オヤジが工具を集める理由(わけ)。 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

  第2ガレージの作成の際オヤジは建築業者から、

「オヤジさんの工具って、もう普通の人の集めている範囲ではないねぇーー。」

「下手な個人の業者よりも、工具が揃っているんでないの??」と、感心されるというよりも呆れられることがあった。

 

 確かに自分でも、なんでこんなに工具を持っているのか?また集めるのかを深く考えていることは今までに無かった。

 

 しかし、今回、ある言葉が引き金っかけになったのではと考えるようになった

 

 オヤジのおやじは・・・・

あっ。紛らわしい!!父親は、個人経営の電器屋であった。

 

 今の家電製品を売り、故障が出たら受付して、メーカーに送って修理という電器屋ではなく、テレビが壊れたから、テレビの中を開けて、その場で修理するという、昔ながらの本当に自分で修理できる電器屋であった。

 

 TVが壊れてメーカーの送って修理代を見たら、1万円と言ってもそれが当たり前だと思うが、実際、目の前で修理をして、300円ほどの部品代を交換して、「はい。修理代が1万円です。」と言ったら、普通の人なら、「なんでこんな小さな部品の交換で1万円なの??」と言うような感じ方をするであろう。

(実際はそこまでの故障を調べるのが、1万円の価値があるのだが、何も知識の無い大半の人は、ずいぶん高いと考えるのが妥当であろう。)

 

 そんなことであるから、オヤジ家は多分、街の中ではかなりの貧乏なほうであった。

 

 過去に父親の仕事ぶりに、税務署から一度だけ査察が入ったことがあった。

「単価、数千円で、売価数万円の商品を売るから、こんな税金の支払いはおかしいから、絶対に脱税をしている。」というのが、彼らの言い分であったが、実際、オヤジ家に来て余りの貧乏な暮らしぶりを見て、納得して帰った。といおう話もあった。

 

 また工具はどれも大切にしていて、たとえサビだらけで、どんなに汚い工具で、同じ工具が何本かあっても、たとえ捨てることなく、大切に持っていた。

 

 父親はこうして自分の好きな修理ばかりしていたので稼ぎは少なく無く、あまりの貧乏さにオヤジの母親が、奮起してオヤジ達を養ってくれたようなものであった。

 

 オヤジもまた父親の後を継ぐべく、電気系の仕事を勉強したのだが、修理を行う才能もなく、挫折した20代であった。

 

 ただ、幼いころから電器屋をやるというのが心のどこかにあって、その流れで大手の電気店に入社した。

 

 当時のオヤジは400ccのバイクを購入していたので、メンテ用として持っている工具は+と-ドライバーが各1本、メガネレンチを数本ぐらいしか持っていなかった。

 

 そんな電気製品の修理一筋の父親であったが、オヤジが30代の頃に急に体調を崩したと思ったら、わずか3ヶ月で急逝した。

 

 そして1週間ぐらいしたら、その話を聞いたリサイクルショップ店が、父親の仕事場から、修理に使う機械(オシロスコープ)など、軽トラ1台分すべてを8万円で買い取っていった。

 

 ただ、父親の工具だけは、バイク整備に使えると考え、売るのを断って手元に残しておいた。

 

 あれだけ機械で埋めつくされて狭かった仕事場は、主がいなくなり広々としてガランとしていた。

いま迄自分の目標だった人間が急にいなくなり、オヤジは次に何をしたらいいのかを考えていた。

 

 そんな時である。

 手元に残しておいた父親のサビだらけの工具をそっと手にした母親がしんみりと言った。

 

「お父さんね。電器屋をやるときにね。あんまりお金が無くて、工具も買えなかったの。」

「そこで母さんが買ったミシンの整備用のドライバーを,父さんにあげたんだよ。」

「父さん大変に喜んでね。そのドライバーをずっと大切に使っていたよ。」

「そして、どんなに汚い工具や錆びていても、決して捨てることは無かったよ。」

 

と、話してくれた。

 

多分、それ以来であろう。

 リスが食べ物を貯めるために、ぜっせと口にくわえていくように、気に入った工具があれば、お金の有無に関係なく手に入れていった。

 

 そして、いま、これからの人生に、生きていくには苦労しない分の工具が手元にある。

  そんな工具に囲まれながら、オヤジは自分の父親と対話しているのではないだろうか?

