地平線の彼方に~  スピン オフ ストーリー 第一部。 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 地平線の彼方に~

これは、ブログ上で付き合いのある、東京に居住の主(あるじ)さんが、8月18日から10日間ほどの北海道ツーリングのタイトルである。(しかしこの段階では、まだ彼はツーリング中であるが・・・・)

 もし、よければ、彼が帰宅後のブログを読んで頂ければ幸いである。



 この物語はオヤジが主(あるじ)さんと合流し、日本最後の秘境と言われる知床に行くという、おそらくオヤジの生涯で最初で最後のツーリングの記録である。



8月22日に午前9時。


オヤジは一つの懸念を抱いていた。

人は初対面の印象で、その人を決めてしまう。


 良い人だ。と思えば、その人とすぐに仲良くなれ、あまり付き合いたくない。と思えば、いくらその人の良いところを見ても、決して好きになれないのだ。

 これは50年以上生きてきたオヤジの体感だが、多分、ほとんどの方が感じている事であろう。


いくら1年以上もブログ上でお付き合いをしている方だとしても、果たして初対面で仲良くなれる物だろうが??

 年をとったオヤジは人間関係に少し臆病になってきたようである。


 遠くからSS特有の排気音が聞こえてきた。

「来た!!。主(あるじ)さんだ!!」

オヤジの心は高鳴った。

数分後、主(あるじ)さんは、オヤジの前に現れた。

「初めまして。主(あるじ)です。」

彼は人なっこい笑顔で、オヤジの前に手を差し出した。

オヤジは主(あるじ)さんを見て、いっぺんに彼の事が好きになった。

「始めまして、オヤジです。」



「あんた。本当にこのジャンバーを着ていくの?いつもこのジャンバーを着て、バイクに乗った後は、ソファーで気絶しているでしょ。」玄関から出てきたかみさんは、オヤジのバトルスーツを見て、心配そうにオヤジに尋ねた。

「ああ。これは俺の戦闘服だ。バイクを乗るときはこいつと決めているから、だから今回もこいつで行くよ。」

かみさんの心配をよそに、こうしてオヤジと主(あるじ)さんのツーリングが始まった。

 

 走り出してからすぐに、オヤジはレディ9を路肩に寄せた。

「オヤジさん。もう疲れたのですか?」

心配そうに主(あるじ)さんが寄ってきた。

オヤジは黙って、ひとつのところを指さした。


真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!

ここはオヤジの住んでいる近くにある有名な場所である。


多くのカメラマンや、画家がこの風景をテーマに作品を作られている。

「ここは、この辺で有名な場所なので、良かったら写真を撮ってみてください。」


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 早速、デジカメを取り出す主(あるじ)さん。後ろの赤いバイクが主(あるじ)さん自慢のHONDAのSS、MASAMUNEマ君だ。

ちなみに、主(あるじ)さんのブログを読み、オヤジも初代ZX-14Rをレディ、この2代目ビューエルXB-9Sをレディ9と名付けている。


数分後、オヤジと彼はまた走り出した。


つぎの目的地は、

網走と言えば網走番外地で有名な網走刑務所。


ここは殺人犯や思想犯が入っていたという、日本有数の凶悪な犯罪者の入る刑務所である。


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 残念ながら受刑者の個人保護の為、写真は禁止の事なので、ここからの画像のみである。

主(あるじ)さんと網走刑務所の門を見ていたら、彼は「網走刑務所の中が見たかったな。」と残念がっていた。

「そう?それなら、明日、見に行こうか?」とオヤジは彼に聞くと、

「中が見れるんですか?」と喜んだ。

「ああ。網走刑務所の資料館が近くにありますので、明日案内しますよ。」

「今日はかなり走りますから無理なので。」

「はい。是非、お願いします。」


ということで、次の目的地は網走駅。

 普通の駅の看板は横かきの看板であるが、この網走駅の看板は縦書 という、多分日本でここだけという看板である。


網走駅の看板が縦書きなのは、出所した元受刑者が横道にそれることなく、真っ直ぐに歩んで生きて行って欲しいとの願いが込められている。



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 急ぎ足のツーリングの為、お互いヘルメットをかぶりながらの観光である。


「次の目的地はオヤジのブログに出てくる湾岸を抜けて、日本一、海に近い駅で有名な北浜駅です。」

「ここから、ネズミ取りが要る場所が何か所かあるので、その時は左手で合図しますので、スピードを落としてください。」

「はい、わかりました。」


そして、オヤジは先行して湾岸線に乗り出した。


 今まで60キロで淡々と走っていた2台であるが、2車線の曲がりくねった湾岸線に入ると、本来の性能を発揮すべく、排気音が変わった。

 主(あるじ)さんのバイクはHONDAのSSバイク。そして、オヤジのバイクはそのSSを喰うSSイーターである。

 

