プレゼント。 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 今日はオヤジの54歳の誕生日。普段なら会社に行くのだが、今回は特別に休みをとった。

 

 誕生日祝いに何か特別な事を・・・・と、読者の方々は期待するとは思うが、何も特別な事はしないで、いつもよりも少しだけ長い時間、家の掃除と片付けを行う事とした。


 この年になると、欲しいものはあらかた手に入っているので、別に誕生日だから何が欲しい。というのも無くなるんですよね。


 ただ、子供たちに為に、誕生日用のケーキではなく、スーパーで購入する1個100円ぐらいの安いショートケーキを購入して、夕食後全員でオヤジの誕生日のお祝いをしてくれる事となった。


 今日は特に気になっていた洗面台の中と食品置き場の中の整理整頓を行う事とした。

 すると、今まで欲しかった、洗剤等が次から次に現れた。


「うーーん。やはりお掃除をすると、買おうと思っていた物が現われるから、お金が節約になるなぁーー。」(というか、いかに今まで家の中に何があるか全然分かっていないオヤジである。)


 そうして、いつものようにお風呂掃除と片付けをおこなっていた時であった。

「痛っ!!」みると、オヤジの右手の人差し指が荒れて、血がにじんでた。


 生まれて初めての経験で、最初は何かで切ったのか??と思ったのだが、不意に理解した。


「そうか。これが肌荒れ。というのか!!」


 これでようやく、オヤジも一人前の主夫の仲間入り。かな??


不思議な感動がオヤジの中に芽生えた。


 最初は買い物一つにしても、ただ単に安いもの。ということで、なるべく見切り品を買ってきておいたら、子供たちはその商品を食べないで、いつに間にか腐らせて、泣く泣く捨てた事もあった。


 また野菜もキャベツ、白菜をまるまる1個買って置いたら使い切れなくて、いつの間にか腐っていたこともあった。


 今では食べれる量を、食べれるだけ購入。と、少量の食材を少しづつ、少しづつ買い、補充を行なっている。


 休日で疲れて子供達の夕食の用意が大変な時は、スーパーの弁当を買って野菜不足を補うために、オヤジ特製ブタ汁を作り、(北海道はトン汁をブタ汁というのがしっくりくるんですよね。)弁当とブタ汁で夕食を終えたりもする。


 最初は、かみさんの替わりに、あれもやり、これもやり。と気が張りながらの毎日であったが、最近はいい意味で、肩の力が少し抜けたような気がしている今日この頃です。


「そうだ。買い物リストにハンドクリーム。ハンドクリームを付けたして・・・・」独り言を言いながらメモを取る。


 ふと、気が付けば、病院から持って帰ってきたかみさんの荷物が入っているバックが目に留まった。


 今までそこに置いてあったのだが、特別気にしていなかったバックであった。


 中を開けてみると、かみさんが入院中読んでいた本や携帯電話など、色々なものが出てきた。


 そして最後に出てきたものは・・・・・・・・かみさんがいままで使っていた、ハンドクリームであった。



「誕生日おめでとうね。手が荒れて大変でしょ。これ、使いなよ。」


 と、その時、オヤジには遠くでかみさんの声が聞こえたような気がした。



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