それは、オヤジがレディ9と走った様子が書かれていないからである。
いよいよ、オヤジも終わったな。
「飛ばないブタはただのブタだ。バイクに乗らないオヤジはただのデブだ。」と読者の方々から笑われそうなので、今回はバイク屋から自宅まで帰る様子を書いて見ようと思う。
あっ!!尚、Kサツ関係者の方々!!(まずはこんなブログ読んでいるわけないと思いますが・・・。これからの文章は大型バイク浪漫の小説なので、あくまでもノン・フィクションなので、信用しないでください。)
「それでは、ありがとうございます。」とバイク屋の主人に挨拶を済ませたオヤジは、おもむろにそばにあったバトルスーツを着込んだ。
やはり相変わらず重いッスーツであるが、それが逆に絶対的な安心感をオヤジに与えてくれる。
「ふぅっ。」 大きく深呼吸をする。
緊張感がイヤが上にも高まる。
鉄のプレートの付いたイェローコーンのグローブを数回、両手で拳を作って叩きグローブをなじませた。
道路ではすでにレディが待機していた。
ドルルッ!!ドウルッ!!ドウルッ!!
早くも凶暴そうな音を周りに撒き散らせていた。
後続にはHONDA、CB750 seven fiftyが、キュキュルキュルとセルが回りエンジンがかけられた。
レディよりもはるかに大きい750。しかも音はHONDA特有の静かな音である。
そのオーナーは明らかに、原付きと見間違う小さなバイクに乗るオヤジが、全身黒づくめで革のプロテクターだらけの異常な格好の格好に興味を持っていた。
オヤジはゆっくりとレディに跨り、後続車の有無を確認後、静かに発進を行った。
コイツの無意味な空吹かしは近所迷惑もいいところだ。
よく、発進の時に無意味なカラ吹かしを行うライダーがいるが、オヤジから見たら、あまりカッコの良いものではない。
レディは市内地の低速が苦手である。時折、低速ギャー比ではシャクリ感がひどく、時折、止まりそうな感じになる時があるが、今日は何も感じないですんなりとバイク屋のある町を出た。
やはり、車検時に整備を行ったのが良かったせいか??
2速、3速、4速と徐々にシフトアップ。
前走車は商用車風のカローラーフィルダー
後続のオヤジの姿を認めたカローラーはおもむろにスピードを上げ始めた。
ここ北海道は一般道路では遅い車でさえ、80km/hで町から町を移動する。商用車でさえ100km/hの巡航は普通のことである。
オヤジはシンプソンのヘッド・ギァーのシールドを左手で閉めて追撃体制をとる。
ギァーは5速ホールド。
おもむろにアクセルを吹かす。
ドゴーーーン!!
レディの実力はこんな時に現れる。250cc並の軽い車体にHDの大型エンジン。
シフトダウンを行わなくても、鋭い加速がオヤジを襲う。
小柄な車体から発する最大トルク 92Nmが体感出来る瞬間である。
メーターは60km/hから瞬間で100lm/hを超えだす。
あっという間に前走車に追いつく。
慌ててブレーキを入れて、衝突を防ぐオヤジ。
原付に追いつかれたの思ったカローラは自尊心を潰されてさらに加速するが、レディは生粋のストリートファイターである。
所詮、一般車では今のレディの敵ではない。アクセル一発ですぐに追いつくレディ。
と、その時、前走車のカローラーがいきなりブレーキをかけた。
瞬間的にブレーキを入れるオヤジ。
前を見るとキツネが道路を飛び出そうとしている。
まだ飛び出すなよ!!
オヤジはレディのブレーキを思いっきり入れた。
ビューエルの特徴であるブレーキ。
これはビューエル社で特許をとっているのであるが、下の画像を見てもらえばわかると思うが、外径が異常に大きい。これによって、ブレンボー顔負けの強力なブレーキが働くのである。

正しく、小柄な車体。トルクのある大型エンジン。そして、強力なブレーキ。で、ストリート・ファイターと、呼ばれる由縁だろう。
カローラーは止まりきれずにそのまま付ききったが、レディは無事キツネの前に止まった。
キツネはオヤジの顔を見ながら道路を渡って行った。
「気をつけて帰れよ。」
そっと走り去るキツネにオヤジは呟いた。
やっぱりスゲーよ。お前は。
オヤジは新しく命を吹き込まれたレディのボディを軽く叩いて、家路に向かうのであった。
