ゴールデンカムイ!!第一段!!-エピローグ -バットチョイスー | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 旅の帰り道、オヤジは娘1号に「この車を買ったことは間違いだった。」

と話した。

 すると娘1号は「じゃあ、お父さんはこの車を手放すの??」と、少し寂しげにオヤジに問いかけた。

 オヤジはこの車を買う前には、スバルのWRX,STIを購入する予定であった。

 理由はまず4WDである事だからだ。

4WDなら真冬にも乗れる。(S2000は頑張って冬も乗れるが、第一、オヤジの駐車場は坂の為、雪が降ると、道路から駐車場に入れない。以前、FFのミライースに乗っていた時も、轍がひどくて、駐車場に入れなくて、パジェロミニに替えたぐらいなのだ。)

(ついでにオープンカーの為、吹雪けば立ち往生の時に、死ぬかもしれない。)

5人乗れる。(S2000はご存じ2人乗りである。荷物もたくさん積める。(S2000はキャリーバックが1個さえ入らない。)

馬力もGTR並みの280馬力。(S2000は250馬力。)

更に2台しかいらない為、維持ははるかに楽である。

 現在は娘とオヤジ用の通勤車に軽自動車2台とS2000の3台体制である。

 どう考えても、どれをとっても、S2000を買うよりも、WRXのSTIを買うほうが、絶対に速さ、維持、利用状況はお得なのだ。

 しかし、S2000を手に入れて、唯一わかったことがある。

運転が楽しいのだ。

 免許を取って、初めてじぶんの車を持った時。

やたら意味もなく、どこかに行きたくなる気持ちが、この車にあるのだ。

 オヤジは「いや、この車は手放さないよ。」

「正しいからそれを選ぶというのではなく、たとえそれが間違っていても、自分が選ぶ。という事が大事なんだ。」

 

 先日、久し振りに札幌にいる4歳年上の姉と電話した。

もう年で旦那さんとともども、札幌から遠くには行けないなーー。と話していた。

 そしてオヤジが今年の3月から1か月間の間に、コロナの影響で娘2号のために4回ほど、札幌で日帰りや徹夜で走ったことを話したら、ずいぶん驚いていた。

 

 多分、S2000を選んだオヤジは、間違った選択をしてしまったのだろう。

 しかし、今回の旅の同行がWRXだったとしたら、これほどまでアチコチ走ったであろうか??

 せいぜい、夕張位まで行った後、明日の仕事のことを考え、高速に乗って一気に帰宅して疲れをとっていたのが濃厚だと思う。

 S2000はオヤジに挑戦してくる車である。

「もっと遠くに走れるか?もっといろいろな場所に行けるか??」

そう、ハンドルを握るたびに、オヤジに訴えてくる。

 間違った選択もそれもありなのかとオヤジは思う。

 

2020年8月4日。

心地よい旅の思い出と共に、月夜で鈍く銀色に輝くS2000を見ながら。