旅立ちの朝に-3-  | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

  18日(水)、引っ越し中日。

今日の予定は、午前中に冷蔵庫と洗濯機の配達。

(これだけは、自分で持ってこれないので、先に電器屋さんで購入していた。)

午後からは、また買い物の予定だった。

 

朝一番、「お父さん、昨日はとても寒かったよーー。」と半べそをかきながら、娘2号は起きてきた。

 

 実はオヤジはあまりの寒さに、昨日、12時頃に就寝、そして、今日の午後3時に起きていたのだ。そして、娘には内緒にストーブを付けていた。

 娘はとなりの部屋で寝ていたので、扉を閉めて、TVの配線を行っていた。

 

ここで問題が一つ発覚した。

 

 部屋の条件として、BS放送も映ると書いてあったが、どうやってもBS放送が映らなかった。

 

 オヤジは元、電器屋あがりである。TVの配線から洗濯機の取り付けなど、お茶の子さいさいの人間である。

調べたら、どうもBSのアンテナの電波自体が来ていないようであった。(うーーん。参ったなぁーー。不動産屋さんには、あまり文句を言いたくないが、これだけきちんと、契約に書かれていたら、やはり一言いうべきだろうなぁーー。)と、考え込んでしまった。

 

 とりあえずは、地上波だけを映るようにして、BSは後回しにした。

 まだまだ目がさえているので、娘が持ってきたレコーダーに入っていた番組の中から、レコーダーの試験もかねて、真夜中に音を非常に小さくして見ていた。

 

 時刻は5時過ぎになり、ようやく眠気も出てきたので、再び布団の中に入ることとした。

 

そして話は先ほどの娘の話に戻ることとなった。

「そうだね。今日は毛布を買おうか??」

「うん。毛布もあればいい。」

「それと、洗濯機が来るから、お風呂の水を入れるポンプも買おう。」

 

 それから少しして、身支度を行い、朝食を食べに行く。

娘のマンションから車で15分ぐらいのところに、オヤジのお気に入りの食堂があったのだ。

 

この食堂のチェーン店は、いろいろなおかずが置かれ、自分で好きなものを好きなだけ食べれるのが気に入っていた。

その為、旭川や釧路、帯広に行ったときは、よく利用していた系列のお店であった。

 やはり日本人は、朝からはお魚ととん汁だ!!

しかし・・・これでご飯は普通なのだが、大盛クラスである。

さらに娘は小を頼んだのだが、これも食べきれないという事で、オヤジに半分、ご飯をよそおい、最終的には・・・

 ご飯の山もりと化していた。

普段は糖質を気にして、こんなに食べないオヤジであるが、今回は朝からもりもりと・・・

(おかげで、札幌から帰ったら3kgも太ったのは秘密です。)

  朝食を食べ終わって時間は8時30分。そこでいきなり電話が入った。運転中だったので、娘に出させると、電器屋の配送センターからであった。

 電器屋さんには昨日に部屋に入居するので、今日の配達は午前中に指定しておいたのだ。

 

 すると、10時からだと思っていた配送が、これから9時ごろに来たいという事であった。

早いことは大歓迎のために、すぐに部屋に戻って、冷蔵庫と洗濯機の配達を待っていたオヤジ達である。

 

 9時ごろぴったしに2人の若い店員がやってきた。テキパキと冷蔵庫と洗濯機を取りつ行けたのだが、冷蔵庫の中の棚のテープは外していないので、不思議に思ったオヤジに気が付いた店員は、

「本来はすべての設置を終えて帰るべきなのですが、今回のコロナウイルスの騒ぎで、ぼくたちは勝手に冷蔵庫の中の棚の取り付けをすることができないので、これ以降はお客様自身で、棚を出してください。」という事で、納得したオヤジであった。

 

 また洗濯機の取り付けが終わり、説明をしようとすると、「分かるからいいですよ。」と、答えるオヤジに大丈夫かと心配そうな顔をした店員だったので、「元、同業者ですから。」というオヤジの答えに、安心して帰る店員であった。

 

 今日の一番の予定がさっさと終わったオヤジ達であるが、これから今日は娘の親友がなんと同じ札幌の娘の近くに住んで入りという事で、娘の友人に会いに行き、今回、オヤジが帰りの日に行こうと思っていた、札幌の隣町の江別市の蔦屋を見学しに行くこととした。

 

 彼女の住んでいるところは豊平区。札幌に慣れたオヤジは楽勝♪楽勝♪と言いながら、娘の親友の家に向かったのだが、札幌は豊平区からいきなり交通量が増えだした。

 ナビ通リに行くと、豊平区とは名ばかりの場所で、ほとんど札幌の中心街の近くであった。

はっきりいって、テレビ塔がすぐ見える場所である。

 

 かなりビビリながらも札幌の渋滞地帯を走るオヤジ。

 

 こうして無事に、娘の親友の住んでいる場所にたどり着き、今度は高速道路めがけて一直線。

ヘタな道を走って1時間以上もかけて、江別町にいくよりも、数百円で高速を使い十数分でたどり着くほうが、時間的に絶対に良い。

 ここの蔦屋は普通の本屋ではなく、かなり大きな本屋で、他に3棟、建物が並んでいて、本と料理がコラボした本屋になっていた。

ここで、昼食を食べる。

昼食後、娘たちと別行動をする事とした。

約、1時間あまりブラブラするオヤジ。すると、娘から連絡が来た。

娘たちもあまり見ることが無く、暇を持て余したらしい。

 

