R33 GTRでいくという事。 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

昨日、29日にオヤジに1件の電話が入った。

「オヤジ。明日は休みか??」

それは、オヤジのブログ。「スピードに愛された男」で一役有名になった友人Iからの電話であった。
こいつが現れると、必ずオヤジの人気が取られる・・・ブツブツブツ・・・・・)

「もし、用事がなければ、明日・・・・・」
「おうっ!!会う!!会う!!用事が会っても必ず会うぜ!!」

オヤジは二つ返事で明日、彼と会うことを約束した。

そして、今日の30日。

天気は久しぶりの秋晴れのピーカンである。

正しく、バイクを乗るにはもってこいの日であった。


そんな中、オヤジは友人Iからの連絡を待っていた。
いつもなら、大体昼過ぎには連絡があるのだが、なかなか連絡がこない。
しかも、電話をしても電源が切られていた。

そこで、昼過ぎに彼の家に直接行くことに決めた。

今日、彼と会うという事は、彼が新しく購入したチューンドのR33 GTRのお披露目を行うという事であった。

 10数分後、彼の家に着いたら、彼はガレージの前の3年前に購入した不動のR32 GTRのタイヤ交換をしていた最中であった。





「おい。I。何やってんだ??あんまり連絡がないから、直接会いに来たぞ!!」
「おうっ!!悪りぃ!!R32のタイヤ交換を朝からしていたんだが、なかなか交換できないで苦戦していたんだ。」

 彼はR32のタイヤ交換をしてから、オヤジの家に来るつもりだったのだが、未だ交換できないでいたのであった。

「タイヤ交換って??今時、何やっているの??」

「ああっ。3年も動かしていないから、タイヤの空気が抜けて、ペシャンコになっているから、違うタイヤに交換したら少しはこのR32を動かせると思っていたんだ。」

(というか、おまえ、3年もの間に空気が減ってきたタイヤに直接空気を入れてればすんだ話でないか??)

 というふうに、オヤジに関わる友人は、どこか抜けていて、やることなすことお笑いなのだ。

「で、今回購入したR33はどれだ??」と、聞くまでもなくそいつは現れた。





「あれっ?ZG(フェアレディZG)は売ったのか??」

今までそこは、彼の足にしているフェアレディZGが収まっていた場所であった。

「いや、知人のところに置いてある。」

聞けば無料で1年間ほど車庫のある場所に置かしてもらっているそうである。

全く旧車乗りってやつは、気前のいいやつが多いから不思議である。







 うーーん。新、旧、日産の名車が揃っているとは・・・・・




 今回、購入したR33 GTR は個人売買で購入し、かなりチユーンニングされているマシーンであった。
 その為に一般の業者はあまりにも改造されていたGTRなので、今後のメンテナンス等を考えてどこも引き取らなかった車であった。










 リアからフロントに向かって、ぶっといロールゲージがフレームに沿って這わされている。

エンジンルームを見てみると、













どでかいシングル・ターボが装着されていた。

「うわっ!!スゲー、でかいタービン!!これでは今時のツイン・ターボの用な反応の早いタービンでなくて、いきなりパワーの出る、ドッカン、ターボでないのか??」と、オヤジは目を丸くしながらIに聞いた。

「ああっ。5千回転からの加速は正に鬼だっ!!」
「この間走った時はいきなり200km/hを超えて、さすがに怖くてアクセルを緩めたよ。」


 (おい。いきなり200km/h超えかよ。まったくオヤジと次元の違う奴だよ!!((((;゚Д゚)))))))ガクブル)



 オヤジが来たことによって、Iとのダベリング(だらだらと、だべりながら作業を行う事)が始まり、朝10時から行っていたタイヤ交換は大幅に遅れ、午後3時過ぎてようやく前輪2箇所の交換を終えて終了した。



R32GTRのフロントタイヤを外した画像。
「あっ。やっぱり車高調が入っていた。」

I
がR32 GTRのタイヤハウスを覗いて、そう言った。

「車高調?」

「ああっ。あのサスの下のネジがそうだよ。」




 普通の車の車体を持ち上げると、右側の矢印ぐらいタイヤガ落ちて、タイヤハウスまでの空間ができるのだが、このR32は、車高調が入っているためにタイヤハウスとの隙間がせまいのだ。

 後輪は空気が抜けてないから、とりあえずは良いそうである。

 そして、用事があって分かれる4時までの1時間の間、オヤジとIはタベリングを始めた。

「オヤジ!!すまなかったな。今日は絶好のバイク日和だったのに、俺に付き合わせて。」

彼はバイク乗りにとって、この天気が滅多にない貴重な時間だと言うことを嫌というほど知っているのだ。


「いや、構わないよ。俺にとって、お前と会う方がバイクに乗るよりも大切だからな。」

「なあ、I?何でR33を買ったんだ??」

「このR32 GTRの車検を取ろうとしたら、全塗装が40万円。車検代が30万円で70万円もかかると言われたから。」

「そんな時に、このチューンドしたR33 GTRが個人売買で安く売りに出していたからだよ。」

「おまえ、ZGの車検を取ったらいくらで済んだの??」

「うーーん。10万円ぐらいでないかな?」


「だったら、またZGに乗っていたほうが、お金はかからなかったんでないか?」


「そうだなぁー。だけど、今回はパワーのある車(R32)に乗ってみたかったんだよ。」

「パワーのある車ねぇーー。」


「オヤジ!!今回は本当に済まなかったな。今度、会うときは、俺のR33に乗ってくれ。」

「ああっ。」
オヤジは彼に軽く右手を上げて別れを告げた。


R33 GTRでいくという事。

彼は決して金持ちではない。たぶん、年収でいえばオヤジよりもはるかに低い年収である。

 なのに何故彼は、S30Z、ZG,R32GTR、R33GTRの4台もの名車のオーナーになれたかと言うのは、彼の車に対する情熱がほかの人よりも多いからであろう。

カージャンキー(車中毒者)という言葉があれば、正しく彼の事を言うのであろう。

他の人が、美味しいものを食べたい。とか、どこかに旅行に行きたい。この商品が欲しいという事を考える中、彼の欲しいものは全て車に注がれているのだろう。

 実際、彼の生活は非常に質素である。


R33 GTRでいくという事。

 彼の姿が、今まで本物の竜(スポーツカー)を求め続けて、まるであの湾岸ミッドナイトの平本のように、全てを捨てて終わりの無い走りの世界にのめり込んでいった漢(おとこ)の姿にオヤジはダブって映った。



 




人気ブログランキング