父として。親として。 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 今日の休みは高校に進学が決まった娘2号の為の制服の用意やなんやの準備の日となった。


 最初、入学のしおりを見たときは準備期間が非常に短くて、食事もとらず夜中の11時まで書類の作成と必要な物の用意の日程を作っていた。


 娘1号の時はかみさんが、「これこれが必要だから、このぐらいかかる。」と言われ、「うん。わかった。お金は貯金から下ろして用意しな。」というだけで済んだのだが、いまは違う。


 今は全部自分で何からなにやら用意をしてあげないといけない。当たり前の事ではあるが・・・・・・・。


 一時的に用意した10万円程のお金も、たちまち無くなっていった。


 今日は2号の制服の用意と電卓の用意するだけで済むはずであった。


 娘2号が制服の寸法合わせを行っているときに、オヤジは何気なくもう一度、しおりを読み返していた。すると、高校の授業料が免除になる、就学支援金制度の書類が23日までに用意しなければいけない事に気が付いた。そこで、今日の予定を終らせたオヤジと娘2号は、その書類をとりあえず学校に届けることとした。

 高校の授業料は1ヶ月約1万円。年間12万円ぐらいかかるので、制度を受けないと結構負担が多くなるのだ。


 高校の事務所に書類を提出した時に、実はもう1枚提出しなければいけない書類があり、その用紙を銀行に提出してから、事務所に提出しないといけない事がわかった。


 次の休みは24日。動けるのは今日しかない。

 家までは片道30分ぐらいはかかるが即効で家に帰り、銀行に書類を提出して印鑑を押してもらい、再び高校に来た時は2時間後となっていた。これで完全に就学支援金制度の書類の提出も終わってホッとするオヤジであった。


 娘2号の為にいろいろと動き回るオヤジに、娘2号は「お父さんもいろいろ大変だね。」と労をねぎらってくれた。


 昔、高校卒業後、クラスの大半の人が大学に進学する中、オヤジは一人職業訓練校希望としていた。

 担任の先生の進めもあり、オヤジも人並みに「みんなが大学に行くから、オヤジも大学に行きたい。」と、父親に漏らしたことがあった。


  その晩、オヤジの両親はオヤジを呼びつけ、「家を建てるために用意したお金がある。そのお金でお前は大学に行け。」と、言ってくれた。


 みんなが大学に行くから、オヤジも大学に行きたい。という、よこしまな考えを持っていたオヤジだったので、受験の結果は推薦、一般共に落第してしまった。


 おかげで、父親からは「お前が大学に落ちてくれたから、この家を建てることが出来た。」と、冗談とも本気ともつかない事を後日、言われてしまった。


 高校はもうほとんど行く事が当たり前の考えになっている今、まだまだ金銭的にも、用意する事としても大変な事だと感じてしまった今日である。


 自分の親も同じような苦労を感じていたんだろうなーー。と改めて身に染みた。


 子供の時は親の無償の愛に気が付かず、自分が親となった時に初めて自分が子供の時に受けた行為の大きさを知る。


 今はその恩も返すことが出来ない。それだからこそ、親からの受けた愛を今度は自分の子供にかけてあげるのだろう。


 今、改めて自分を育ててくれた両親に感謝したい。車の横で無邪気に高校生活を楽しみにしている娘2号の姿を見ながら、オヤジはふと、そんな事を思っていた。









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