならすぐわかる、あちら側の人間とは、バイクに乗らない人間。こちら側の人間とは、バイク乗りの事である。
あちら側の人間である友人に、この「キリン」を読んでもらったのだが、感想は「なんか登場人物全員が怒ってばかりで、全然わからない話だ。」と、突き返された。
やはりあちら側の人間にはこの「キリン」の良さを感じてはもらえなかった。
「キリン」の世界に近づきたくて、必死になって取った大型自動2輪の免許。
残念ながら免許を取ることで、自分はあちら側の人間だと気が付いた。
そして初めてバイクに乗るのが、こんなに怖いことなんだと言う事も気が付いた。
そうして、オヤジはバイクを降りる事を決意した。
その「キリン」の作者の東本昌平先生が、先月、病気で亡くなられた。
そのことを知ったのは、昨日の事であった。
何か自分の中で一つの時代が終ったような気がした。
東本昌平先生。長い間ご苦労様でした。そしてお疲れ様です。
ご冥福をお祈りします。