「それでも走り続ける」エピローグ。 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車




 怜(レン)がレース活動から引退してから数年後がたった。

「怜(レン)お前、まだバイクなんか乗っているのか?」
「お前と一緒に走った仲間はみんなもう、バイクは降りているぞ。」
「お前もそろそろ、もう大人なんだからバイクなんか降りろよ。」

そんな、仲間の言葉を軽くかわしながら、怜(レン)は自分の愛機ZXR1200を駆り、進藤の墓を目指して走った。

進藤家、墓前にて。

「進藤先輩。あれからもう数年が経ちました。あなたの、奥さんの美里さんや娘さんの優奈ちゃんは、故郷の北海道で元気に暮らしている。と聞きます。」

「僕と涼子は相変わらずの仲です。」

「進藤先輩の事があり、あれからいろいろとありました。俺、最近思うのですが、バイクは、いや、公道で走る全ての乗り物は、ルールがあって始めて走りが守られているんですよね。」
「それが破られると、その代償が命を落とす。ということにつながるのでしょうね。」
「そしてその相手が、自分や他人に無作為に訪れるという事なんでしょうね。」


 しばらく、進藤の墓に頭を下げた怜(レン)は、再び、進藤に話しかけた。

「最近、俺、ちよっと気になる人のブログを読んでます。」

「その人の名前は先輩の幸(yuki)と同じ名前の人でした。」
「彼は始めて大型自動2輪の免許を取得して、その年、あなたと同じZX-14Rを購入しました。」

「俺、初めは免許初心者なのに、随分、無謀な人だと思いました。」
「本当は、バイクを甘く見ているから、彼のブログを読んでて少しばかし腹が立ちました。」

「案の定、彼は数回の運転で転倒を起こして、14Rを乗るのをその年は止めました。」
「少しばかり金のある親父が、流行りでバイクを乗り回しているんだなぁー。と、その時、そう彼を思っていました。」
「だから、彼がバイクで転倒して、14Rを乗るのを止めたと知っても、全然気にもしませんでした。」
「だって、単に流行りでバイクに乗っている奴なんて、一回、痛い目に会えば、もう2度とバイクなんかに乗らなくなりますから。」


「彼は次の年、今度はあなたが乗っていた同じバイク、ビューエルに乗り換えて、バイク復帰を果たしました。」
「そして彼は先輩と同じ用に自分のバイクをレディと名づけていました。」

「彼はクラブ・ミッドナイトの総長。と呼ばれているんですが、彼のクラブの入会条件は、決して夢をあきらめない男達。なんです。」
「先輩が俺によく言っていた言葉、そっくりなんです。」

「何だか、俺、彼のブログを読んでいると、先輩に会っているような気がするんです。」

「俺、まだ、バイクに乗っていいんですよね?」
「俺、まだまだ走り続けていいんですよね。」

「それでは、また会いに来ます。進藤先輩。」

怜(レン)は進藤の墓前に深々と頭を下げた。


数日後・・・・・・・

「こんばんは。yukiさん。僕もクラブ・ミッドナイトに入会できますか?」


 yukiからの返事はすぐに来た。


「こんばんは。所長さん。お返事ありがとうございます。」


彼、霧島怜(レン)。ブログの名、所長は、この日から、クラブ・ミッドナイトのセカンド・ナンバーを名乗りだした。


      「それでも走り続ける。」


    クラブ・ミッドナイト・セカンドナンバー。

      所長。サイド・ストーリー。


             完







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