「それでも走り続ける。」4 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 さて、妄想小説への暖かい励ましがまたまた届き、豚もおだてれば木に登り、オヤジもおだてれば、ものを書く。ということで、まだまだ続きます。というか、もう話は後半戦なんですが・・・・・・



前回、主(あるじ)さんからのコメントで、


仕事中の暇なときにこういう事を考えているのですか??

その場の思い付きでは書けませんよね~~


と書かれていたのであるが、実はまったくの思いつきだったりするのである。

この話を書き始めて、10分ぐらいでもう勝手にキャラが動きだすのである。


だから、オヤジもこの話の流れを知るのは、読者の方々よりもほんの数分前の、話を書き上げたときであるのだ。


そんな、馬鹿な!!と言われても、本当の事なので、ウソをいっても始まらない。


普通は物語は起承転結と考えていくのであるが、オヤジの場合は、主人公の配役を決めるぐらいで、後は書き始めを考えているぐらいなのだ。


「怜(レン)。私たち、別れましょうか。」という最初の言葉以外は全然考えてはいなかったのである。


怜(レン)の先輩役の進藤幸(ユキ)とは、実はオヤジの小説を書くときのペンネームである。


 その為、もともとは国際級のライダーの片山役にでも出させようとしたら、いつの間にか怜(レン)の先輩役でこの話の大切な役を請け負っていたり、恋人の涼子は本当は、怜(レン)と別れたままで戻ってこない設定であったのだ。
 

 更に更に、進藤の奥さんや娘の優奈なんて、全然出てこない設定だったのに、いったい、こいつらは勝手に話を作り上げていって、話を書く方のオヤジはてんてこ舞いにあっている最中である。

まあ、実は妄想小説、第三弾の「優奈(ユウナ)の夢。」の軽い伏線だったりしているのだが・・・・・


(えっ!!オヤジ!!お前、まだまだ妄想小説を書くつもりなのか???・・・・これでは、毎日が睡眠時間を削っているから、体が・・・・もたん・・・・・)


 まあ、書いているオヤジ本人がこの話の結末を一番知りたがっているので、もう少しの間、怜(レン)とのお付き合いをお願い致したい。




「それでも走り続ける。」4


10 進藤と共に。



怜(レン)の相沢へのアタックは執拗に続いた。しかし、ニュー・ハヤブサを手に入れた相沢は、なかなか怜(レン)を前に出すようなことはなかった。


「霧島!!。もともと、俺はマシンに恵まれなかったんだ!だから、昨年はお前の後ろに甘んじていたが、今年は違うぞ!!」

「この世界最速のハヤブサを手に入れたからは、お前なんか目じゃないぜ!」


「やっぱり、強ぇーな。奴は。伊達にハヤブサに乗っている訳ではないな。」

怜(レン)はヘルメットの中で、歯ぎしりを行った。


130Rからカシオトライアングルを抜けて、最終コーナーへ。


怜((レン)の14Rが相沢のハヤブサの外側からかぶさっていく。


「霧島!!お前はもう終わりだ!!」


相沢の乗るハヤブサが半車線分、霧島のラインに車体をかぶせた。


コッン!!


軽くカウルが接触し、怜(レン)の乗る14Rが大きく外側に弾き出された。


「ハイサイドかっ!!」

「霧島!!コース・アウトーーッ!!かろうじて転倒はまぬがれましたが、ランオフ・エリアに大きくはじかれました。」


 場内アナウンスが、怜(レン)のコースアウトに対して、残念そうに言った。


怜(レン)のコースアウトに、顔が青ざめる涼子。

「いや、絶対に目を伏せたりしないわ。走る怜(レン)をここで見るために、私は帰ってきたんだから。」

 ホームストレートを走り去る怜(レン)を真っ直ぐに見つめる涼子。



「くっそーーー!!!」


 ヘルメットの中で怜(レン)は自身に対して怒っていた。相沢の動きからすれば、自分がはじかれる事を予知出来たからだ。

 相沢は先ほどの怜(レン)の失速で、遥か彼方に先行していた。


「どうする。やつに追いつくには一体どうしたら良い?」

怜(レン)は焦り出してきた。


(レン!!一体何、チンタラ走っているんだ。)


と、その時、怜(レン)に進藤の声が聞こえたような気がした。


(俺のレディのポテンシャルはそんなものではないぞ!!)

(もっと、レディを信頼してアクセルを開けてやれよ!!)


「進藤先輩??」


(俺に付いてこいよ。レン!!)


その時、怜(レン)は進藤の幻を見たような気がした。


「わかったよ。レディ!!お前を信じるよ!」


怜(レン)は更に14Rのアクセルを振り絞る。


ドゴーーーーーーン!!


漆黒の14Rは更に力強いエキゾーストノオートを吐き出し、加速し始め出した。


タコ・メータがレッドゾーンに入り込むが、まだまだ加速はやめない。


メイン・ストレートが終わり、みるみるうちに100Rの第一コーナが現れる。


激しいブレーキングで、フロント・ホークはボトムし始め、急激にスピードを落とす14R。


いつしか、怜(レン)は相沢への憎しみを忘れ、昔、進藤と共に走った事を思い出していた。


始めて進藤に誘われて、サーキツトを走ったあの日。進藤に引っ張られて走ったあの安心感。


怜(レン)は今、進藤と共にサーキットを駆けてると思った。


そして、いつの間にか相沢の数秒後方に付いた。


「くそっ!!しぶとい奴だ!!自滅したんでなかったのか!!」


バックストレッチから130Rに向かう相沢。


その時、最終コーナーでは1台の後続車が転倒を起こしていた。


「おい!!あの転倒車。トップグループのコースにかぶさっていないか!!」


観客が騒ぎ出した。


カシオトライアングルを抜け、最終コーナーにイン・ベターで突入する相沢。


怜(レン)は進藤の幻を追いかけ、アウトから突入。


「バカか!!霧島!!最終コーナーはインから入るのが常識だろうが!!」


一瞬、相沢は霧島の姿をとらえるために後ろを振り返った。


「!」


最終コーナーを抜けた相沢が見たものは、自分のコース上に横たわる転倒車であった。


「ゼッケン10番!!相沢ハヤブサ!!クーラッシュ!!後続の転倒車に接触!!」


場内アナウンスが絶叫に近くなっていった。

「それにより、2位に浮上したのはZX-14Rを駆る、霧島怜(レン)!!」

「国際ライダー、片山にとんでもない伏兵が現れました。」

 

トップを走る片山を追う怜(レン)の耳に、


(なあ、レン。もう、これでひとりで歩けるだろう。オレがいなくても大丈夫だろう。)

(じゃーな。これで、本当にさよならだ!!)


と、進藤の声が聞こえた。


「進藤先輩・・・・・・」


怜(レン)は多分、自分は泣いているのだろう。と思った。

涙は出なかったが、心でが泣いているのだと。


「ありがとうございます。進藤先輩。」

「俺、これからは、もうあなたを追わないでひとりで歩いて行けます。」



5に続く。




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