アレカラ。ボクハ、ガンバッタノデショウカ? | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 

 

 

 7年前の8月7日。オヤジはオヤジの一番大切な人を失った。

 

 彼女はオヤジ達に奇跡の7日間を見せてくれて、静かに去っていった。

「また明日。」その言葉が、彼女の最後の言葉となった。

 

「アレカラ。ボクハ、ガンバッタノデショウカ?」

 

人生には3つの大きな坂があるという。

 

●登坂。

●下り坂

●そして、ーまさかー である。

 

 彼女を失ってからのオヤジは、まさかの連続であった。

 

 自分の体の事、そして子供たちの事。

 

 まさにマサカ。マサカ。マサカ。と、言いながら乗り越えてきた。

 

 ブログでお付き合いのある主(あるじ)さんは、「神様はその人に、乗り越えれない試練は与えない。」と、言った。

 当時のオヤジにはその言葉は到底信じられなかった。

 

 そして、節目、節目になると、その時、その時に大切な人が現れた。

 

 キョージユに出会った時も、その一時であった。

 

 キュージュに出会えなければ、娘2号の心が痛み、悲鳴を上げている事さえ気がつくことさえなかったかもしれない。

 

 主(あるじ)さんは、オヤジのいき場のない怒りを静かに受け止めてくれた。

 

「アレカラ。ボクハ、ガンバッタノデショウカ?」

 

 あれから7年間が経った。

子供達はそれぞれの夢に向かって歩き始めている。

 

昨日、実の姉からお供えが届き、お礼の電話がてら、オヤジ家の近況を話した。

 

 娘2号が短大1年目に、コロナで短大を辞める事を相談しに来たこと、そしてキュージュに出会え、再び短大を続けて行くことを決めた事。

 そして今年無事に卒業。韓国に留学に行った事。

 

 娘1号はまた国立美術館に絵が入選して、展示された事。

 子供達の事を話しながら、自然と涙が出てきた。

 

 恥ずかしいので、「じゃあ、この辺で。」と、さっさと電話を切るオヤジであった。

 

 今年、何十年も連絡がつかなかった札幌の友人と連絡がついた。

 

 彼は自分で店を持つために、腕を磨くため、大手の食品関係の会社に入社した。

 そしてそのままそこの会社の社員になって、会社の近くに家も建てていた。

 

 彼の趣味はゴルフであり、60歳の誕生日になったから給料は半額になったと、ぼやいていた。

 

 オヤジはある確信を持って、彼に聞いてみた。

ーゴルフが趣味で60歳が定年で給料が半額って、もしかしてその会社の幹部だったの??ー

ーうん。一応,幹部やっていた。ー

―凄いね。ずいぶん頑張ったんだ。ー

と、答えを返すと、彼は少し時間を置いたのち、

ーそう。がんばった。ー

ー本当にそうおもう。ー

 

 彼の答えは一片の曇りのない答えであった。

  彼は自分でそう言い切れる権利はあると思う。

 

「アレカラ。ボクハ、ガンバッタノデショウカ?」

 

 オヤジの人生は、彼のような特別頑張るような、特に大きな山も無く、ただ平凡な人生であった。

 

 ただ、今は静かに子供たちと笑って暮らしている。

 

 主(あるじ)さんの言った「神様はその人に、乗り越えれない試練は与えない。」

あの言葉は本当の言葉であった。

 

 たとえそれが仕事ではなくとも、本当に努力した生き方なら、きっと厳しい試練も乗り越えて静かに暮らしていける日々がやってくるのだ。

 

 ある人が言った。

「オヤジは良いよなぁーーー。自分の好きな生き方が出来て。生き生きしているわ。」

オヤジはその人に言った。

「俺から見たら、お前のほうが全然良い生き方だぞ。子供たちはもうきちんと独り立ちして、安心できるんだから。」

 

 そう言いながら、彼には絶対にオヤジが望んでいたものなんか、分からないと思った。

 

 オヤジがどんなに願っても、もう2度と手に入らない物の事などを・・・・・

 

 良かったら、今のオヤジの生き方に、多大な影響を与えてくれた、この二人のブログにも、遊びに行ってみて下さい。