 

「オヤジ??俺も少しは工具を使いこなせるようになったかな??」

 

「まだまだだろう。お前は沢山の工具で何とかなっているだろう??本当に腕のいい人間は、何本も工具は持たないぞ。」と、自慢げに笑顔で答える父親の姿があった。

 

  ここで今まで貯めているオヤジの工具を紹介しよう。

 

 まずはガラクタと化している第一ガレージから。

 

 今はコードレスドライバーがメインになり、使わなくなってガレージ内にうずもれている、

コード式ドライバー3本。

 

 

 整理整頓の札が空しく飾られている。(笑い♪)

 

更に完全に業務用の工具もある。

もはやこれらを使いこなせるのは、大きな工場や広い場所でなければ置くこともできない。

多分、購入して忘れている工具がオヤジが知らない場所で、ゴロゴロしている。

 

 最初、バイク整備にはエェーツールが便利だと、読んだ本に書かれていて、電動工具よりも、インパクトレンチや、ベルトサンダー等の、エァーツールを買い求めていった。

この中に今はもう使われなくなって、しまい込まれている。

もちろん、コンプレッサーはイの一番に購入した。

エァーツールを使わなくなったのは、その便利性の悪さである。

 

 常時、コンプレッサーを回している工場なら必要な時に、エァーツールを取り付けてすぐに使えるのだが・・・・

 

 一般家庭はそう行かない。

①まず、しまっているコンプレッサーを出す。

②次にまたしまっているエァーツール用のホースを出す。

③エァーツールを出す。

④コンプレッサーの電源を入れて、ようやくエァーツールを使う。

 

 工場ならたったワンアクションで使える工具が、一般家庭の場合は、4アクションも必要となる。

 

 実際、エァーインパクトで車のタイヤを外そうと思って、インパクトを使うまでに用意が30分もかかったのだが通常なら、たった1,000円の十字レンチが1本あれば、軽自動車なら30分で4本全部交換出来た。

 

 さらに工場のコンプレッサーは200Vでタンクも大きいから、長時間使えるのだが、家庭用のコンプレッサーは少し使ったら、タンクが空になる為、いちいち、タンクを満タンにしながら使う事となった。

 

 こうして、オヤジは工具はエァーツールよりも電動工具を中心に集めていくようになった。

 

 第二ガレージにはオヤジは使う必要な工具を集めていった。

 

 ビューエル用と思って集めたインチ規格の工具。

これは壁にかけて、もはやディスプレィーと化している。

 

 

次に黒いツールボックスから。

 

KTCとなっているが、無名ブランドのツールボックスにKTCのステッカーを貼っただけである。

(笑い♪)

 

 ツールボックス上部。

ここにハンマーやドライバーが入っている。

次に2番目、3番目、4番目の引き出し。

 

 

 コンビネーションやメガネレンチが、サビのように赤茶けているのは、昔、父親が工場のモーターの整備を他の業者とやった時の証である。

 

 当時は足りない工具があれば、人に借りておいて、平気で自分のものにした人が入る為、他人の工具と間違えないように、赤いペンキを塗り、自分の工具とわかるようにしたのである。

 

 

 

 更に5番目、6番目の引き出し。

 

 

 

 

 

一番下はガラクタを入れているから見せない。(笑い♪)

そしてこないだ作ったTレンチホルダー。

普通ならここで呆れるくらいなのだが・・・・・

 

移動用として、通常はこちらの工具を使っている。

 

このぐらいあれば、大抵も事は出来る。

で、更には

 

 入り切れない工具が、茶の間の物入れにさえ、溢れかえっている。

で、どどめの工具がこれ。

 

 言わずと知れたSnap-ONの工具一式。

 

 知っている人ならこの工具の値段が10万円以上する事を分かるであろう。

過去、何人もの人間がこの工具を狙って、オヤジにアクセスしてきた。

 

 これはもう完全にディスプレィ用だから、オヤジは1回も使わないで、ニャニャしながら、このSnap-ONを磨いている。

 

 

 

 

今日の戦利品♪

停電用と車中泊用に用意したLEDランタン。

しかもブランドはアウトドァーで有名なコールマンだ。

 

しかし長い間使わなかったら、いつの間にか点灯しなくなっていた。

管球を取り換えてみようと思ったら、特殊管球の為、取り換えが出来なかった。

電池の接点も何ともない為、もはや、買い替えしかないと決意!!

 

  しかし、中古で買っても最低、2,000円はするため、購入を控えていた。

 で、今日は長い間行かなかったリサイクルショップで発見!!

なんとブランドは同じコールマン。

そしてお値段は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

破格の税込み198円。

さらに紙のマスクを1枚、おまけに付けてくれた。

店員さんは電池の端子のサビや商品のキズを示して、無茶苦茶心配してくれたが、たった200円である。

 久しぶりに良い買い物をしたと、ウキウキで帰るオヤジであった。