父として。親として。-2- | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 

 昨日の記事にコメントを頂いた、主(あるじ)さん。三流さん。VIPERさん。てるさん。はるぽんさん。本当にコメントありがとうございます。


 また、いつもいいね。ペタを付けて頂いている、多くの皆様方。この場を借りて、御礼申し上げます。

 できれば、いつものようにお返しをしたいのですが、多分、いいね。ぺた返しを行えば、また睡眠時間を削らなければいけないので、申し訳ないのですが、今は返すことができない状態です。



 さて、前回のコメントの返答は、このブログがオヤジの答えだと思ってください。



  翌日、オヤジは家に帰るなり、子供たちを茶の間に呼んだ。

子供たちはオヤジがこれから何を話すのか判らなくて、神妙な面持ちでいた。


「先に旦那に旅立たれた女の人は、普通に長生きするんだけど、男というのは弱い生き物で、先にかみさんに旅立れた男の人は、数年後に急死する確率が非常に高い。って話を知っているかい?」


子供たちはオヤジが何を言いたいのか、判らない状態であった。


「もちろん、お父さんがそうだ。とは言わないし、今だって充分に元気だよ。」


「だけど、お母さん例があるだろう。昨日まで何ともなくピンピンして働いていたのに、ある日突然、余命何ヶ月だ。と言われることもある。」


「まして、これから冬になるけど、いつなん時、車に乗っている時に、急に吹雪いて、どうなるかお父さんも判らない。」


「お父さんが、もしも何かあったときは、S車輌の社長や、札幌にいるおばさんに君たちの事は頼んでおいた。」



「だからお母さんが亡くなった段階で、お父さんも多分ほかの人よりも長生きはできないことは覚悟をしている。」



「家の借金はお父さんが亡くなったら生命保険で支払いされるから、君たちには借金は残さないようになっている。」


「また、お母さんが残してくれたお金は、もし、お父さんが何かあった時に、君たちに少しでも残せるように、君たちが自立できるまで、車やバイクみたいななるべく大きな買い物はこれから控えようと思っている。」



「だからこそ、君たちは他の子供達よりも、少しだけ早く自立しなければいけないんだよ。」



「なあ、●●(娘1号)。君は絵かきになりたいんだろ。」


「うん。」


「もちろん、君が通信教育を行うお金はお父さんが全部出してやるから、安心しないさい。」


「マンガ家やイラストレーターは、たとえデビューできなくても、アシスタントやスタジオに入れば、給料は安いかもしれないけど、自分で暮らして行くことはとりあえずは出来る。」


「だけど、絵かきで生活をするには、今の世の中はほとんど不可能に近い。」


「例えば、歌手で言えば、君がこれからAKBになりたい。と言うような話だ。いや、まだAKBになれる確率は、君が少しだけ他の子よりも可愛くて、歌が上手ければ、確率は高くなるな。」


「もし、君が歌が上手いとして、これからAKBになれるかい?」


「とっても無理だよ。」


「では、絵かきでとして暮らせるまで、どうやって君は生きていく??」


「バイトでもなんでもするよ。」


「だったら、いきなり卒業して、小樽に行って働くよりも、いま、お父さんのところにいるうちに、バイトを経験したほうが良いんでないかい??」


「どちらにしても、ひとり暮らしはお金がかかるから、今のうちに少しでもお金を貯めておいたほうが良いしね。」



「お父さんは、君が小樽に行くのも札幌に行くのも全然反対しないし、もし、君が出て行っても、●●ちゃん(娘2号)の面倒は、お父さんが何とかするから安心しなさい。」


「だから、今のうちにバイトして、働く楽しさ、厳しさを覚えて、小樽に行っても充分に一人で暮らせる自信が着いた時に、初めて小樽に行ったほうが良くないかい??」


 娘1号はしばらく何かを考えているようであった。


「さあ、これで、お父さんのお話は終わり!!」


「明日もお母さんに恥ずかしくないように、頑張って行こう!!」


「解散!!」


 数日後、娘1号からアルバイトをするから、これから面接に行ってくる。という言葉を聞いた。


 高校にはいってから一度もアルバイトをする。という言葉を言わなかった娘がである。


 娘1号の選んだアルバイト先はなんと飲食店関係のところであった。(というか、狭い町なので、アルバイトはそこしか募集していなかったのが現状である。)

 オヤジは完全に娘1号は失敗したな。と思った。

 

 飲食店を営んでいる主(あるじ)さんには申し訳ないのだが、飲食店関係は接客業の中で、一番厳しい世界だとオヤジは思っている。


 娘1号は素直な子であるが、人見知りが人一倍激しいのである。

だから生前かみさんが、娘1号に「あなたは人見知りが激しいから、働くところは絶対に接客業は止めなさい。」とまで言われたぐらいなのだ。


 だぶん、初日でへこたれて、帰ってくるとまでオヤジは思っていた。


それから娘のバイトは1ヶ月間続いた。



そして、前回の冒頭の「生まれて初めて、バイトして給料をもらった。とっても嬉しい。」

「頑張った甲斐があった。」という、メールの内容であった。


その夜、オヤジはかみさんの仏壇に、


「やったよ。かーちゃん。娘1号が初めて自分でお金を稼いできたよ。これで、あの子も一回り大きく成長したよ。」と、報告した。


 娘1号が稼いだお金は、たかが数万円程度である。


 が、そのお金はオヤジにとっては、初めて自分の娘が一人立ちするための、大きな証(あかし)に思えた。





人気ブログランキングへ