 クォーーン!!という甲高い排気音とドゴーーン!!という図太い排気音の連奏が湾岸線に木霊する。


町はずれのいつもネズミ取りのやっている場所に来た。

オヤジは左手を真横に向けて、後続を走る主(あるじ)さんに、ネズミ取りをやっている場所を指示した。


そして、北浜駅に到着。


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 ここが日本一、海に近い駅と言われる北浜駅である。

駅から出たら、数百メートルですぐに海が現われる。


「主(あるじ)さん。燃料は大丈夫ですか?」

「そろそろまずいです。」

「わかりました。後、30分も走れば斜里町に着きます。そこでガソリンを補給しましよう。」

「はい。わかりました。」


 我が愛機レディ9は60キロで淡々と走ると途端に機嫌が悪くなる。

60km/hで淡々と走れば、HD譲りの大型Vツインのエンジンは、シャクリはじめ、車体がギグシャクとなってくるのだ。

オヤジは警察のいない場所で、5速からアクセル・オンを繰り返した。


ドコーン!!という図太い排気音を上げて、レディ9は加速を行う。

目が付いて行かない。たちまち前走車に追い付く。


 斜里町で主(あるじ)さんのバイクの燃料補給。そこのガソリン・スタンドで10分ぐらい休憩とする。


 今日はすこぶる調子が良い。いつもクソ重いバトルスーツも、今日はやけに軽く感じる。

 公道上でバイクに乗る時に、この分厚い革のプロテクターを身に付けると、無敵になった気がする。


「さあ。これから日本最後の秘境の知床と言われるウトロです。あと、40キロほどですから一気に向かいましょう。」と、オヤジは主(あるじ)さんに言った。



 途中、オシンコシンの滝で一休み。



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「すごいです。マイナス・イオンが一杯です!!」と感激する主(あるじ)さん。


 ここで、ハーレーのロゴが入ったヘルメット、ハーレーのジャンバーと全身ハーレーグッツで身を固めた、ハーレー乗りの親父と遭遇。

オヤジのビューエルを見向きもしないで、主(あるじ)さんと話し込んでいた。

(いくら、ビューエルが安いと言っても、一応、ハーレーの兄弟だから無視しないでょーーーー。

・(ノД`)・° エーーン!!)と、心の中で叫ぶオヤジである。


 これから、このハーレーの親父は常呂に停まって、次の日に宗谷岬に向かってから、2日後に苫小牧

から本州に帰る。という事であった。

 地元組のオヤジとしては、かなり無理な日程だと思った。(事故らないでよーーー。)


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30分ほど話し込み、いよいよ目的地のウトロに向かう。


ここからの湾岸線は天気も良く、気持ちがいい。


 ここでもオヤジはレディ9の欲求を晴らすべく、時折、5速からのアクセル・オンで、急加速を行い前走車に追い付き、レディ9のウサを晴らした。

 その間、主(あるじ)さんのマサムネ君はマイペースで走っていた。と思うと、いつの間にかオヤジの後ろにへばりついていた。


 12:00頃にオヤジと主(あるじ)さんは、無事にウトロに着いた。
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 ウトロの道の駅にて。


ウトロの道の駅の隣の、ネィチヤーセンターで少しの間、二人で中を探索。
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PM 12:30


「ますは昼食にしましよう。」


ということで、近くの食堂で海鮮ラーメンを食する。
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横の皿はエビの殻入れであるが、二人とも殻ごとバリバリと完食。

海鮮のダシがとても利いた美味しいラーメンでした。

一人前、850円也。


PM 1:00

「そろそろ、次の場所に向かいましよう。」


次の場所とは、ここから30km離れている羅臼(ラウス)町である。

(ラオウではないのよ。ラウス町なのよ。)


 今日はウトロから知床横断道路を使い羅臼に抜けて、再び横断道路を使ってウトロに戻ってきて終了。という日程であった。


 知床横断道路。この道路は9月の後半になると、夜は路面凍結の為、昼の4時以降ぐらいから道路が閉鎖され、まともには1年で3か月ぐらいしか開通していない道路である。


 主(あるじ)さんは、羅臼町につながっていく、知床横断道路を走りたくて、北海道に来た。と、言っても過言はなかった。


「実は主(あるじ)さん。本当は、オヤジの旅はここまでなんだ。予定ではもっと休憩をしながら、3時ごろにウトロについて、オヤジはここで体力が無くなるので先に宿に入って休んで、主(あるじ)さん、1人で羅臼に向かってから、引き返して来てもらう予定のつもりだったんだよ。」


「そうですか。良いですよ。オヤジさんは先に宿で休んで下さい。これからは、僕一人で走ってきます。」

と、少し寂しそうな主(あるじ)さんの顔があった。

「しかし、今日は何故か奇跡的にまだ体力が持っているし、肝心なバトルスーツもまだ軽い。」

「それでこれから主(あるじ)さんと一緒に羅臼町に向かいます。」

と、オヤジはニカッとした明るい笑顔で主(あるじ)さんに答えた。


 しかし、その後、この知床横断道路を超えることが、今の二人にとってどれだけ危険な事なのか知る由もなった。


第2部に続く。

※今日はもう疲れたので、第2部は明日ね。





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