朝からの猛吹雪で、会社に行くことを諦めたオヤジ。
早速、ニュースを見る。
案の定、ニュースではオヤジの通勤途中の国道で、車が何台も立ち往生して回復の目処が立たない事を報道していた。
また朝から出社して途中で帰ってきた近所の人は、オヤジの町の国道が道路閉鎖された事を教えてくれた。
朝から会社を休んだ事を少し後悔していたが、これで、オヤジは自分の判断が正しかったことで少しは安心した。
昼前に一度、除雪車が来たが、数時間で道路はまた雪に覆われた。
道路に雪が膝まで降り積もっています。
朝方、徐雪したガレージの中も、すぐに雪で覆われてしまった。
相変わらず吹雪いていたが、昼から風が少し収まってきたようであった。
ふと気がつくと、かみさんが外に出て除雪を行っていた。
そして、昨日、玄関まえの駐車場に置けないで、少し道路にかぶさっていた、ミラ・イースを動かしていた。
「一体何やってんだ!!」オヤジは少し怒り気味にかみさんに尋ねた。
\(*`∧´)/ プンプン!!
「車。少し前に出さないと、徐雪の邪魔になるでしょ。」
車が雪で立ち往生した経験のある人はわかると思うが、一旦、タイヤをスリップさせると、だんだんタイヤは雪を掘っていって、バックもできなくなると、今度は完全に脱出できなくなる。
その為、オヤジは除雪車が道路に完全に入ったあと、車を道路に一旦バックさせて、一気に駐車場に登る気でいたのだ。
案の定、イースを動かすと前輪は空転し始めた。さらに悪いことに今度はバックもできなくなっていた。
「チッ!まったく余計なことをして。」と、オヤジの語気はだんだん荒くなっていった。
後ろの雪を少し除雪したあと、 雪道脱出用のプレートを取り出し、一旦、バックさせた後に、オヤジはイースを一気に前進させた。
ミラ・イースは少し前進したが、その反動で斜めに傾いて、さらに悪いことに完全に道路側に落ちて止まってしまった。
「だめだ。完全に落ちてしまった!!」
「あんたがおかしくしたんでしょ。」
と、このあと、お互いに責任のなすり合いで、罵り合うこと数十分。
車が完全に落ちた事のある人はわかると思うが、こうなったらもうどうやっても動かない。
「だめだ。除雪車が来たら、助けてもらおう。」と完全に諦めるオヤジに対して、かみさんは、半分切れながら、「このままで置いておくことはできないでしょ。」と、完全にケンカ状態と化した。
諦めて家に戻ろうとしたオヤジであるが、かみさんは相変わらずに吹雪の中、徐雪を行っている。
まさか、かみさんだけを置いておけないので、オヤジもシブシブと再び除雪を始める。
ひざ下まで埋まっている道路の雪を2メートル以上除雪した後、、オヤジは再びミラ・イースに乗り込んだ。
今度は子供達とかみさんに、ミラ・イースを押すことを命じた。
が、無情にもミラ・イースの前輪は再び虚しく空転し始めた。
「やっぱり。だめた。」と、オヤジは諦め、今度はかみさんが運転しオヤジが押すことにした。
「ワン!!ツウ!!スリー!!」オヤジの掛け声と、ともにかみさんはミラ・イースのアクセルを思いっきり吹かした。
テクニックもへったくれも無い。ミラ・イースの前輪はただ闇雲に空を切るばかりであった。
雪道脱出のカギは、車の揺さぶりにある。
少し前に出て後ろに戻ってきたところを見計らって、再び揺さぶりをかける。
グオン!!グオン!!グオン!!
ミラ・イースのエンジンは吹雪の中、空高く響いいた!!
どれくらいの時がたったことであろう。タイヤから少しづつ反応の違う音がではじめ、やがて、ミライースは少しづつ凍った坂道を登り始めた。
「いまだ!!思いっきり押せ!!」と、オヤジは子供たちに号令をかけた。
その瞬間!!雪道に埋まっていたミラ・イースはようやく重い腰を上げて、ノロノロと駐車場に登っていった!!
「やったーー!!」と、みんなの歓声が吹雪の大空に響いた。
「やった!!やった!!オヤジよりも私のほうが運転がうまいんだ!!」と、何も知らないかみさんは、オヤジに向かって無邪気に言い放った!!
「クソッ!!」
これでまた一つ、かみさんに頭が上がらなくなったオヤジであった。
_| ̄|○ ガックシ!!