別れは突然に!! | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 

 今日、娘2号が新しい生活のために、一人、旅立った!!

「セーラー服と機関銃」の歌詞と同じように、スーツケースにいっぱい希望をつめこんで。

※今回のBGMは橋本環奈のセーラー服と機関銃で聞いてください。薬師丸ひろ子や長澤まさみではないほうね。

 

 娘2号の夢は韓国留学であった。

 

 高校の頃に進路相談で、その話を聞かされたオヤジは、当時、娘が好きであった韓国のアーテストのBTS(防弾少年団。)の影響だと思っていた。

 まあ、その通りなのだが、普通にBTSの生まれた韓国を見たい為。などという不純な理由なら、即、親の権限で猛反対するのであった。

 

 が、娘はここからが違っていた。

 韓国までの行く方法、留学にかかる費用。宿泊先。さらには留学ではどこの学校に行くか?まで全部一人で調べ、そのためにバイトもしていたという事である。

 また、短大までは親の援助で行くが、留学に関しては全て自分のお金で行くから、オヤジからの援助は一切いらないという事であった。

 

 さすがにここまで、計画的に考えられたら、もう反対するのは、オヤジ個人のエゴというしかない。

 素直にオヤジは負を認め、留学に賛成した。

 

 そして2年間、娘は短大中もバイトで留学代を用意して、さらには先日の引っ越し後に韓国領事館に行って、ビザの発行をしてもらった。

 

 その間、何度もコロナの影響で、出国を諦める事もあった。

 短大卒業後、仕事は付かないでバイトをして出国のチャンスをうかがうつもりでもいた。

 

 昨日。オヤジは娘2号と、夜遅くまで話し込んだ。

 内容は特になく、とりとめもない事であった。

 

 そして今日、会社に行く前に、「じゃあ、お父さんは会社に行ってくるな。お前も気を付けて行って来いよ。」と、別れのお挨拶はあっさりしたものであった。

 

 そして娘の心配をしていた矢先、車検にタントカスタムを出していたS車輛の社長から電話が入った。

 

 工場で調べたら、タントカスタムはまさに満身創痍であったらしい。

 

 

 正にむすめの引っ越しの為に、最後の力を振り絞って走ってくれていたらしい。

 

 タントカスタムは、かみさんが気にいって買った車であった。

 かみさんが生前から、色々な思い出を作ってくれた。家族4人で計画も無しに函館まで旅行に行ったこともあった。

 

 そしてかみさんの死後、一度全損としての大事故を起こしたこともあった。

 しかし、オヤジはかみさんの面影を求めて、多額の費用をかけて、タントカスタムを修理することした。

 

 以来、いままで現役で元気に走ってくれていた。

 

「もう、機械としての寿命がきたんだよ。よく頑張って走ってくれたな。」と、社長は静かにオヤジに語った。

「わかりました。」と、静かに電話を切ったオヤジであった。

 

 オヤジの場合は、大切な人や物の別れはいつも突然である。

 

 大切な娘がオヤジから旅経つと当時に、まるで役目を終えたように、家族のような存在のタントカスタムも静かに消えていった。

 

 今日は久しぶりに少し疲れた・・・・・。

 

 

 

良かったら、今のオヤジの生き方に、多大な影響を与えてくれた、この二人のブログにも、遊びに行ってみて下さい。