コッちゃんの一大事!! | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 

 最近、気持ち良い寝息で目が覚める朝がある。

 

 ふと横を見ると、オヤジの大切にしている、ネコのココが何食わぬ顔で、オヤジの腕の中で寝ている顔であった。

 

 そんな朝はたまらなく幸福感に包まれる。

 

  オヤジは昔から動物を飼うのが嫌であった・

理由はふたつ。

一つは飼っている動物のトイレ掃除を行うのが面倒である。というのと、こちらのほうが最大の理由であるが、やはり飼っている最中に、死んでしまうのがとても辛いからだ。

 だから妻や子供たちにも、ネコを飼いたい。とか、犬を飼いたい。と言われても、かたくなに断っていた。

 

 そんなある日の時であった。

 妻や娘2号の、異常なネコを飼いたい攻撃て、いよいよオヤジもネコを飼うかというあきらめの日が来た。

 

 しかし、動物をお店で買うというのは、異常に値段が高い。

 あるお店なんか、20万円で販売している血統書付きネコを、もし、今買うなら15万円までまけます。という事で、殆ど妻と娘2号は買いかける所であった。

そこでオヤジは「ちょっと待て!!」と、買うのを制した。

そして二人には「お前たちはネコを飼いたいんだろう??なら別にお店で高いネコを買う事は無いだろう??」と、尋ねた。

「うん。ネコを飼えるなら、別に安いネコでも良いよ。」と言う事で、とりあえずは血統書付きのネコの購入を諦めてもらった。

 

 その次の日である。

 

 地方紙の欄に、里親募集!!という広告が載っていた。

 

 読んでみると、子猫が2匹生まれていて、子猫の里親を募集している。とのことであった。

 早速、広告先の動物病院に行って、もらってきた子が、このココである。

 

 ココが来てからオヤジ家の生活は一変した。

 

 すべてがココ中心の生活になったのだが、ココを飼う事で一つ約束をしたのがあった。

それはオヤジはココの世話は一切しない。妻と娘2号が協力して。ココの面倒をみるという事であった。

 

  ココが オヤジ家に来て1週間後、妻が急に倒れた。そして緊急入院。

 

 妻はオヤジにこんなことになったから、ココはやはり返そうかと聞いてきた。

しかし1週間もいれば愛着が出る。

 

 ココの世話はオヤジがするから、別に返さなくて良いよ。と答えを返した時に、

「ココは私に替りに、この家にやってきたんだね。」と、妻はぼそりと言った。

 

 それから半年後、妻は急逝した。

 

 悲しみにくれるオヤジ家で、ココは立派にオヤジ達を癒してくれた。

 

 多分、ココがオヤジ家に来たのは、必然であったのだろう。

  今ではもう家族同様である。

 

 扉を開けて欲しいと、オヤジの顔を見ながら、ニャーーッとなく。

 

 朝、出社するときに、会社行ってくるから、留守番頼むね。と、ココにいうと、(任せておいて。)と言うように、にゃん♪と答えてくれる

 

 そんな日が続いた、今朝の事である。

 

 今日も「ココ。行ってくるから、後は頼むな。」と、言いながら、ココの頭を撫でたオヤジは、なぜだか顔の雰囲気が違う事に気がついた。

 

 よーーく見ると、右側の唇から奥のほうが、何やらどす黒い感じなのだ。

 

 あわてて、ココの口の中を見ると、牙が抜け落ちた部分から、唇にかけて真っ黒になっているのだ。

 

 気になったオヤジは休憩中に、ネコの口の中が黒い。をグーグルでくぐってみた。

 

すると、歯周病や唇の色素の黒み、更には最悪の場合は悪性の腫瘍とまで検索が出ていた。

 

 すぐに、ココをもらってきた動物病院に電話をして、症状を伝えてみた。

まずはきちんと見ないと何とも言いようは無い。と言う事なので、今日は会社の早帰りなので、帰った後の予定を全部中止にして、帰るなり、ココを連れて動物病院に走った。

 

 飼い主の気持ちは、飼い猫にも伝染すると思う。

 

 不安なオヤジの気持ちがココにも伝わったのであろう。

 ココは盛んにゲージの中で,なき続けていた。

(どうか悪性で無いですように。)と、オヤジはそれだけを祈っていた。

心配な気持ちで車で走り続けた30分。

 

 お医者さんに診てもらった結果、ココの唇の黒いのは、単なる唇の色素の黒みという事であった。

 

 ただ、やはり歯周病は激しいため、痛くて食べ物が食べないようであれば、手術をするから、その時は病院に来なさい。という事であった。

 

ホッ。として、お礼を言って帰るオヤジ。

 

 帰りに気が緩んだのであろう。

 

 オヤジはココに「良かったなぁーー。ココ。」と、何度も何度もココの頭をなでて、不意に大粒の涙がこぼれた。

 

 オヤジの中で、安心して泣き出す経験は初めての事であった。

  そんなオヤジをココは不思議そうに、ずーーつと見ていた。

 

家に帰ったら、相変わらず、人なっこいココと化していた。

 

 

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