朝8時過ぎ娘1号がオヤジの部屋にやってきた。
「お父さん、もう8時過ぎたよ。そろそろ起きなければ、空港に間に合わないよ。」
時計を見ると時刻は8時過ぎであった。
「おおっ!!もうこんな時間か。急げ!!」
オヤジは半分眠っている状態から、一気に目が覚めた。
とりあえず身支度を行い、S2000のカギを持って、娘1号と慌てて外に飛び出した。
今日は娘1号が東京にスクーリングに行く大切な日だ。早速、トラベルバックをS2000のトランクに入れ・・・・・・・おおっ!!なんてことだ!!娘1号のトラベルバックがS2000のトランクに入らないではないか!!
「つ・使えねぇ---。この車!!」オヤジは捨ゼリフを吐いて、隣のタントカスタムに乗りこんだ。
「急げ!!もう時間が無い!!」と、あわてて、娘1号と共に、空港に走り出した。 数分後。「行ってきますーー。」と、娘1号は元気よく空港の搭乗ゲートから去って行った。
「やれやれ、やっとひと段落ついた。さて、今日はこれからどうしょうかなーーー。」オヤジは久しぶりに夜の7時近くまで自由な自分だけの時間となった。
一旦家に帰って、カギをS2000のカギに持ち変える。
「さて、これからどこに走ろうか??」
「中標津から標津に向けて走って、サーモン博物館に向かうのも良いし、厚岸で海鮮バイキングを食べるのも良いなぁーー。」と、早くも目的地に向かうS2000の姿を思い浮かべる。残念ながら外はどんよりした曇りだが、あいにくの雨ではなさそうだ。
どちらにしても、弟子屈はどちらの目的地の通過点だから、弟子屈に着いてから行き先を考えよう。と、オヤジはノンビリとS2000を走らせた。
峠では、曇りというよりも、もう完全に霧となっていた。今日は残念だけど、オープンには出来ないけど、このS2000はハンドルを握るだけでも充分に楽しい。ところが峠を降りた途端に、回りは霧が晴れるどころか、急に天気が晴れだしてきた。
そして、約1時間後、弟子屈のコンビニにより、トイレタイムと少し遅い朝食をとる。ここで、S2000のホロをしまって第2の顔のオープンカーとした。ここで、オヤジはサングラスを持ってこない事に失敗したと思った。オープンカーにすると、外が思ったよりも明るく、目が痛くなるのだ。
まさに気分爽快!!天気のいい日はオープンカーに限る!!ここで、オヤジの気分は急に変り、中標津でも厚岸でも無く、行先を釧路に変更とした。
これがソロ・ドライブの良い所だ。気分次第で行き先を自由に変える事が出来るのだ。
弟子屈から釧路に向かう道路を走り始める。
のんびり走っているのだが、前ゆく車はオヤジが後ろに着くと急に左ウインカーを出して、左によけ出した。
(ありがとう。)オヤジは前の車を追い越しざまにサンキュー・ハザードを出して、追い越した車にお礼をする。
そして、2回目の車もやはり登り坂の追い越し禁止車線に入る前に、左によけながら左ウインカーを出して、オヤジに道を譲ってくれた。
(ありがとう。)またもや追い越しざまにお礼にハザードを2回出して、S2000を加速させて登り坂を登って行った。
その瞬間であった!!
草むらに隠れていたパトカーの影。オヤジはあわててブレーキを強く踏む!!
キキキキーーーッ!!
と鋭い音をたててタイヤが悲鳴を上げる。
メーター読み99km/h!!
その瞬間!!オヤジは終わったと思った。
良くて免停、最悪の場合は免許取り消し!!と、いう訳で、Sの称号はこれで終了させてもらいます。
走らないオヤジはただのブタですから。
多分、パトカーは追い越し禁止車線の違反者を狙っていたのであろう。S2000は無事にパトカーをやり過ごして、一路釧路に!!
午後0時:無事に釧路到着!!
まずは釧路の古本屋に立ち寄る。
ここで、今まで使っていたデジタル・ウォークマンをS2000の唯一のダッシュボードみたいな場所にしまおうとすると・・・・そこにはなんといサングラスが置かれていた。
偉いぞ!!オヤジ!!思わず、自分で自分を褒めていた。
古本屋から出たオヤジは何件か自分の見たい場所に行ったらもう時間は1時過ぎとなっていた。そこで、今日の昼飯は・・・・・・・・・・
うどん屋に決定!!実はうどんは大好きなのだが、うどん屋は糖尿病を発症後、一度も行かなかったのだ。一応、正常値にもどったので、1回ぐらいは良いだろう。
しかし、いくらネギやテンカスをかけ放題といっても、物には限度というものがあるだろう。良い子のみんなは、こんなマネは止めようね!!(笑♪)
その後、中古車を見に行ったりして時間は午後3時になっていた。
そろそろ帰宅時間である。帰りもオープンカーのまま帰る。
※しかし、残念ながらコンビニで買い物をするときは、必ずホロを付け直すんですよ。
理由は、中のカーレーダーやカーナビをオープンカーのままでいると、盗難にあうからです。
帰りは次第に天気は崩れだし、雨がポッリ、ポッリと降りはじめてきた。そんな時は、あわてずに、スイッチ一つでまた幌付の車に戻す。
そして、帰りの道は久しぶりに峠の登りのヒルクライムを行う。後ろにピタリと食いついてきた車が次第に遅れだす。やはりこんな時はスポーツカーって良いなあーーと感じるひと時である。
こうして、オヤジは半日ほど、自由な時間を楽しんだのである。
距離は約300kmのドライブとなっていた。
そして、夜7時に娘2号を学校から迎えに行った時の事である。
