「それでも走り続ける2.」クラブ・ミッド・ナイト サードナンバー 隊長さん セカンドストーリー | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

プロローグ


1 「首都高クィーン」



最近、首都高をテリトリーとしている、走り屋の中で、ひとつの噂になっている話。


「いくら、おまえのバイクが古いって言っても、1100ccのチューンド・カタナだろ?それを抜かすのは、眉唾な話だろう。」

「後ろから来た。と思ったら、あっという間に抜かされたんだよ。しかも、そいつは400ccクラスのバイクだったよ。」


 彼らの話をまとめてみると、首都高の水曜日の真夜中、1台の400ccクラスのバイクが、リッタークラスのバイクを相手にバトルを挑み、抜かしていくという話であった。

 

 そのバイクのトップスピードは180km/hで頭打ちになるので、張り合ったバイクは直線では抜かすものの、コーナーで必ず抜かされていく。ということであった。

 しかも、その乗り手のヘルメットは漆黒のシンプソンで、両サイドに真っ赤なバラのイラストが描がかれ、そのライティングスタイルから、どうやら女性であるということであった。

 その為、いつしかバトルで負けたライダー達からは彼女の事を「首都高クイーン」と呼びようになった。




「総長。自ら出撃だけはおやめください。」

「俺たち、紅(クレナイ)のメンバーがその女に負けたままで言い訳がないだろう。」

「やられたらやり返す。それが俺たちの主義だろうが!!」

クラブ・紅(クレナイ)の総長である、崎 大輔は部下である男を叱りつけた。


「俺のマシン(ZX-10R)を用意しろ。そして、その首都高クィーンと呼ばれる女は誰なのか、徹底的に洗い出せ。」


 崎が作り上げた紅(クレナイ)は首都高をテリトリーとする、速さを売りにしているクラブであった。

各ステージで最速の走り屋達を見つけては挑み叩き潰していき、いつしか、紅(クレナイ)は 首都高最速ランナーと呼ばれていた。




 先週の水曜日、クラブ・紅(クレナイ)のメンバーの一人である、チューンド・カタナに乗る男がクィーン

に抜かされ、その噂がたちまちのうちに走り屋達に広まっていった。


「神崎 麗羅(レイラ) マシンは真っ赤なHONDA CB400SF。そいつが、クィーンと呼ばれる女なんだな。」


紅(クレナイ)の情報網により、首都高クィーンと呼ばれる人物が判明した。

「よし、今度の水曜日の12時に、この紅(クレナイ)の崎がクィーンを撃墜する。と周りに広めておけ。」



 翌週の水曜日。PM:10:00


「やはり行かれるのですか?」

「ああ。コイツと公道で走るのは久しぶりだな。」

紅(クレナイ)の総長である崎は、充分に暖気されたZX-10Rに跨り部下である男に言った。

「公道での走りはレベルが低いから、今はこいつ(ZX-10R)はサーキットオンリィになっちまったが、やはり今でも公道でのバトルは血が騒ぐよ。」

彼のマシン(ZX-10R)は 真っ黒なカラーリングにクラブの証である紅(クレナイ)の刺繍のエンブレムをつけていた。

「やられたら、やりかえす。これが俺たち紅(クレナイ)の掟だ!!」そう言い残して、崎はZX-10Rのクラッチを静かにつなげた。


 ドーゴーーーン!!


 レース仕様のZX-10Rの図太い排気音がいつまでも木霊していった。



AM:0:00


崎は高速道路の緊急避難帯で1台のバイクを待っていた。

遠くから甲高い集合管の音がする。

「やつだ!!」

そして、それはすぐに、崎に向かって近づいて来た。

「!」

  あっというまに崎の横を通り過ぎる赤いマシーン。


それを認めた崎は一気にZX-10Rを加速させた。

急激なパワーにマシンは舗装にも関わらず、リァタイヤが左右に振れる。

暴れるマシンを強引にネジ伏せて崎は、遥か彼方の赤いCBを追いかけていった。


 直線では排気量が2.5倍ある10Rがパワーに物をいわせ、みるみるうちにCBに近づいていった。

「クィーン!!あんたも不運だな。このレーサーあがりの崎様が来たからには、もうおまえの不敗伝説も御終いさ。」


 クィーンのCBはトップスピード180km/h前後で頭打ちを始めていた。その横を圧倒的なパワー差で抜かしていく崎。


 空がいっしか湿りを帯びていた。

ピカッ!

一瞬、前方で眩しい閃光が走った!!

それをきっかけに雨が降りだした。


 崎のシールドが雨で視界が不良になり、アクセルをおもわず緩めてた瞬間、その横を再びクィーンのCBが抜かしていく。

「クソッ!!」崎は舌打ちを行い、再びアクセルを吹かす。


 ZX-10Rの大パワーが災いして、一瞬後輪が空転を起こす。

そして次の瞬間、崎のZX-10Rは大きく蛇行し始めて暴れ始めた。


 暴れるマシーンを沈めた時には、クィーンのCBは遥か彼方に去っていった。


「クソッ!!俺様が負けるなんて!!。神崎麗羅(レイラ)。この借りは必ず返すからな!!」


崎の瞳は怒りに燃えていた。


それから、クィーンと呼ばれたライダーは2度と首都高には現れなかった。






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