7・地獄の900マイル。
「さあ。これから帰るけど、まだ行きそびれている。というところはないか?」と、オヤジは全員に聞いたら、かみさんが恥ずかしそうに「昆布館にまた行きたい。」と小さな声で言った。
「別に良いけど、あそこで、お前、お土産買ったんでないかい??」とオヤジは不思議そうに尋ねたら、
「お土産が無くなったの。」
「えっ?お土産が無くなったの??いったどういう事??」
「途中で全部食べたの。」
よーーく聞くと、函館の観光廻りの最中、オヤツの代わりに、昆布館でお土産として買った、昆布の乾物を出したら、みんなで「美味しい。美味しい。」と食べ尽くした。と、いうことであった。
「そうか。わかった。」そう言って、オヤジは先にガソリンを補給したあと、昆布館に車を向けた。
昆布館から帰ってきたかみさんの手には・・・・・
お土産の昆布の乾物が山のようになっていた。
「うーん。満足。満足。」と、かみさんはニコニコ顔となっていた。
そういえば、昆布館の人たち、試食はおかわり自由。と、太っ腹な事を言っていたが、オヤジ家が再び戻ってくることを確信していたのだろう。
ここで、お昼近くになっていた。
お昼は八雲のハーベスト八雲でとろうかと思っていたら、娘2号のお昼は函館名物の「ラッキーピエロ」のハンバーガーを食べたいと言い出した。
函館=ラッキーピエロのハンバーガーという公式ができるぐらい有名なハンバーガーである。ちなみに、「全国!!輝け!!ハンバーガー!!ナンバー1」になった由緒正しいハンバーガーなのである。
高速に入る手前付近に、このラッキーピエロが現れた。
早速、4人分注文する。
一人390円である。

オヤジはハンバーガーは好きであるが、あまり食べたことがない。
理由は・・・とにかく小さいのである。
一個、300円以上もするのに、小さすぎて昼飯としては物足りない。
下手したら3個ぐらい食べないと気がすまないぐらい、一般的なハンバーガーは絶望的に量が少ないのである。
が、ここのラッキーピエロのハンバーガーは違っていた。

ドドーーン!!と大飯食らいのオヤジでさえ、悲鳴の上げるぐらいの大きさであった。
もちろん、これ一個で充分にお腹が満ち足りるぐらいの量の多さであった。
うーーん。流石はラッキーピエロ!!他所のハンバーガーやさんも真似して欲しいものだ。
このハンバーガーをかじりながらPM1:30分頃に高速に乗る。
高速道路は飛び出す車や人がいないし、信号が無いので便利だ。
が、困ったことが二つある。
ひとつはトイレだ。おトイレに行きたくても、最低、30分以上は我慢しないときけないので、お腹が痛いときは正に地獄である。
もう一つは・・・・・・・
それはフイにおきた。
初めは何だか気持ちよくなり、瞬きをしなくなる。
そして次第に生あくびが出始める。
普段とは違う領域で走っているオヤジは、ひとつ間違えると死亡事故にもなりかねないので、近くのPAで休息をすることとした。
場所は高速に乗って30分もしない八雲町である。
シートを倒して十数分間目を閉じるオヤジ。ようやく睡魔から逃れ再び走りだす。
するとまた少し経つと生あくび。
PAで休息。
とこんな調子で帰りは高速道路でもなかなか先に進まないオヤジであった。

その為、有珠山のSAで休息して走り始めたのはPM4時過ぎのことであった。
「今日中に岩見沢に着くかしら??」と、遅々として進まないオヤジの車を見てかみさんは心配しだした。
前半の休息が功をなしたのか、後半は睡魔に襲われることなく、快調に突き進むオヤジ。
高速道路は相変わらず、血走った目で先を争う車ばかりであった。
有珠山SAから本線に合流しようとすると、遥か後方にいた車が気がついたら真横にいた。
オヤジが気がつかないで、少しハンドルを右に切ると確実にぶつかるところであった。
慌てて急ブレーキをかけながらその車をやりすごし本線に合流。
次のPAでは合流中に後ろから本線に合流する車がオヤジの左側から急加速して、オヤジを抜かして本線に入っていった。
全く軽自動車だと思って・・・・・
マナーがなっていないなぁーー。レディなら必ずお前たちをブチ抜いてやるのに。
と、心で暴言を履きながら再び高速に乗るオヤジ。
全く高速はパワーのない車で走ると怖ぇーー所だよ。
恵庭に入り、オヤジは行き先を今度は帯広方面に向けた。
この判断が後になって重大な事故から免れる、ラッキーな判断となったのは、今のオヤジには知る由も無かった。
いまだ、岩井沢に向かっていると信じているかみさん。しかし、1時間も走れば昨日来た道と違うことにうすす感づいた。
「あなた?今どこに向かって走っているの?昨日の道でないよね。」とオヤジに尋ねるかみさん。
「うん。今日は帯広方面から帰るつもりで道を変更した。」
「帯広方面って・・・・・かなり遠回りにならないの?」
「今回は行きは札幌方面。帰りは一度も通ってない帯広方面の道東自動車道路を使うつもりだったんだよ。」
これで、オヤジの構想している北海道巨大サーキット(高速道路)を走ることになるのだ。
「じゃーー。どこで泊まるの??」
「旭川かな?」
「岩見沢まで遠いのに旭川なんて無理でない??」と心配そうにかみさんは尋ねた。
「まあ、まっかせないさい!!」と、オヤジは自信満々に答えた。
帰りは雲空であったのだが、いつの間にか快晴であった。
が、むかわ穂別から天候が崩れ出してきた。
ワイパーを間欠モードとする。
徐々に雨足が早くなる。ワイパーは一強モートで窓ガラスの雨をぬぐい去る。
占冠・富良野という看板が見え出した。
富良野といえば旭川から40km程の街だ。
オヤジは迷わずに占冠で高速を降りることにした。
この時になるとかなり雨が強くなってきた。
そして、占冠村の料金所にたどり着いた途端!!
バキッ!!
と大きな音がして、またもやワイパーが外れてしまった。
料金所で5、650円を支払い、すぐに道路脇に寄せてワイパーを付け直すオヤジ。
「全く危ないところだった。土砂降りの高速道路の脇でワイパーを付け直すなんて、自殺行為もいいところだ。」と、オヤジは冷や汗をかいた。
原因はワイパーをケチって古いやつを付けすぎていたからです。あまり古くなると、アームに停まっているプラスチックがゆるくなって、ワイパーが外れるそうです。
1本1、000円ぐらいから買えるので、やはりワイパーは新しい方が安全だし綺麗に窓が拭けるので、皆さんもワイパーはケチらない方がいいですよ。(というか、ワイパーをケチるのはオヤジ、お前ぐらいだろう。)
PM 6:30 占冠村道の駅でトイレタイム。あたりは次第に暗くなってくる。
PM 7:30 富良野市到着。
完全な暗闇となるが、ここで、北海道のヘソの町。(つまり中心という事ネ。)という案内所で記念写真。


