知床ミステリー・ツァー♪ | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

先日の事である。オヤジのガレージにひょっこりと現れた友人I。

そして別れ間際に、「オヤジ!!今度の休みはいつだ??」と聞いてきた。

「2日だけどどうした??」

「そうか、分かった。その日は何か予定は無いの??」

「別に無いよ。」

「それなら、今度、ジムニーで知床に行かないか??」

(来たぞ!!来たぞ!!ジムニーなら林道か??)

「ああ。別に構わないよ。」

「で、何処に行くんだ??」

友人Iはその途端、いたずらっぽい目で、「それは行ってからのお楽しみだっ!!」

 

 と、言う事で、今日はIに連れられて、知床ミステリー・ツァーの始まりとなった。

 

 午前9時。いつものようにコーヒーの差し入れで、友人Iは現れた。

ターボで武装したスズキ・ジムニーはガタガタ!!と言いながら、いかにも壊れそうな感じで現れた。

 

 最近、友人Iは林道に凝っているので、GTRようなスポーッカーの単純な速さよりも、「キリン」風に言えば、内なる速さを求めだしたのだろう。

 

 これから向かう知床のほうは、雲行きが怪しく、時期的にもいつ雪が降ってもおかしくない状況であった。

 

浜小清水の道の駅でトイレタイム。

 

直ぐにバイクや車を擬人化してしまうオヤジとは違って、友人Iは誠に機械を機械として正常に見ている。

「おーーい。I。ジムニーのあちこち出来ているサビ。サビ落として、塗装か何かしないのか??」

「いや。フレームが錆びてなければ、このサビは外装に出来ているサビだから、別に構わないから、そのままにしているよ。」

「それにジムニーはピカピカよりも、少しボロいほうがカッコ良いからね。」

と言いながら、彼特有の車のカッコ良さの持論を唱えた。

 ジムニーのあちこち出来ているサビも、走りさえ問題なければ、全然かまわないで乗っている。

 

 更にジムニーはガタガタ言いながら知床に向かっている。

 

知床のウトロの道の駅にて。

 

 ここでも再びトイレタイム。

 いゃーーー。ジジィになってきたら、やたらトイレが近くなるんですよねぇーーーー。

 

 しかし、本格的4WDではあるが、遅くて乗り心地の悪いジムニーに対する評価を、オヤジは改め直した。

 

 過去、ジムニーにあおられて、追い越し禁止車線で目の前でゆっくりと走られ続けたオヤジは、追い越し禁止車線が解除されるや否や、猛然と加速して、ジムニーを追い越して去ったのだが、あの後、ジムニーは怒って一生懸命に、オヤジのパジェロ・ミニを追いかけてきた。

 しかし、絶対的な速度差に、オヤジのパジェロ・ミニに追いつけなかったジムニーは途中であきらめたのを体験しているオヤジは、ジムニー=遅いという公式が、オヤジの中に出来上がっていた。

 

 そしてIのジムニーは確かに乗用車よりは乗り心地が悪いのだが、速さで言うなら、ターボが付いている分、オヤジの乗っていた、パジェロ・ミニと同等な速さをもっていた。

 

 ウトロの道の駅でトイレタイムを終えたIはそのままジムニーのハンドルを世界遺産とされているウトロの山奥にハンドルを向けた。

(いよいよ林道か??)というオヤジの予想を大きく裏切り、友人Iとオヤジを乗せたジムニーはそのまま浦臼方面の道に向かう。

  ここかから天候は荒れ出してきて、知床横断道路に向かうと、雨が降り出してきた。

7年ほど前に主(あるじ)さんと走った知床横断道路。

 

 

ホワイト・アウトの中、視界、数メ-トルの悪夢がよみがえる。

 

 前方に見える羅臼岳にはもうすっかり雪が覆われている。

 

道路わきにはもう雪が降った跡がのこされていた。

 

  しかし、雨が降る悪天候ではあったが、霧の発生はしてはいなくて、単なる雨であったので、無事に知床横断道路は走り切った。

「なあ、I??今日は羅臼に行きたかったのか??」

「4日後にはこの横断道路も封鎖されるから、その前に羅臼で一度見てみたい場所がある。」

 羅臼の道の駅で、これから行こうとする場所を確認する、友人I。

 

 本日は気温13度。

そろそろ雪がふるという予想に反して、おもったよりも暖かかった。

 

 そして、羅臼に着いたIが向かったとこは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1本の狭い急な登坂。

「うわっ!!I??ここ。車は通れるのか??」と、不安そうにオヤジは聞く。

「何言っているの??この道はまだアスファルトだぞ。俺のGTRでさえ、こんな道なら走れるぞ!!」

 と自信満々に友人Iは急な登り坂を、まるでカタパルトから発射されたジェット機のように、ジムニーを走らせた。

 

 クジラの見える丘公園。と言う場所であった。

今日はあいにくの雨と言う悪天候であったが、このまま半日もいれば、何だかクジラを見ることが出来そうな感じである。

 

眼下にはわずか25km先の国後島がそびえたつ。

友人Iと,オヤジはこの素晴らしい場所に納得して、帰ることとする。

わかっているとは思うが、帰るという事は、再び、あの狭い急な坂道を下るという事である。

「ぎぁーーージ・ジヌ(死)ーーーッ!!」

  再び、オヤジのうるさい叫び声と共に、ジムニーは順調に、国道に向かって言った。

無事、国道にたどり着いたオヤジ達は次の目的地に向かう。

 

途中、2002年に公開された、名作、北の国からのジュン君の家に寄る。

 

 

 

標津でもトイレ・タイムを行い、

 

時刻は午後1時30分。

ここの回転すし屋さんで、お昼とする。

 

 食事を終え、時刻が3時近くになると、急速に日は傾き始める。

根北峠から斜里に向かう。

 

途中、越川の温泉を見学。

 友人Iの凄いとこは、ここら辺に温泉があったな。という話が出ると、すぐにその場所に向かう、アクセスの早さである。

普通なら「そうだね。ここら辺に温泉があったね。」で済ますはずである。

 

 

更に来運の名水を見に行く。

 

どちらもオヤジは初めて来た場所の為、非常に興味ぶかかった。

そして、次第に日が陰っていく。

 

それは今回のオヤジ達の旅の終わりを意味していた。

 

知床ミステリー・ツァー

 

  -完-