漢(おとこ)達よ!!再び!!-ファイナル- 再び釧路編。 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 朝、7時45分。いつもよりすこしばかり早く、奴はやってきた。



 今日の車は再びココア君でした。


「しかし、俺達もバカだなぁーー。一昨日は旭川、そして今日はまた釧路だなんて。


「さらに1週間前は、釧路に行っていたんだぞ。」


「まあ、なんだな。結局、俺達の楽しみは走りしかないんだよ。」と、オヤジは半分あきらめムードで語った。


 今日は1週間前に行った釧路で、友人Kが前回、買い残した釣竿をもう一度見て、良かったら購入するために、再び釧路に走るのだ。


 北海道人ならこの愚かしい行為がわかるであろう。


 休みごとに片道、3時間30分や2時間30分の離れた場所に行き、すぐにトンボ返りで帰ってくる行為を。


 しかも今は真冬のアイスバーンの道である。それがどんなに危険で疲れる運転かはやった事のない人間には、分からない行為なのだ。


 ここ数年、オヤジ達の休みは、ひたすら長距離を走るだけの1日と化していた。


 

今日はいつもより冷えていて、朝早い太陽も鈍く光を放っていた。


恒例の道の駅でトイレとコーヒータイム。




 ここで約1時間が経つ。更に旅は続く。


阿寒町までガチガチのアイスバーンである。



 その道を友人Kは夏と変わらないスピードで走り抜けていく。


オヤジ的には時折狙ったラインを外して走るココアが明らかに滑っていると感じていた。


「なあ、K。もう少しスピードを落とせよ。さっきからラインが外れているぞ。」


「そうか??俺には全然グリップしているとしか、感じないぞ。」と、涼しい顔を資ながらアクセルを踏む。


 昨年、立て続けにスリップを起こし、1台全損させているオヤジには、アイスバーンはちょとしたトラウマになっているのだ。



 しかし、阿寒町に入ると路面は一遍して、雪一つ無くすこぶる走りやすくなった。


 更に加速するココア。


出発から約2時間30分、午前10時30分ごろに目的地の釧路に到着!!



早速、友人Kは目的地の中古の釣竿の置いている店に向かう。


「ちっくしょう!!」店に入るなり、友人Kは悔し声をあげた。


「どうした??」心配するオヤジ。


「目的の釣竿がもう売られて無いんだよ。」


「あんな釣竿は俺しか買わないと思っていたんだけどなぁーー。」


「一昨日、旭川に来ないで、釧路に来れば良かったかな??」オヤジも心配してKに尋ねた。


「うーーん。判断を誤った。もしかしたら、一昨日にここに来ていたら買えたかもしれない。」


「しかし、なんで俺の欲しいものを買う奴がいるんだ??」


「多分、お前が欲しいと思っている商品は、お前以外にも欲しがっている奴が多いんだろう。」


 という事で、今日のオヤジ達の目的は、到着1分で終了した。


「これからどうする??」ため息をつきながら友人Kはオヤジに尋ねた。


そこで、オヤジはしばらく行っていない工具専門店に行く事を提案した。



 このお店はオヤジは半日でもいられるナイスなお店だ。ここで、Kは欲しがっていたメーカーのペンチを購入。

オヤジもドライバーホルダーを購入。


 まあ一応、釧路に来たかいがあったというものだ。


その後、昼に突入。



 

 毎度、変らないが食べる量を自分で加減できるこの手のお店は、オヤジ達には好都合である。


その後、子供達にお土産を買いにイオンに向かう。



 

 ここでお土産を購入して、時間は午前1時30分。


「さて、ここももう用事は無くなったから帰ろうか??」そう言いながらKはハンドルを自宅に向ける。


「そうだな。予定が無くなったら、長居をすることないな。」


「あっ。オヤジ!!悪い。少し寄り道をしていいか??」


「ああ。別にかまわないぞ。」


そして、友人Kが向かった所は、弟子屈町から川湯に抜けるところに、ポッンとして空地であった。


「ここに何があるんだ??K?」


「このに名水があるんだ。一度、この水を飲んでみたかったんだ。」






 ためしにオヤジも水を手ですくって飲んでみたが・・・・あまり味は判らなかった。

(まあ、オヤジの場合は単に食事は飢えを満たせれば良いかと。)





 太陽は相変わらず鈍く光っている。


「これで俺の3連休は終わりだ。」と、Kはため息をつきながらつぶやいた。


「なあ、オヤジ。お前は俺に付き合って、旭川。釧路と来たけど、大半の休みを車に乗るだけで潰したけど、良かったのか??」


「おまえこそ、どうなんだ??K。お前は休みの大半を車の運転だけに費やしただろう。」


「おれはこの連休は充分に充実していたぞ。釧路、旭川、釧路。と実りのある休みだった。」


「自分の欲しい釣竿が、どこにあるかも判ったしな。」


「結局、俺達には車しかないんだよ。魚たちが海で永遠に泳ぎ続けるように、俺達も、たとえ心が壊れても走り続けるしかないんだよ。」


「そして、ある日、走るのを止めた時が、俺達の終わりの時なんだ。」


「そうだな。俺達は走りつづけるしかないんだ。」友人Kは納得した顔でオヤジに答えた。


「ああっ。早く春が来ないかなーー。」


「春になったら、俺はタイプRでガンガン走るぞ。」


「おまえもそうだろう??オヤジ!!」


「そうさ。それでこそ、お前はクラブ・ミッドナイトのナンバー5だ!!」そう、オヤジはニャリとして、友人Kに答えた。


 只今、季節は2月。


北海道は今が一番寒さが厳しい時。


しかし、オヤジは知っている。


 後、2週間もすれは少しづつ温かくなり、春がゆっくりゆっくりとやってくる息吹を感じることを。


 



 漢(おとこ)達よ!!再び!!-ファイナルー



        完