地平線の彼方に~ スピン オフ ストーリー ファイナル。 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車


 網走刑務所。



8月23日

AM 7:30


 猛烈な尿意でオヤジは目覚めた。トイレに駆け込み、一息入れた後、隣の主(あるじ)さんを見る。

彼はまだ寝ているようだ。


 オヤジはそっとベットから抜け出し朝ぶろに向かった。


熱いお湯がみるみるうちに眠っている体を目覚めさせた。

 約、30分ほどお風呂につかり、オヤジは自分の部屋に戻った時に、主(あるじ)さんは目覚めたらしく、テレビを付けていた。

「そろそろ、食事にいきませんか?」

「はい。そうですね。」


ということで、朝食はまたしてもバイキング。
真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!

「うぁーーッ!!朝もバイキングですか!!」と、驚く主(あるじ)さんの声。

(ふふふ。そうなんですよ。主(あるじ)さん。食いしん坊のオヤジはバイキングのやっていない宿は行かないのだよ。)


 満腹になって部屋に戻る二人。


「さあ、今日は網走刑務所の資料館を見るから、ウトロのガソリンスタンドで給油して、一気に70km先の網走に向かいましょう。」

「はい。わかりました。」


ということで、さっさとホテルの支払いを済ませる。

ホテル代、13,000円+ビール代1,580円。(仲良く2杯ずつ夕食時に飲みました。)


 今日も暑い。

分厚い革のバトルスーツが、異常に重く感じる。
真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!
 知床第一ホテルの駐車場にて。



AM 9:30 ガソリン給油後、ウトロ発。 ガソリンは1,381円、約8L入る。


帰りは一気に70km先の網走に入るので、休憩なしてコンスタントに走りだす。


網走に着いたので、網走刑務所資料館への近道を走る。

 これが、のちに主(あるじ)さんに大迷惑をかけてしまう事になるのだが・・・・・


 網走の天都山の頂上付近の登り坂道の一時停止の時に、オヤジは発進時、力が入らなくて少し後退、そしてそのままエンスト。更にシフトが1速に入れてないでカラ吹かし。という大失態を犯してしまう。

(やばいなぁーー。そろそろ、体力が落ちてきた。集中力も途切れてきた。)と、思いながら走り、ようやく網走刑務所資料館に到着。


AM 11:00



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 入館料は一人1,050円。


30年前にこの資料館に入った時は昔の刑務所の建物だけで、何もなく1,050円は少し高いなーー。と、思っていた。

 以来、オヤジの中ではこの資料館は入館料が高い。というイメージが付いていた。


 中に入る。

 何だか記憶の中にある建物とぜんぜん違う。というか、色々な建物が並び、それぞれが見どころ満載であった。

 これなら1,000円もとられても納得できるなぁーー。

間違った認識をして、すまぬ。すまぬ。


 もちろん、旧網走刑務所、現網走刑務所の中の様子を見れた主(あるじ)さんは大感激していた。



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刑務所を脱獄する様子の白鳥由栄(しらとりよしえ)の人形が、屋根に飾られていた。



 ここで1時近くまで刑務所内の見学を行う。



駐車場に戻る2人。

刑務所の話しや、駐車場に停めている、他の人のバイクの話。

まだ話は尽きない。


一通り話が終ると、不意に沈黙が二人に訪れた。


「そろそろ、ここでお別れですね。僕はここから戻ると15分ほどで帰れます。」

「主(あるじ)さんはこの下の道を下ってから右に向かって下さい。そうすると、網走を抜けることが出来ます。」

「はい。そうですね。ここでお別れですね。」


 オヤジは不意に涙がこぼれそうになり、あわててヘルメットをかぶり、出発の用意をした。


先に主(あるじ)さんが走り出す。

続けてオヤジが後を追う。



 網走刑務所資料館を出て、左に向かい下の道にでようとしたら、主(あるじ)さんは、資料館の前で少し迷い、おもむろに右側を走り出した。

「違う!!主(あるじ)さん!!左を走って下の道を下ってから右だよ!!」

とオヤジは叫んだが、すで遅かった。

(しまった!!近道をしたから主(あるじ)さんは下の道は知らないんだ!!)と、悔やんだが後の祭りであった。


 まあ、いいさ。道はどこにでもつながっている。

 バイクに乗るということは自分の意志で走る道(人生)を決めて行くんだ。


 遠ざかる主(あるじ)さんの後姿を見ながら、オヤジはふとそう思った。



彼の旅はまだ続いていく。



行先ははるかかなたの北の果て、宗谷岬を目指しながら。



エピローグ。


一路、オヤジは帰路に着いた。飛ばせばわずか15分の場所だ。


途中、対向車を無理に追い越しした軽自動車が、オヤジのバイクに向かってきた。

「危ない!!危ない!!ツーリングは家に着くまでがツーリングだ。」

オヤジは気を引き締め、レディ9のアクセルを吹かした。


「ただいま!!」


誰もいない家にオヤジは声をかけた。


そして、仕事中のかみさんに「無事、帰宅。」のメールを送った。


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「オ・カ・エ・リ・ナ・サ・イ」と、帰ってきたメールがオヤジの胸に優しく響いた。



あとがき。


全走行距離 281.9km。

 

 普通の人にしたら大したことなない距離のツーリングです。しかし、30分も走れば、ゼイゼイと息の上がるメタボオヤジの生まれて初めてのツーリングでした。


 その為、昼からは気が付いたら、やはり疲れでソファーで気絶していて、夕方になり仕事から帰ってきたかみさんに起こされてしまいました。


 それから、ようやく体が元に戻るまでまる2日間かかりました。


 多分、体力の無さでこれからはツーリングは、もう二度と無理だと自分で実感しました。


 オヤジの生涯ただ一つのツーリングを楽しい思い出にして頂いた主(あるじ)さんに、心よりお礼を申し上げます。

 また、事故もなく無事に北海道ツーリングを続けられ、楽しい思い出を沢山作ってください。


2013年、8月、25日。


オヤジの生涯忘れられない思い出より。



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