そして、PM8時過ぎには旭川に到着することとなった。
オヤジ家の旅はどんなに遠くにいっても最終日の前日は旭川に戻ってくることとしている。
距離的には200kmも離れているが、何となく帰ってきた。という感じにとらわれるのだ。
いつもなら、旭川で午前中にお気に入りの雑貨屋さんに入り、いつものファイブ・スターでバイキング・ランチで旅の締めくくりをするのであるが、旭川より大きな函館をみたオヤジ家には、今更、旭川で時間を潰す気にもならなかった。
このまま帰ろうか?という案も出たが、皆、まだ旅の余韻に浸っていたかった。
そこで、旭川で一泊してから、朝一番で帰る。ということに決まった。
そこで、明日寄る予定であったMEGAドンキホーテで買い物をして、疲れたので早めにホテルに入ることとした。
オヤジ家の御用達のホテルは当麻にあるシャトルというシティ・ホテルである。
ここはラ●ホらしくないとても大きな部屋で、家族連れの旅行者も結構利用している。
現にホテルから出るときに子供連れの家族と鉢合わせする事が多い。
昼のラッキーピエロのハンバーガーが大きすぎたので、お腹が減ってなかったのだが、一応、夜中にお腹がすいても困るので、コンビニで軽く夜食を買ってからホテルに入ることとする。
8・恐怖の一夜。
シャトルというホテルに向かう途中、オヤジはふいに気になったていたホテルを話す。
旭川に遊びに来たとき、数回前を走り、随分綺麗なホテルがあったのだ。
今回はそこに行ってみようか?と提案したのだ。
岩見沢、函館と豪華な(オヤジ的にはだよ。)ホテルに入ったオヤジ家一家は、すぐにその案に乗った。
そのホテルに入ったら、車は満車状態であったがまた数部屋空いているみたいであった。
その時、車から出たときにオヤジは一人の人影を見た。
最初、動かなかったので、立木のように見えたのだが、どうも妙に人みたいな形だったので、銅像かな?と思って近寄ったら、慌ててその人影は消え去った。
「?????」
部屋は3部屋しかあいていなかったし、さらに今まで泊まったどの部屋よりも高かった。一番安い部屋にしても10、800円もした。仕方が無いのでその部屋に決めたのだが・・・・・・
結果。すごい!!豪華!!の一言であった。



部屋には50インチほどの大型液晶テレビが置かれ、憧れの自分の部屋。と言いたいような豪華さであった。
皆、「すごい!!ここに決めて良かったね。次回からはこのホテルにしょう。」と喜んでいる時に、オヤジはいらないことを話てしまった。
さっき見た不審者の話であった。
オヤジが風呂に入っている時に、天井から人が走り回る音がうるさく聞こえたそうだ。
不思議なことに、オヤジが風呂からあがってくるとピタリ!!と、その音が消えたそうだ。
そこで、かみさんと、娘2号が恐怖におののく一夜をすごしていたらしい。
翌朝、誰もが寝坊をした。一番早く起きるオヤジでさえ、8時30分に起きた。
多分、旅の疲れが出た。と、思っていたら、実は次の日、かみさんからその話を聞いたのであった。
ここのラ●ホ代は延長も入り、12、800円也。
まあ、一番リッチな部屋だったので、3、000円ぐらい高くても良いかっ。

朝食をいつもの定食屋ですませ、朝一番に帰宅するオヤジ家であった。
昼頃、無事に自宅に帰宅。
距離は1489.1km 約900マイルの旅であった。

エピローグ
長旅は年をとると非常に疲れるもので、午後からは何もできないでソファーでダウンしたオヤジでした。
さらに、頑張って走ってくれたタント君でしたが、次の休みの日にオイル交換に行ったら、マフラーが穴があいて、交換で、13、000円の出費がさらにかかりました。車も人も古くなるとあちこち壊れてくるみたいですね。
エピローグ2
ちなみに、オヤジ家が最終日に泊まったホテル。
旭川では結構、評判の良いおホテルですね。旅行者のリピーターが多いみたいです。だから・・かみさんと、娘2号が出会ったあの恐怖の体験は・・・・・なんだったのかな?????