普段は家ではあまり口数が少ない2号であるが、S2000の横に乗ると、やはり将来の事、学校の事をいろいろ話してくれるのだが、今日は話しかけるときちんと答えるのだが、何か雰囲気がぎごちない。
理由は数日前の事であった。
娘2号の学校が終わるのが約6時頃であったので、娘2号が帰ってくるのを1号と共に学校前で待機していたのだが、終わるのが時間が7時15分か30分ぐらいになると連絡が入った。
そこで、オヤジと1号は、先に自分達の食材分を購入しようと、一旦、学校を離れ再び約束の時間に学校前に戻ってきた。その時に、オヤジはチラリと娘2号に似た子が学校から一人で帰って行ったのを見た。学校前には親が迎えに来るのを待つ生徒がちらほら。
その日は学校祭の準備に忙しかったみたいである。そして、一人帰り、二人帰り・・・・・そして7時30分過ぎには玄関前には生徒は誰もいなくなっていた。
オヤジはあわてた。だってそうでしょう。7時30分に終わると連絡が来て、その時間に学校前で待っていたら、かえってこなかったら、気になるでしょう。そして、来る途中に一人で帰って行った娘2号に似た子を思い出した。
今どこにいる??すぐに2号にラインを入れた。一旦既読が入ったが、返事は無い。
電話をかけても返答が無い。すぐに連絡を入れなさい。と、ラインを入れても既読が無い状態である。
時間はすでに8時過ぎていた。
(まさか誘拐???)一旦、物事を悪い方向に考えると、どんどん悪く考えだしてくる。
先生にまだ学校に残っている子がいるか聞こうと職員玄関に向かうと、職員玄関は閉まっていた。
生徒玄関は明かりがついていたが、まさか中には入れない。
子供が行く不明となった。と警察に連絡しょうか??と半分悩みだした時に一台の車が停まった。
オヤジが職員玄関前で途方にくれていた姿を見たその車から出てきた男性は、「何か用事でしょうか?」とオヤジに尋ねてきた。
「玄関前に生徒は全員いないのですが、もうみんな帰ったのでしょうか??」
「そうですね。学校はもう終わったので、みんなもう帰りましたね。」と言った。
「実は娘が行方不明なんです。」オヤジはオロオロして尋ねた。
「さっきからラインを入れても、電話をかけても出ないんです。」
「お子様の名前は?」
「娘2号です。」
「ああ。それなら○○でまだ学校にいるんではないですか??」
「すいませんがすぐに、連絡を入れるように言ってください。」
その後、すぐに2号からまだ学校にいる。と、ラインが入った。
2号から連絡をしなかったあやまりのラインが何回か入ったが、オヤジは無視した。
9時に学校が終わり娘が帰ってきたときに、娘はボロボロに泣いていた。多分、これからオヤジの怒られると思ったのだろう。少しかわいそうだなと思ったのだが、娘を見て安心したせいか、今まで心配した気持ちが一気に爆発してしまった。
「お前なぁ。連絡の一つもしろよ。一体どれだけ心配したと思う。」もう完全に娘2号は泣くだけで、反論もしなかった。
「忙しいのはわかるし、学校で電話をかけることが出来ないのは分かるけども、どこにいるで一回既読が入っているだろう。」
「一言、学校。って返せば終わった事なのに、お前が連絡入れないせいで、さっきまで警察を呼ぼうかと思ったんだぞ。」
「先生にも遅くなったら親にも連絡を入れさせる事をさせない学校か?と文句を言うとこだったんだぞ!!」もう完全オヤジは切れて制御ができなくなっていた。
「お前、前も何回か連絡しなかっただろう。そんな無責任な人間は、来年の東京行は行かせない。」と切り出した。
その日の朝、娘は3年生になったら仲の良い友人と一緒に東京に何日間か遊びに行く事をオヤジに相談して、OKをもらい楽しみにしていたのだった。
多分、あれだけ激しく泣いたことは母親が亡くなった時もあまり泣いた事が無かった2号にとっては初めての事だったのだろう。
次の日は体調を崩して寝込んでしまった。
そして、その日以来、オヤジの返答にはきちんと答えるが、何かよそよそしく、ぎごちない雰囲気である。
今日の学校からの帰り道。
オヤジは、「あの日はお父さんは心配して、頭が混乱して思わずきつく言ってしまったけれども、お前は今迄きちんとやってきた子だから、あんなことを言ったけども、東京行は行っても良いよ。」と車で走りながら話しかけた。
「お前が男の子なら、別にあんまり心配しないんだけども、お前は女の子だから、何かあるとどうしょうかと思うんだ。」オヤジは娘2号に正直に自分の気持ちを打ち明けた。
すると、2号はうちとけたのかすこしずつ、オヤジに話しかけてきた。その日は学校で会議があったので、携帯を切っていたらしかったのだ。
そして、東京に行けなくなったことを友人に相談したらしかったのだ。
これからはきちんと色々と連絡をすることを約束してくれたのだ。
あの日からオヤジは何となく娘2号からは、よそよそしく避けられた態度を取られていたが、ようやくお互いの気持ちが判ったような気がした。
S2000で一緒に走っている事で、お互いの気持ちを解り合わせてくれたような気がしたのだ。
そして今。 「おやすみなさい。」と、自分の部屋に入る娘2号はいままでどうりの普段の2号に戻っていた。
娘2号よ。まだまだ未熟な親だけども、お前を心配する気持ちはだれにも負けないつもりだ。
これから一歩、一歩、お前の事を理解していくから、それまで我慢してくれな。
娘の気持ちが理解出来て、今日は最高の休日となったオヤジである。