最近、気持ち良い寝息で目が覚める朝がある。
ふと横を見ると、オヤジの大切にしている、ネコのココが何食わぬ顔で、オヤジの腕の中で寝ている顔であった。
そんな朝はたまらなく幸福感に包まれる。
オヤジは昔から動物を飼うのが嫌であった・
理由はふたつ。
一つは飼っている動物のトイレ掃除を行うのが面倒である。というのと、こちらのほうが最大の理由であるが、やはり飼っている最中に、死んでしまうのがとても辛いからだ。
だから妻や子供たちにも、ネコを飼いたい。とか、犬を飼いたい。と言われても、かたくなに断っていた。
そんなある日の時であった。
妻や娘2号の、異常なネコを飼いたい攻撃て、いよいよオヤジもネコを飼うかというあきらめの日が来た。
しかし、動物をお店で買うというのは、異常に値段が高い。
あるお店なんか、20万円で販売している血統書付きネコを、もし、今買うなら15万円までまけます。という事で、殆ど妻と娘2号は買いかける所であった。
そこでオヤジは「ちょっと待て!!」と、買うのを制した。
そして二人には「お前たちはネコを飼いたいんだろう??なら別にお店で高いネコを買う事は無いだろう??」と、尋ねた。
「うん。ネコを飼えるなら、別に安いネコでも良いよ。」と言う事で、とりあえずは血統書付きのネコの購入を諦めてもらった。
その次の日である。
地方紙の欄に、里親募集!!という広告が載っていた。
読んでみると、子猫が2匹生まれていて、子猫の里親を募集している。とのことであった。
早速、広告先の動物病院に行って、もらってきた子が、このココである。
ココが来てからオヤジ家の生活は一変した。
すべてがココ中心の生活になったのだが、ココを飼う事で一つ約束をしたのがあった。
それはオヤジはココの世話は一切しない。妻と娘2号が協力して。ココの面倒をみるという事であった。
ココが オヤジ家に来て1週間後、妻が急に倒れた。そして緊急入院。
妻はオヤジにこんなことになったから、ココはやはり返そうかと聞いてきた。
しかし1週間もいれば愛着が出る。
ココの世話はオヤジがするから、別に返さなくて良いよ。と答えを返した時に、
「ココは私に替りに、この家にやってきたんだね。」と、妻はぼそりと言った。
それから半年後、妻は急逝した。
悲しみにくれるオヤジ家で、ココは立派にオヤジ達を癒してくれた。
多分、ココがオヤジ家に来たのは、必然であったのだろう。
今ではもう家族同様である。
扉を開けて欲しいと、オヤジの顔を見ながら、ニャーーッとなく。
朝、出社するときに、会社行ってくるから、留守番頼むね。と、ココにいうと、(任せておいて。)と言うように、にゃん♪と答えてくれる。
そんな日が続いた、今朝の事である。
今日も「ココ。行ってくるから、後は頼むな。」と、言いながら、ココの頭を撫でたオヤジは、なぜだか顔の雰囲気が違う事に気がついた。
よーーく見ると、右側の唇から奥のほうが、何やらどす黒い感じなのだ。
あわてて、ココの口の中を見ると、牙が抜け落ちた部分から、唇にかけて真っ黒になっているのだ。
気になったオヤジは休憩中に、ネコの口の中が黒い。をグーグルでくぐってみた。
すると、歯周病や唇の色素の黒み、更には最悪の場合は悪性の腫瘍とまで検索が出ていた。
すぐに、ココをもらってきた動物病院に電話をして、症状を伝えてみた。
まずはきちんと見ないと何とも言いようは無い。と言う事なので、今日は会社の早帰りなので、帰った後の予定を全部中止にして、帰るなり、ココを連れて動物病院に走った。
飼い主の気持ちは、飼い猫にも伝染すると思う。
不安なオヤジの気持ちがココにも伝わったのであろう。
ココは盛んにゲージの中で,なき続けていた。
(どうか悪性で無いですように。)と、オヤジはそれだけを祈っていた。
心配な気持ちで車で走り続けた30分。
お医者さんに診てもらった結果、ココの唇の黒いのは、単なる唇の色素の黒みという事であった。
ただ、やはり歯周病は激しいため、痛くて食べ物が食べないようであれば、手術をするから、その時は病院に来なさい。という事であった。
ホッ。として、お礼を言って帰るオヤジ。
帰りに気が緩んだのであろう。
オヤジはココに「良かったなぁーー。ココ。」と、何度も何度もココの頭をなでて、不意に大粒の涙がこぼれた。
オヤジの中で、安心して泣き出す経験は初めての事であった。
そんなオヤジをココは不思議そうに、ずーーつと見ていた。
家に帰ったら、相変わらず、人なっこいココと化していた。
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