めぐり合えるたった1台の為に!! スポーツカーを探せ!!最終章! | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

  オヤジと娘のスポーツカーを探す計画は、あれから色々とあり、娘がスポーツカーを乗れない事となり、完全にオシャカとなった。


 が、一度、火の付いたオヤジの行動は留まる事は無かった。


だから今回の行動は全く無意味な行動で、ナンセンスではあるが、久しぶりにオヤジと友人Kは20代のトキメキを輝かせたのである。


まず、美幌町でのGTO




係員の話によると、このGTOは日本でたった6台しかないらしい。


友人Kは冬道はFRはきついな。と言ったので、すかさずオヤジは「こいつは4WDだよ。」と、少ない知識を総動員して、GTOの事を説明した。

「うーーん。この形、まさにスポーツカーでない??」

「まあ、当時はこのデザインは、日本のフェラーリーといわれたぐらいだからね。」

「100万円と少しだぞ。日本で6台しかないなら安くない??」

「まあ、しかし、GTOは車重が重いせいか、走り屋の車とは言われないんだよね。」

「買いたい!!買いたい!!買いたい!!」

「まあ、まあ、他にも色々あるし・・・」

と、オヤジは友人Kを慰めながら車屋を後にした。


 そして、今日。200km離れた車で片道3時間30分の旭川の車屋にオヤジと友人Kは冬のアイスバーンの中、走る事となる。


朝7時ごろに出発!!

8時30分に丸瀬布の高速入り口前でトイレタイム。





更に旭川に向けて走る!!


