走れ!!パジェロ・ミニ。娘の想いを乗せて800キロ!! -1- | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

「今日は頼むな。」と、オヤジは、おそらく最初で最後の活躍をするであろう、オヤジの愛機、パジェロ・ミニのボンネットを軽く、ポンポンと叩き、これから始まる出発に想いをはぜた。


 話は遡って1ヶ月半前の10月の半ばの事である。


「お父さん。札幌のホテルって、早めに予約をしたほうが良いの??」と、夜遅く娘2号が聞いてきた。

 

「うん。そうだなぁーー。札幌はホテルは直ぐに埋まるから、宿泊の予約は早めの方が良いなぁ。」

 

「だけど、どうして札幌に行くんだい??」

 

「うん。実は11月の末に、希望している学校の面接があるの。だから往復の旅費とホテル代を出して欲しいの。」

 

「そうか、お父さんも調べて見るから、少し待ってくれないか??」

 


 そして、翌日、オヤジは面接日の前日の札幌のホテルの宿泊状況を調べて見ると、どのホテルも最低でも1万円。通常は1万5千円。下手したら2万円台のホテルもあった。

 更に娘の試験場までは、かなり離れているところが多かった。

 そこで、オヤジはオヤジも同行する事にして、ある場所に予約を入れた。

早期予約だったので、二人で約1万5千円であった。


 札幌は距離が短くても渋滞がひどい。

 当日の試験場に行くには、朝から走っていては間に合わないので、前々日に仕事から帰った後に、旭川に宿泊。

 

 そして、旭川から朝から走って、札幌見学。夕方にそこの宿泊先に行き、朝早くに出発して、試験場に間に合うようにと考えたのだ。


 そして出発当日。オヤジは会社を早退して、何時もよりも早く帰宅後、これから旭川に向けて出発するのであった。

 パジェロ・ミニには毛布を2枚入れた。いざ、吹雪になって立ち往生した時にそなえた。


 朝から旅行用のトランクを車に積んでいたので、帰宅後、着替えもしないですぐに娘を車に乗せて出発した。

 

 



 夕食は途中のコンビニで購入。走りながら済ますのだ。旭川までの4時間あまり、娘と色々と話しをした。

 娘のこれからの進路の事、亡くなった母親の事。


 真夜中なので、オヤジは本当に助かったと思った。何故ならば、娘と話をしながら、感極まり何度も涙がホホに流れたからだ。


 

 娘2号は手のかからない子であった。


 母親が亡くなった後、オヤジは上の子(娘1号)に手がかかり、この娘の事を満足に構う事はほとんどなかったからだ。

 大切な高校受験の時でさえ自分で勝手に決めて、オヤジは高校の用意をしてあげる事ぐらいしかできなかった。

 

 そして、そのせいか18歳の割にはビックリするほど、大人っぽい考えをしていた。


 オヤジは下手な大人と話をするよりも、この娘と話をする方が、よっぽど、ためになるぐらいであったのだ。 


 娘は教育関係に進学をしたがっていた。

 


 そして、卒業後、教育関係での色々な困難が起きる事も理解していた。

 


 そこでオヤジは娘の頭を軽くなでて、こう言った。

「今まで一人で頑張ってくれて、本当にありがとうな。」

 

「お父さんは、1号の事で手が一杯一杯で、お前に何も出来なくてゴメンな。」

 

「お前の進みたがっている道は、決して楽でないし、中には頑張りすぎて、心を壊した人も何人もいる道だ。」

「だけど、これだけは覚えていて欲しい。」

「もし、いくら頑張っても心が壊れそうになったら、それ以上は頑張らないで帰ってこい。」

「お前はお父さんの自慢の娘だ。」そう言ったオヤジの目からは大粒の涙がこぼれた。

 






   アイスバーンによって、疲労困憊の状態で、手が震えています。だから満足に写真も撮れなかったので、画像のブレは勘弁ね。

 


 峠に入った途端に、道はアイスバーンと化していた。途中、トイレタイムのPAでは気温はマイナス11度を示していた。



途中で事故も起きていた。


 こうして、出発から4時間をかけて、ようやく最初の目的地のホテルにたどり着いた。



 前も利用したこのホテルは、5人ぐらいは入れる少し大きめな浴槽がある温泉と朝食バイキング付で2人で7,400円。(駐車場代含む。)コスパ最高のホテルだと思っている。中は・・・・



  以前、このホテルに泊まった時は、娘1号とオヤジが大きなベットに。娘2号は上のロフトで寝た。



 今回は、下の大きなベットはオヤジが、上のロフトは娘2号が寝る事となった。


 旅行の最初の日は絶対にオヤジは眠れない。


そこでここは今まで読めなかった本をゆっくり読もうと、トランクから出して、読み始めたら・・・・・アイスバーンでの長時間運転で、気が張っていたのだろう。


ものの数分でオヤジは深い眠りに落ちた。