アタック!! ザ!林道!!道なき道を走破しろ!!2 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 食事を終えたオヤジ達は、次に向かったのは、さっきの入り口の反対側であった。

その入り口も、いつもと変わらない国道から、すぐ脇に入った場所であった。

この国道から中に入っていった。(要するに、中に入る車の後ろから撮った画像である。)

 

今回の林道は対向車が無い為、道幅は相変わらず狭かったが、比較的楽に走れた。

さらにさっきよりも、ガタガタしていない為、さっきのような変な声も出さないですんだ。

オヤジはさっきよりも楽な林道なので、少しホッとしていた。

30分も走ったであろうか??

突然、大きな畑が現れた。まっすぐ行けばどうやら、終わりのようであるが、左側の険しい道の看板に、第一〇〇林道と書かれていた。

「第一という事は、多分、ここが本当の林道だよな???」

「多分な。」と、Iとオヤジはお互いに確認しあうようにつぶやいた。

「よし!!今度はこっちを走ってみよう!!」

 

すると、走り出した道の様子が一変した。

 

 

相変らず、ゴツゴツとした地面では無く走りやすいのだが、今回の雨の為であろうか??やけに地面がぬかるんでいたのだ。

4WDのはずなのだが、時折、後輪が流れる。

急な登坂+目の前が全く見えないブラインド・コーナーの連続である。

 

「ここはもとは野上峠の本当の国道だったんだろうなぁーー。」と、友人Iが言うと、

「えっ??こんなとこが国道なら、真冬に走って、対向車はどうやってすれ違うんだ??」

「多分、当時は車というよりも、馬車でないか??」という、友人Iの答えに、納得するオヤジである。

 

 しかし、オヤジ側のほうは深く切り込んだ谷である。当時はいくら馬車でもやはり峠超えは命がけであったのではないだろうか??

もし、万が一間違って谷に落ちたら、やはり命はないであろう。と、ビクビクしていたら、

「その前に木に引っかかるから、絶対に途中で止まるよ。」

という、友人Iの言葉に、ようやく安心する。

 

 毎度のことながら、友人Iの行動は、行けるだろう。という、猪突猛進的なバカな行動ではなく、一応、理論的に考えて行っている行動の為、

その一言、一言を聞くたびに、納得するオヤジである。

 

そう、こうしているうちに、一本の木が倒れている道が現れた。

 

 

 画像では大したことのない登坂に見えますが、実際はかなりの急斜面である。

しかも、ここからは左がわに行ける道は、まったく見えない。

 

すると、今まで冷静だった友人Iの顔が変った。

 

「まずい!!。あそこの道を登るのは無理だ!!」

 

前を見れば斜度30度はあろうかと思われる、急斜面である。しかもかなりのぬかるみである。

これで終わりだと思ったら、左側の道に行こう。と言い出した。

 

「えっ??道なんかあった??」と、驚くオヤジをしり目に、Iはその急な登坂に向かって、急にハンドルを左に切った。

すると、少し斜度は緩やかであるが、やはりかなりのぬかるみであるが、ジムニーはトコトコと登り始めた。

 

 そうして、ようやく広い場所に出たと思ったら、その陰にさらに急な登坂が現れた。

 

 先ほどの登坂もそうであるが、完全にもうここから先には入るな。というような巨大な意志のような感じもする。

流石のIもそんな気配を察知したのであろう。

 

今まで強気だったIが

「これ以上はもう無理だな。引き返そう。」

「晴れていたら、もっと先に行けるかもしれないが、ここはかなりのぬかるみだ。」

「いったん、ぬかったら、もう出られなくなるかもしれないな。」

「そうだな。もう地面もかなりぬかるんでいるから、いったん止まったら脱出できなくなりそうだな。」と、言いながら。どこかホッとしているオヤジる。

 ちなみに、Iは一応、ぬかるみにはまった時のために、スコップと、雪道の脱出用のプレートの用意していたそうだ。

 

 帰り道は当然下り道である。

Iはほとんど止まるか、止まらないかのギリギリの速度で下っていく。

しかし、決してタイヤはロックさせない。

いったんロックしたタイヤはハンドル操作を無効にさせ、簡単に谷底に向かうのだ。

「しかし、何だな。一回来た道だから、様子がわかっているから、少しばかりだが、心に余裕があるな。」

ようやく元気になるオヤジである。

 

   こうして、ようやくさっきの倒れていた木の場所までやってきた。

 

 多分、ここから先は行くなという結界だったのではないだろうか??

それを知らずに踏み込んだオヤジ達だったが、無事に戻ってこれたから良しとしよう。

 

先ほど倒れた木を超えたあたりから、道はまた正常になり、普通の山道のようになっていった。

こうしてまた先ほどの大きな畑の前までたどり着いた。

 

もと来た道を戻るか??それとも、先ほどの反対の道を行こうか??

 

当然、先ほどの反対の今まで走っていない道に向かう。

しかし、畑がある場所である。

もうそこは林道とは呼べる場所ではなく、単なる山道であった。

10分ばかしも走ったであろうか??

ようやくジムニーは 今度は本当の国道にたどり着いた。

 

 

 やはりここも今まで走っていた国道から、ほんの少し脇道のそれた場所であった。

日常の風景からほんの少しそれただけで、非日常の風景に突入する。

 

それが林道を走る楽しさなのだ。と、何となくオヤジは理解した。

しかし・・・・これが他人が運転していて、横で見ていただけだから楽しめたが、自分で運転して走ろう。と、言われたら、やはり断るだろうなぁー。

実際、こんな場所走るの怖いし、対向車なんか出たら、絶対にリカバーできないもん♪

 

 

 30年前にバイクを通じて出会った友人I。

あの時は「スピードに愛された男。」だと思っていたが、今は違う。

 

「Iよ。お前はこの鉄とプラスチックの塊である車やバイクに愛された男なんだな。」

 

  あくまでも感覚でなく、しっかりとした理論で走りをこなすIの運転に、やはり惚れ直すオヤジであった。

 

 

アタック!! ザ!林道!!道なき道を走破しろ!!2

 

      ー完ー