 時刻は午後1時過ぎ。

まだまだ遊び足りない娘たち。

 

江別から札幌に戻るのに、また高速に乗ろうと思ったオヤジであるが、ここで一つ、奇妙なことに気が付いた。

 

娘の住んでいる場所に行くルートが、高速を乗らないで行けそうなのだ。

 

 そこで、札幌の中心街をなるべく避けたいオヤジは、ナビを札幌に向けないで、恵庭に行く方面に向けたのだ。

 そしてそのルートを走っていると、江別⇒北広島⇒恵庭と向かいながら走っていくと、30分ぐらいで、車が少ない通りから、娘の住んでいる地区にたどり着ける場所に出てきた。

「おおっ!!高速も使わず、札幌の渋滞地区も通らないで、楽にこれた!!」

「今度から行き帰りはここからにしよう♪」と、裏道を見つけて小躍りするオヤジであった。

 

 これから娘の部屋を見せてから、友人を帰すのであるが、時間はまだ2時ぐらいである。彼女たちは、まだまだ遊び足りなそうであった。

そこでどこかに寄るか?と聞くと、近くにコストコがある為、そこの行きたいと二人が言うので、コストコに寄ることにする。

 

 ここは会員にならなければ中に入れない為、娘は会員になるためにサービスセンターに入ったのだが、なんとコストコの会員証は最低、年会費4,000円からでないと会員にはなれなかった。もちろん、速攻で止める娘である。

 ガックリと肩を落とす二人。

 

 そこでオヤジは二人がかわいそうになり、すぐ近くにある三井アウトレットパーク北広島店に入ることとする。

 

 昔、娘たちをここに連れてきたのだが、小さいときに来たため、あまり自分の見たいものが無くて、すぐに出てきた記憶がある場所である。

あれから10年近く経ったため、娘の興味も大人のものに変わったため、ここでも娘たちを別行動をとらせた。

 

 数回、途中で出会った時にオヤジは「ここでスイーッがやっていたな。」というと、目を輝かせて向かう2人。

そのあと、また出会った時、「お父さん。スイーッってどこにあるの??探しても全然見あたらないの。」と、悲しそうな娘の声。

「どれ、お父さんが案内してあげる。」と、言いながら連れて行ったのだが、どうやら娘の策略にはまったようだ。

そのお店に行けば、当然、二人におごらなければいけない。

娘もこの場所は知っていたかもしれないが、オヤジに案内してもらうという名目で、オヤジからスイーッをおごってもらうという作戦に出たのかもしれない。

 当然、にこにこ顔で二人に甘いものを奢るオヤジである。

 

 

ここから出た後に、娘の部屋を親友に見せた後、彼女を家まで送っていったオヤジ達である。

 

 

途中!!「おっ!!あそこにUFOが停まっている!!」と、驚くオヤジ!!

「あれは札幌ドームだよ。」と、冷たい視線の娘。

「えっ??札幌ドームというと、あの福山さんやARASHIのコンサートをやるところか??」

「そうだよ。と、普通に答える娘に、何故だか本当に娘は都会人になったんだなぁーー。と、急に寂しく思えるオヤジであった。

 

 そして所の足で再びオヤジ達はニトリに舞い戻り、彼女の求めている毛布を買い与え、最後に一人かけ用の座椅子というよりも、小さなソファーを購入して、本当に娘の買い物は終わった。

 

 荷物がたくさん入っているパジェロ・ミニの荷台にはソファーは入り切れずに、明日、また取りに来ます。というオヤジであったが、時刻は午後7時。閉店まであと1時間もある。

 オヤジの住んでいる場所は田舎である。ちょっとした買い物ちょっとをするには、常に車で1時間かけたところに行かなければいけないのだが、その為、運びきれないものを再び取りに来るには翌日。というのが普通である。

しかし、ここは都会。店員さんには、閉店まで戻ることを伝え、いったん商品をマンションに置いてから、ソファーを取りに来た。

 

「さあ、これで本当に終わり!!」

「お前にしてあげれるのも、これで終わり、後は今日の夕飯と明日の朝食を、一緒に食べてからお別れだ。」

夕食は近くの回転すし屋さん。

 

 コロナ・ウイルスの影響で、オヤジ達が入った食堂は、ほとんどお客さんがいなくて、閑古鳥が鳴いていたが、ここの回転すし屋は、お客さんが入っていて、繁盛していた。

 

 コロナウイルスの影響で、いつも休日の昼には50km先の回転すし屋さんに行くオヤジであるが、あれからほぼ1か月。回転すし屋さんも1回も行かなかったので、今日の回転すしは久しぶりに美味しかった。

 

 

 今日も疲れ切ったオヤジは風呂も入らずに、服を着たまま布団に入り、娘との最後の夜を迎えた。

 

 さあ、明日はいよいよファイナル!!オヤジは無事に娘との別れを迎えることができるのか??

 

 そして、札幌にいるはずの娘はなぜ今、オヤジのもとに帰ってきているのか??

 

 深まる謎は解決するのであろうか??