一難去って、また一難!! | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車


 最後の晩餐。



午前5時。

「あんた。今日の列車!!午前中は全便運休だよ。」とかみさんの声でオヤジは目覚めた。

実は今日から明日まで列車で札幌に出張の予定であった。


 ニュースでは、道東線のほとんどの列車が運休。国道もオヤジの住んでいる町を中心に国道閉鎖が入っていて、まだ解除になっていなかった。


 外はもはや雪は降ってはいなかったが、相変わらずの強風で時折、視界が見えなくなる。


 早速、網走の駅に電話を入れてみる。

結果、午前中の6本は休行。午後からの便も見通しが立たない。ということであった。


午前6時。


 焼きおにぎりが6個。これが、本日、オヤジ家の最後の食材となった。


 これではまるで、最後の晩餐ではないか。


「これで、食材はもう無し。さて、どうしましよう。」かみさんはオヤジに不安げに聞いた。


「うむ。わかった。買い出しに行ってくる。」

「リュック。無かったか??」と、オヤジはかみさんにリュックを出してもらい、シャンバーと長靴というカッコで外に出た。


 国道の復旧作業で作業でオヤジ家の周りの除雪は後回しになり、もはや車は出せない状態であった。


外に出てオヤジはすぐに後悔した。


 シャツにジャンバー、長靴、軍手、帽子というカッコであったが、パンツの上にズボンだけしか履いてなかったので、脚周りが寒い。というよりも痛い状態である。


 何年もの間、移動は車が中心だったので、防寒の事をすっかり忘れていたのであった。


 目指すは700メートル先のコンビニ。


時折、強風がオヤジを襲い、その都度、歩く足を止めるオヤジであった。

 薄暗い夜明けの国道。歩く人どころか、行き交う車さえ1台も見当たらない。


 遥か彼方に目指すコンビニの明かりが見えた。立ち止まると、途端に寒さがオヤジを襲うので、一歩一歩だが、しかし確実にコンビニに向かうオヤジであった。


 十数分後、ようやくコンビニにたどり着いたオヤジであった。


 前回の猛吹雪でコンビニに避難した友人から、弁当関係の事を聞いていたので、あてにしてはいなかったが、流石に何も無い。


 弁当、パン、おにぎりどころか、バナナなどの簡単に食べれるものさえ、すべて無くなっていた。


 オヤジの目的はただ一つ。袋に入ったお米である。お米さえあれば、数日間生き延びれる。しかし、残念ながら、お米は早々と売り切れていたそうだ。


 とりあえず、最低、今日1日分だけの食材さえあれば何とかなるであろう。

見ると、まだカップ麺関係は、結構残っていた。


とりあえず、カップ麺8個。冷凍ウドン6パック。パック式ゴハン6個を手に入れて、リュックに詰める。

  

 ものが溢れているときは人は買うきも起きないが、だんだん少なくなると、買い占めしたくなる気持ちが何だかわかるような気がしてくる。


 ほかにもいろいろとあったが、ほかの人のことを考えて、今日、1日分だけあればいいと判断し、買い物はそれで止めた。


 購入したものをリュックに詰め込む。

「おおっ!!さすがはリュック!!軽い!!」オヤジは初めてリュックがものを持つときに優れていることがわかった。


うーーん。これはまるで、ドラマでよくやっている戦時中の買い出し風景だな。


と、不意にオヤジはそう思った。


 再び来た道を戻るオヤジ。時折の強風がオヤジの背負ったリュツクを押してくれるので、帰りは歩きやすい。


 十数分後、ようやく我が家に辿りとくオヤジであった。


「おーーい!!食料買ってきたぞ!!」


 という声で、オヤジ家はこれで、また1日生き延びれられたことに感謝するのであった。



プロローグ。


 朝食のあと、家の前の徐雪を行っていると、国道は閉鎖されているのに不思議と新聞が来た。

配達員の人に、国道が開通したのか聞くと、やはり閉鎖状態であった。

 どうやって配達のトラックが来たのか不思議に思っていた。


午前9時。会社に今日も休むことを伝え、出張の件を聞いたら出張は中止となったそうだ。

今日も、小学校、高校ともに臨時休校である。


 かみさんも「天気は収まってきたのに、国道閉鎖って不思議ね??」言ったとき、不意にオヤジは理解した。


 道路は問題ないのだが、一般車が走っている中の徐雪は危険が伴う。その為、国道を完全に閉鎖しておけば、徐雪に専念出来る。


 その為、新聞などの大切な車だけは通して、国道は閉鎖し、早い段階でライフラインの復旧をおこなうのであろう。


 オヤジ家の自宅で遭難はまだ終わらない!! 




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