ほんの少しだけ成長した事。 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 これはオヤジの失敗談から。


 娘2号は今は高校生。学校まで汽車で通学している。


北海道の冬の昼は短い。午後3時過ぎるともう日が落ち、あたり一面真っ暗となる。


 その日はオヤジの休みの日。娘2号の帰宅時間まで1時間あまりもある。オヤジは娘2号の事が気になり連絡を取った。


(今どこにいる??)

(網走駅。)


 その連絡を知ってオヤジは娘2号が可愛そうになり、迎えに行こうか??と連絡を取った。すぐに2号から迎えに来て。との連絡が返ってきた。

 

 オヤジの家から網走駅まで30分を切る。暗闇の中、オヤジは娘2号の為に急いで網走駅に向けてタントを駆った。


 約20分後、オヤジは網走駅に着いた。そして娘2号にすぐに電話をかけた。しかし、連絡は無い。


 仕方がないからラインで(網走駅に着いた。今どこにいる??)と連絡を送った。すると、(今、汽車に乗った。)と連絡が返ってきた。


 オヤジは迎えに来てと連絡しながら、勝手に汽車に乗った娘の行動にブチ切れた。

(お前、何を考えている??)

(なんで電話にも出ないんだ!!)

オヤジは怒りながらタントでもと来た道を引き返した。


 すると娘2号からは(○○駅:オヤジの住んでいる駅ね。に向えに来てくれると思った。)

さらに(今、音楽聞いてたから、電話がかかったのが分からなかった)と、ラインが返ってきた。


 怒りながらの走りは速い。オヤジは先に走っていた汽車を追い越し、汽車が到着する時刻よりも早く駅に着いた。


 汽車から次々に降りてくる生徒達。しかし、なかなか待っても娘2号は降りてこない。


 そして駅から生徒たちは皆いなくなった。さらにオヤジの怒りは増長した。

電話を何回もかけても連絡が無いので、(さっさと帰ってこい!!)という、怒りのラインを娘2号に送った。


 すると娘2号から、(いま、まだ汽車に乗っているから、電話も出来ないし、まだ駅に着いていない。)というラインが返ってきた。

(実は先ほど駅に降りた生徒は、反対方向の汽車から帰ってきた生徒達であった。)


 ようやく娘2号が駅に着いた時は、オヤジの怒りは爆発し、娘2号を叱りつけた!!

「お前な!!連絡はきちんとすれよ!!○○駅なら○○駅としっかり連絡しないと、無駄に網走まで行ってきただろうか!!」


 かわいそうな娘2号は少し涙目になっていた。


 家に着いた後、オヤジは怒りから収まり落ち着いてよく考えてみた。


 汽車の通学の娘2号の発想は、どうしても徒歩がメインなので、迎えに来てもらう=網走駅でなくてオヤジ達の住んでいる駅なのだ。


 だからどう考えても、オヤジが網走駅に向えに行く。と言わないといけなかったのだ。


 その夜、オヤジは娘2号にきちんと謝った。


「ゴメンな。お前がきちんと連絡しろと言ったけど、本当はお父さんがきちんとお前に網走駅に向えに行くと言えば、こんなことにならなかったよな。」


 そして、今回の件。


 最近、娘2号はバイトをし始めた。

そして今日は簿記の試験があるから、バイトを休むと言う。

オヤジは「バイト先にきちんと連絡しておきなさい。」と言うと、(もう連絡はしておいた。)と娘2号から連絡が入った。


 朝、2号が1号に10時30分に試験が終わるから、終わったら迎えに来て、その足で北見に買い物に一緒に行って。と、言われた。と、1号から連絡が入った。


 そのことを聞いたオヤジは、

「試験が終わるのが10時30分だから終わった後に、バイトに入りますから少し遅れます。」と、言ってバイトに行くのが普通だろうが!!と、バイトをさぼった娘2号の行動に怒り狂った。


 しかし、今回は怒りまくって娘2号を叱るのではなく、どうやって話したらいいのだろうか??と考えていた。前回の失敗を考えて、まずは娘2号の立場になって考えて見る??


  自慢ではないが、娘2号は真面目で責任感強い。と担任の先生から聞いている。はたして、そんな娘がこんな無責任な事を行うだろうか??


 いろいろとオヤジは想定してみた。バイト先から「時間が遅れるなら、今日はバイトに来なくていいよ。」と言われたのか??


そして、考えながらある決論に達した!!



仕事から帰ったオヤジはすくに娘2号の部屋に入った。


「ちょつと良いかな?」オヤジの深刻な表情に、娘の顔に緊張が走った。


「どうしたの?お父さん??」


「お前な。もしかしたら、試験中、たとえ試験が終わった日でもバイトは禁止されているのか??」


「うん。そうだよ。それがどうしたの?」


 やっぱりそうだったのだ。オヤジの勝手な勘違いだったのだ。


「そうか。そうだったのか。実はお父さん、お前が試験が終わって北見に遊びに行った。と1号から聞いて、なんでバイト先に少し遅れてから入ります。と言って、バイトに行かなかったのか、気になったんだ。」


「お父さんの勝手な勘違いですまんな。初めてのバイト大変だったろう。」と、素直に自分の間違いを詫びた。


「うん。バイトは大変だけど、頑張るよ!!」娘2号から明るい返事が返ってきた。


 娘2号よ!!こんな早とちりのお父さんだが、お前と共に少しずつでも、成長していくから、これからもよろしくな!!