本来なら一足遅れのーーー完結編をUPする予定なのだか、今日のオヤジのこの感情を出し切らないとどうしても気が収まらないので、今日は予定を変えてのUPである。
かみさんが亡くなってから保険の請求、かみさんの凍結された銀行の口座からの預金を下ろす事を同時進行で行い、今まで休みは役所、郵便局、銀行、保険屋と走り回っていて、どうも休んだ気がしなかったのだが、そんな中、ようやく裁判所から遺産分割協議書の特別代理人のOKが出て、代理人の印鑑、署名を再び裁判所に送ったオヤジであったが、翌日、裁判所から「あの書類はもう終わりなので、そのまま銀行に持っていけば良いですよ。」と電話が入った。
(おいおい!こっちは何も知らない人間なんだぞ!!これで良いので、これを銀行に提出してください。という文章の1枚ぐらい書いとけよ!!)と、思ったが、相手は単なる事務手続きしか行わない機械人間。
こっちが頭にきて怒るだけ無駄!と知っているので、とりあえず、今日の休みに取りに伺います。という連絡をして、朝一番に裁判所に遺産分割協議書を取りに行った。
「この書類を銀行に持っていけばもう大丈夫ですよ。」と担当者に言われ、
「今までお世話になりました。」と深々と頭を下げて裁判所を出るオヤジである。
更にその足で、財産分与の書類を特別代理人になってもらった、S車輌の社長さん夫妻に名前と記入して、実印を押してもらい、必要な書類を全部用意して銀行に向かったオヤジである。
これでようやくこの嫌な場所からお別れだと思うと、清々しながら銀行の扉を開けるのであった。後は必要な書類があっても、すぐに役所に取りに行けばもらえるので、これで本当に最後だと思うと、今まで頭のきたこともあってけど、ようやく心落ち着くオヤジである。
オヤジが現れたのを見つけた窓口の受付嬢が急に恐怖の顔をして、担当者をすぐに呼びに行き、担当者はにこやかな顔でオヤジの前に現れた。
「はい。これで全部だと思います。後は必要なら役所で揃えます。」と渡した書類をみた担当者。
開口一番。「なんだ。この書類は??」と、言いながら首をかしげている。
それは今までもめていた遺産分割協議書の書類であった。
「なんだはないでしょう。裁判所から、ようやくOKが出た書類です。」かなりヒートし始めるオヤジ。
それもそうだ、もともと、この書類が原因で、銀行ともめ、裁判所ともめ、ようやくOKが出た書類である。それを今更、なんだこの書類はないだろう。
担当者はしどろもどろに話し始めた。
裁判所に提出する書類は、案であり、本物の書類が別に必要で、その書類に特別代理人の記載が必要なのである。(というか、その流れをはじめからきちんと説明しろよ。こっちは何も知らないまま動いているんだから。)
要するに裁判所で手書きされた、案という文字が入っているだけで、この書類は使えないのである。
一応、ダメモトで、それではこの案という記載を斜線を引いて、訂正印を押したらダメなのか?と聞いて見たけど、ダメに決まっています。という言葉であった。
さらにトドメの一言。「これには印鑑証明がありません。普通、実印を押すときは印鑑証明書も必要なのはあたりまえですね。」
という言葉であった。
(おいおい。お前らは常識かもしれないけど、普通は必要な書類関係の一覧を書いて渡さないか??)
「クソッ!!今日のものにならないな。」と、つぶやくオヤジに担当者は、
「新しく作成して、書き直してくれれば終わりですよ。」と無責任な言葉を吐いたので、
「今からでは子供の記入が出来ないだろうが!!子供が帰ってきたら、ここは閉店だろうが!!」
もうこの段階でかなりきれたオヤジは、普通、物には絶対当たらないのだか、感情の抑えがきかなかったのだろう。
「出直してきます。」と、言いながら乱暴にイスを戻した。
バタン!!
と大きな音がしてかなりまわりのお客がオヤジを遠巻きに見ていた。
多分、融資をしてくれなくて、金策に困った男が引き払っていったのだろう。とでも思われたに違いない。
その足で再び新しい書類を作成して、またまたS車輌の社長夫妻に頭を下げに行く。
「ちゃんと聞いてきたのか??」と、笑いながらも社長夫妻は気持ちよくサインをしてくれる。
「しかし、普通は実印を押すなら印鑑証明は必要だろう。そんなことも言われなかったのか??」
「いゃーー。銀行も自分たち目線ですからねぇーー。必要な書類が無いから、今回はダメですという態度ですよ。」
オヤジは自虐的に言葉を返した。
全く保険会社とは雲泥の差である。
保険会社はまず、「奥様が亡くなりお悔やみ申し上げます。」と、言いつつ、
「今は大変かと思われますが、今回必要な書類はこれとこれを用意して下さい。」と言いながら、必要な書類の用意する一覧表を渡してくれた。
そのため、オヤジはその一覧表を役所に提出すれば良かっただけであった。
銀行は違う。必要なのはこれこれこれ、と口頭でいうだけなので、自分でメモをかきながら役所に行って、ようやく用意したのだ。
その間お悔やみ申し上げます。の一言も無かった。
それは社会人、いや、人間としてどうよ??と感じた。
幸いなことに、子供たちはテスト期間のため、早めに帰宅してきたので、急いで記入させて、再び1時間後に銀行に舞い戻ったのだ。
再び舞い戻ったオヤジに驚いた担当者は
「あっ。まだ調べていないんですよ。」と言った。
「どのぐらい時間が時間がかかりますか??」
「そうですねーー。30分ぐらいかな。これから時間ありますか?」
もう、この言葉にもイライラしてきた。
「これから北見に用事で走らないといけないんです。なるべく早めにできませんか??」
「これから審査ですからねぇーー。なんでしたらOKなら携帯に連絡致しますよ。」
もう口も聞きたくない。
気のせいか担当者はニヤニヤ顔で、「携帯でないと連絡でつかないでしょう。」と言った時にはオヤジのイライラ度はピークに達した。
「30分後にまた来ます。」
もうこいつとも顔を会わすのが嫌になってきた。
再び、役所、郵便局と各用事を終えて、銀行に舞い戻る。
さらに30分後にようやくOKが出て、こうして晴れて1ヶ月近くもかかりかみさんの凍結さてた口座はオヤジ家のものになったのだ。
オヤジはかみさんの口座を取り戻した嬉しさよりも、もうこいつと会うことが無くなった嬉しさの方が、精神的には大きかった。
残念ながらオヤジの住んでいる町は田舎である。
普通ならそこの銀行が嫌なら別な銀行にすることができるが、ここではこの銀行1店舗しかない。
さらにその担当者はこの銀行の副頭取であった。
だからオヤジ家のような、小さな預金者は止めてもらっても屁でもないのだろう。
だけど、確実にオヤジの中では、この銀行との付き合いは生活費の支払いという最低限にしていくことなるだろう。
間違っても預金なんかしたくもない。
多分、オヤジの方が普通に考えれば、常識的にこの書類が必要。という事を知らなすぎたのかもしれない。
が、あまりにも保険会社が、かみさんが亡くなり親身になって対応してくれた事に対して、個人財産を守る。という名目で、遺族に対して非常に冷たい対応が気になった一件であった。
これで本当にひと段落がつきました。
これから一歩、また前を向かなければいけません。
「かーちゃん。かーちゃんからもらった財産は大切に使うよ。間違ってもキャンピングカーを買ったり、バイクの買い替えなんかはしないから、安心して成仏してくれよ!!」
銀行から出てきたオヤジは天を仰ぎ、そうつぶやくのだった。

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