旅立ちの朝に-2- 後編。 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 いきなりですが、1週間前に札幌に旅立った娘2号ですが、何故か今はオヤジのもとにいます。

真相は最後にでも。

 

 それでは旅立ちの朝に-2- 後編です。

 

17日。時刻は午前11時。

 今日の予定はこれから役所に行って、娘の転入届を行い、そのあと、一人暮らしのために商品をそろえる予定である。

行く場所は、100均、ニトリ、ホームセンター、電器屋かもしくはリサイクルショップ。

この日のために、オヤジは娘の住む地区の地図に、行く場所のお店の位置をマークしておいた。

 

 まずは役所の場所をカーナビに打ち込み、その通りに行ったのだが、細かい番地が無くて、全然場所分からない。

そして、そのままわからないまま走ると、なんといきなりニトリに着いた。

 

 とりあえずは、ニトリで買い物をしてから、役所に行くこととする。

 必要なものを選ぶが、娘はこだわりが強いほうである。使えるものならなんでもいいというのではなく、とにかくお気に入りの1品を長く使いたいほうである。

 何点かニトリで買い物をしたが、なかなか気に入るものが無い為、何点かが保留で、ホームセンターを見ることとする。

そしてお会計。

 

 その時、オヤジは重要なことを忘れていた。お金をおろすことである。

金融関係の場所も知らないため、これからお金をおろそうとすると,行き帰りで、30分、下手したら1時間もロスをしてしまう。

そこで、オヤジは30年間一度も使わないでおいた、クレジットカードなるものを、カウンターに差し出した。

 この1回目の行為でオヤジは完全に壊れた。

以後、行く店々で「カードで!!」「カードで!!」の連発であった。

しかもいくら使用したかもわからなくなってしまった。

 100均だけはカードが使えないため、現金で払ったのだが、その他はほとんどカード払いとなってしまった。

 

 ニトリの買い物後、役所で転入届を行い、再び必要な商品を買い求めていった。

 パジェロミニは狭い荷台の為、1回では商品がおさまりきれなかったので、購入しては娘のマンションに商品を置く行為を何度も繰り返すと、ようやく地図上ではなく、娘のこれから暮らしていく場所のお店の位置関係が理解できた。

 

 特にニトリはホームセンターにも気に入った家具が無い為に、行ったり来たりと5回ほども往復した事となった。

 

 ニトリで最後に買った小さなソファーは沢山の荷物が入ったパジェロ・ミニには入り切れずに、商品を購入後、明日取りに来ることとなったが・・・・よーーーく考えてみると、娘のマンションからニトリまでは車で十数分。

 時刻は午後7時前。充分に取りに戻れる時間帯であったので。いったんマンションに商品を置いてから、再びニトリに舞い戻り、最後の商品の引き取りを終えた。

(これは普段、田舎に住んでいるオヤジの為、1回家に帰るのに自宅まで1時間ぐらい車で走らないとつかない為に、ここも自宅まで遠いと勘違いしたからなのだ。)

 

 今回は娘と共に何日も前から、購入物リストを作って置いたので、3日間かけて購入しないといけなかった物が、今日の昼から全部買いそろえることができた。

 夕食を食べて、時刻は午後8時30分。

 ここで、オヤジは娘に寄り道をして良いかを提案した。最終日に行ってみたかった、ブックオフに寄ってみたかったのだ。

今日、行けば帰る時間は間違いなく、1時間ぐらい早くここから出ることができる。

 今日は帰ったらもう寝るだけである。あとは何もすることはない。娘も必要なものを買いそろえることができたので、もちろんOKとなった。

 

 流石は札幌の古本屋である。オヤジはもう10年以上探していたマンガの本に出合った。

正確にはそのマンガ本は、いまもオヤジの手元にあるのだが、置いてあった場所が悪く、湿気のひどいとこに置いてあった、5巻全部がしわしわとなり、ところどころ、カビが生えていた。

 しかし、どうしても読みたくて、読むときはカビの匂いを我慢しながら読んでいたのだが、10年間の間に、1巻、4巻、5巻を見つけることができたのだが、あと、どうしても2巻と3巻が無い状態であった。

 もちろんオヤジは小躍りして、残りの本を買い求めた。

 

 10時近くにマンションに戻ったオヤジ達であるが、なんと娘はそれから買ったものを出して、片づけ始めた。

 

 当然、オヤジは寝る予定であったが、さすがに娘、一人だけに片づけさせるのは悪いために、明日組み上げようと思っていた、TV台の組み立てを行った。

 しかもストーブは火をつけていない状況。一度。ストーブを付けたのだが、娘がすぐに暑いと言って切ってしまったのだ。

(実際はそんなに温かくなかったのだが、オヤジはもうはや、娘が節約を意識していると思っていた。)

 

 普段のオヤジ家は常夏状態である。半そででも充分に温かい場所にいるから、火の気のない部屋にいては堪ったものではない。

 シャツ1杯で寒さに震えながら、TV台の組み立てを行った。

(翌日、娘にも聞くと、娘も相当寒かったらしく、お互いに暖房を入れようと言えなくて、我慢して片づけを行っていたらしい。笑い♪)

 

 時刻は12時過ぎ。ようやくひと段落を終えたオヤジ達であったので、娘は体が冷えたために、お風呂に入ろうと、お湯を入れたのだが、いくら経ってもお湯が風呂おけにたまらなかった。

 

 「ああっ!!失敗した!!」と、娘の悲痛な叫び。

どうした??と聞くと、お風呂の水の栓を付けるのを忘れていたらしい。

 

 かなり落ち込む娘に、オヤジは「全部、初めて一人でやらないといけないから、失敗は仕方がないよ。おとうさんもお風呂の栓のつけ忘れは、最初はよくやったよ。」

「今日から一つ一つ、覚えていきなさい。」と、励ました。

 

こうして、娘の初めての旅立ちの日はあわただしく過ぎていった。