どんよりと曇っていた空も、旭川に向かうとだんだん晴れてきた。





10時ごろに旭川の手前の第一の目的地の車屋さんに到着。

 ここにはオヤジ達が欲しいスポーツカーが色々とあるのだ。



まずはホンダビート



更にロードスター。



MR-2やランエボもある。






そして・・・・・お目当てのインプレッサー。




「いらっしゃいませ。どんな車を探していますか??」


と。ここの店員がさわやかに出てきた。


「あっ。おじゃまします。スポーツカーなんですが、最近、なかなか見なくて。」

「おおっ。こいつは珍しい!!ワゴンタイプだから保険も安いですね。」


と、オヤジは思わず口にすると、


「お客様。ずいぶんくわしそうですね。」


「いや、少し知識をかじっているだけで。」と、答えるオヤジ。


「そんなにスポーツカーは保険代は高いのか??」


「ああっ。倍とまではいかないけど、そのぐらいはかかると思ったほうが良いよ。」

「しかも、こいつはワゴンタイプだから、速いし荷物は積めるよ。1台で2度美味しい♪」


と、話に弾んでいる横でオヤジは1台の車が目に止った。


「うわっ!!FCだと思っていたら、FDだよ!!」




「すみません。こいつ。200万ぐらいはしませんか??」


「いや。諸経費を入れて150万円ぐらいですけど。」


「安い!!。安すぎる!!」と、思わずオヤジは興奮して言った。


「このRX-7ってそんなに良い車なのか??」と、友人K


「いい車ってレベルではないよ。ロータリー車の中ではこのFDはデザイン、スペック。どれをとっても神の領域なんだよ。」

「ただし、維持費が大変だ。」


「燃費はどれぐらいかな?」と、友人Kは素朴な質問をすると。


「リッター3km/h・・・・」と係員が答えると同時に、


「リッター2km/h!!」とオヤジも答える。


「うわっ!!そんなにひどいのか??」と、驚く友人K。


「だから普段の足には出来ないから、セカンドカー的に使うしかないんだ。」

「しかし、峠に行けば無敵な車だよ。」


「お客さん。ずいぶん、RX-7にはお詳しいですね。」


「実はFDは今は軒並み200万円台になってきていますので、FCなら50万円ぐらいから無いか、調べていたんですよ。」


「いや。今は逆にFCのほうがFDよりも高いんです。」


「うわっ、やはり高くなったんだ。」


ここでもオヤジはイニDと湾岸で得た知識を総動員して、友人KにRX-7の素晴らしさを話し始める。


「じゃあ、こいつにしたらどうだ??」


「だけど、こいつは冬は乗れない。」


「どうして?」


「それはロータリーは冬はエンジンがぐずるんです。」


「じゃあ、夏なら大丈夫なんだ。」


「いや、ロータリーは峠とかで気圧の低い場所にいっても調子を落とす時がある。」


「それなら燃費は悪いし、夏でも調子を崩す事があるなら、走れる場所がないじゃない。」と、憤慨する友人K。


「そんな欠点を知り尽くしたうえでこいつと付き合わないと、こいつには付き合えないんだよ。」

「マンガとかで知って憧れて買ったはいいが、維持が出来なくて手離す人が多いんだ。」


「そんなんで意味があるの?」


「その代わり、その大きな代償で得るものがとびっきりのパワーなんだよ。あまりの速さに24時間のルマンでロータリエンジンが禁止になったほどなんだ。」


 その後、ここの係員とオヤジはロータリー談義をしばらくおこなっていたオヤジであった。


 ここでは安い!!速い!!の牛丼的存在の、ランエボの見積もりをもらって帰る。


 見積書は特別に名前を書かなくても良かったので、オヤジ的にはすごく良かった。


 ちなみに、インプレッサーは自分の腕で運転する感覚で、上級者向き、ランエボはコンピューターが制御していき車を曲げていくので、誰が乗っても速いし、また価格も手ごろなのでということなので、まるで吉野家の牛丼みたいな車だという事であった。


ここの対応の良い係員に丁重にお礼を言い次の車屋に向かう。


 帰りの途中、友人Kはまた、このFDを欲しいなぁーー。乗ってみたいなーー。と騒ぎ始める。


「だからロータリーは維持が大変なんだぞ。」


「それでもスゴイパワーなんだろう??」


「お前なぁーー。そんなにすごいパワーに乗りたいなら、バイクに乗れよ。」

「バイクなら250ccでもFDだろうが、簡単に抜かせるし、400ccクラスなら峠では無敵だぞ。」


「今更、バイクはなぁーー。」


「維持だって1100ccもあっても年間6千円だし、簡単に100馬力は出ているから、バイクのフル加速を味わえば、車の加速は物足りなくなるぞ。」


(うわっ。車派の皆さん!!ごめんなさい!!けして車が遅いとは言いません。)


 しかし、この友人K。

最初は300台限定のラリー仕様のインプ。

そしてGTO。

更にはFDと乗りたい車がコロコロと変わる。



まあ、気持ちはわかるのだが、バイクの加速を知っているオヤジはやはりバイクは公道は無敵!!車は峠の下りが最強だと思っている。



次はランエボの4期型があるところだ。




「4期型というと、55ナンバーですね?」


「はい。55ですから税金も安いです。」


「ランエボって55ナンバーなの?」と友人K。


「5期型までは55で6期型からは33ナンバーだから維持費が高くなるんだ。」

「しかも、車体価格が50万円だから峠でぶつけても修理代が惜しくない。」


「お客様が乗られるんですか??」と係員。


「いや。こいつの子供が乗るのですが、維持が高いから子供と二人で共同で乗るつもりなんです。」


「息子さんは免許をもうお持ちなんですか?」


(娘なんですが・・・・まあ、めんどくさいし。)


「今はオートマですが、近々、マニュアルを取らせようと思っています。」


ここでは見積書は、名前と住所、さらに電話番号をしっかりと書かされた。

オヤジ的にはこの後、連絡が来るのがすごく嫌なのだが・・・・


オヤジは車屋で車を見るときは、一応、係りの人に断ってから外見を見るだけでいいのだが、友人Kに言わせれば、車の中を確認、更にはエンジンもかけてもらい、最後は見積書を出してもらうのが礼儀ということらしい。

