イニシャルはO!! | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 ここは北海道のK市。

(まあ、オヤジの場合はK市といえば、北見市しかないのだが・・・・)


 とある、ゲーセンで若い学生達の間で、一つの都市伝説化されている噂があった。


「お前も見たか???昼間にぶらっと現れた、冴えないオヤジがもう半分廃れたドリフトゲームの 「イニシャルはD」 をズーーツとやっているのを。」


「いや、何だい?そのオヤジっていうのは??」


「いや。俺も直接見たわけではないんだけども、平日の昼間に、50代ぐらいの冴えないオヤジがブラッと現れて、今はもう誰もやっていない、イニシャルはDのゲームを黙々とやりだすんだよ。」


「しかも、そのオヤジ。オートマのクセに、やたら速いときているんだ。」


「ふーーん。50代ぐらいのおっさんがねぇーーー。」


 さて、今日のオヤジの休みは外は快晴!!いかにもバイクで走れば最高!!という天気である。

 

 が、残念ながらオヤジはかみさんの用事で、またまた北見へと走る。

(オヤジが休みに快晴な時は、決まって用事があるときなんですよね。)


 無事に用事は昼頃終わり、かみさんと共に昼飯を食べ終えた後のことであった。

「北見っていうことは、あんた、またゲーセン行く気しているでしょう。」

「・・・・・・ああっ。」オヤジは少し恥ずかしげに答えた。

「まあ、私も前回やり残したことしたゲームがあるから、寄っていいよ。」という事で、オヤジはゲーセンに直行した。


 今回は前回連続ヘアピンでスピンを行い、ボロ負けしたMR2操る、小柏カイへのリベンジのためであった。

 

早速、百円玉を10枚ほど両替を行い、イニシャルはDのゲーム機に座り始める。

 横の席には20代ぐらいの先客がいた。オヤジが横に座るなり、バツが悪そうに携帯電話を取り出して電話をしながら出て行った。


 いよいよ4輪デビュー、リベンジ編である。


 オヤジはおとなげもなく今回の車を35GTRに設定した。

 

 まったく、いくらゲームといえども、何が何でも勝ちに行こうという、こすいオヤジである。


 まずは初戦の高橋弟。拓海、池谷、と勝ち進んでいく。

やはりパワーのある35GTRは速い。今まで嘘のような立ち上がりの遅さがクリァされ、今までと違う次元の速さがオヤジを襲う。

 S字切り返しのヘァピンのは最初のハンドルのきっかけから連続ドリフト状態に持っていく。


 いよいよ、ランエボⅢ操るエンペラーのヘッドの須藤との対戦。

 もう、この段階でオヤジの集中力は途切れ、壁にぶつけながらもの満身創痍の勝利である。


 ここで早くも時間は1時間をすぎて、ゲームに飽きたかみさんが、ボーツと鬼気迫る表情の50代半ばの、冴えない男の後ろ姿。(つまりオヤジのことね。)を見ていた。



 そしてついに前回負けた小柏カイとの対戦までたどりついた。


 加速は35GTRの方が優れていて、先行となったが、ヘァピンでMR2の得意のコーナーリングが炸裂し、後追いとなったオヤジである。 

そして、前回、痛恨のスピンとなった連続ヘァピン!!


 オヤジの頭は完全に空白となった。


前に見えるは小型ミッドシップのMR2。

 集中力の切らしたオヤジはハーフスピンしながらも、カウンター状態からのドリフトに入り、数週目のヘァピンで35GTRは巨大な車体をMR2の鼻先にツッコミを入れた。

そして、その時はやってきた。頭を取った35GTRは巨大なパワーでMR2を引き離し、小柏カイを制して勝利をもぎ取った。






 ここで、オヤジの目的は達したので、次の対戦相手で止めようと決意した。

(本当はかなり飽きてきたかみさんの顔を見て、ぶるったオヤジである。)


次の相手は東堂塾のシビックの二宮である










(あっ。これは負けたな。)と格の違いのオーラーが出ている二宮である。


 予想どうり、最初のコーナーで先行したシビックはオヤジの操る35GTRをグングン引き離していった。

(さあ、これで終わりだ。)とオヤジは思うものの、体が言うことを聞かない。


 35GTRは大げさなドリフトから最小ドリフトに変わり、気がつくと大幅に先行されていたシビックがいつの間にか目の前に。


 そして、いつもの勝利のパターンとなる、ツッコミから鼻先を入れてドリフトでシビックを引き離した。

またまたの完全勝利である。


さーーて、次の相手は・・・・・・・・・・・・・・・・


かみさんを見ると、かなり怖そうな表情である。

「あっ。今、止めるね。」と、オヤジは慌ててゲーム機から席を立った。

「あんた、かなり夢中になっていたねぇーー。」

「いゃーーー。悪い。悪い。なかなかオヤジを負かす相手がいなくてねぇーーー。」


 と、今日もウキウキとゲーセンから出て行くオヤジであった。





 「オヤジさん。オヤジさん。ゲーセン通いも良いけど、そろそろ、ココのお話も入れてよね。」

「全国のココ・ファンの読者から、苦情が出てきているよ。」







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