 買わないのに期待を持たせる行為は、何だか嫌なのだが、ここは車屋めぐり奉行の友人Kのいう事に黙って従う事とした。


その後、更にインプレッサーを1台。




「だめだ。ここは帰ろう。」


このインプを見るや否や、友人Kか変える事をオヤジに促した。


「どうした?」


「車に対する姿勢が良くない。」


 友人K曰く、商品をこのようなかたちで置いておくこと自体が許せないらしい。


その後、もう一台のインプレッサーを見に行ったら、車屋自体を見てやめる。

そして、最後は友人Kのおすすめのスイフトスポーツ。


 ここはスズキのディラーである。


「中をどうぞ。」と係員に言われてオヤジは狭いレカローシートにすらるや否や、


「だめだこれは!!」と、あわててオヤジは飛び出した。


「どうした??オヤジ!!」とビックリした友人K。


「おれが太っているからだと思うが、レカロのシートがきつすぎる。」

「確かに峠では良いけど、1日400キロも走るとなったら、レカロでは疲れるよ。」

「という事で、どうもすみません。これでもう良いです。」

「お忙しい中、お邪魔してすみませんでした。」


と、友人Kの見積もりを出してもらう作戦をやんわりと断わるオヤジであった。


 係りの人はスイフトスポーツはこのレカロが持ち味なのに。という顔をして苦笑してオヤジ達を見送ってくれた。


 オヤジは友人Kとは違い、買いもしない車に対してわざわざ見積もりを出してもらうのは苦手だ。

 友人K曰く。そんな客は冷やかしの客という事で、係員に嫌われるらしい。

だけど、オヤジ的にはかえって期待させるほうが係員に対して失礼ではないかと思うのだが・・・

 まあ、たった1台の車を探して北海道中走り回る友人Kの車屋奉行の行為のほうが正しいのだろう。



今、スポーツカーに乗りたいという夢を絶たれた娘であるが、多分、神様は娘にまだその時期ではないと言っているのであろう。


 オヤジが歴代のレディ達(ZX-14R⇒ビューエルXB9⇒カタナ)に奇跡的にめぐり会えたように、娘よ。君にもめぐり合える時期が来たら、必ず出会える1台がある。


 それまで、そのたった1台の車に出会えるようにオヤジは応援をしてあげる。

 そう思いながら、オヤジは娘の為に、これらのスポーツカーの写真を撮り続けて、娘に渡すのであった。



これでオヤジ達のスポーツカー探しの旅は本当にお終い。


しかし、やはり最初の車屋さんと話したのだが、


オヤジ的にはスポーツカーが売れなくて、今は安くなってきて、セカンドカー的にはねらい目だと思ったら、逆に球数がどんんどん減ってきているので、これから値段が上がることはあっても下がることは無いらしい。

 丁度今、70年代の車やバイクが異常に値段が上がると同じように、スポーツカーも同じ現象が起きているらしい。


友人K曰く。今の車はどのメーカー、どの車も似たりよったりで、車を選ぶ面白みが無いらしい。

 確かに装備はすばらしく良くなった。

エンジンキーを入れなくてもエンジンがかかったり、オートマでもシーケンシャルでマニュアルモードに出来たり、更にはハンドルの横に、オーディオの操作が出来たりする。


しかし、スポーツカーのように、当時、オヤジ達が給料の大部分をはたいてまで購入した夢のような車が少なくなったのではないだろうか??


今、、オヤジはパジェロ・ミニをアイスバーン時に、時折、FRで走る時がある。

その時はアクセリ一発で簡単にスピンしてしまう事がある。


 しかし、スピンモードに入りながらもカウンターを切って、ドリフトしながらコーナーを抜けたときは、やはり運転の楽しさを覚えてしまう。


 スポーツカーが衰退したと同時に、車の世界は運転の楽さは進化したが、運転をする楽しさという根本的なものを失って行ったのではないかと思う。


 スポーツカー探しを行っていたオヤジはそんなことを富に感じるようになっている、今日、この頃である。






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