Jewel Song ー大切な詩(うた)- | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車




 全国的な夏日、オヤジの住んでいるここ北海道はいまだ冷たい雨が降っている状態であった。
昨日、今日と連休だったオヤジは愛機、XB9Sに挑戦すべく意欲を燃やしていたが、寒い日であったので朝からテンション下げMAXであった。

14日、いまだかってない厳しい冬の為に、デンデロリンとゴミ化したゴミ箱。

$真・キリンに憧れて!!                   最狂伝説!!


「あなた。こんなみすぼらしいゴミ箱なんて、近所から笑われるわよ。」
「いつ、直すの?今でしょ!!」


 という、流行の言葉をかみさんから聞きながら、オヤジは寒い風が吹く中、ようやく重い腰を上げた。

 このゴミ箱はこの家に引っ越ししてから、必要にかられてオヤジが自分で作ったものである。その為、修理は心得ているので早速、ガレージから必要な木材を探す。


$真・キリンに憧れて!!                   最狂伝説!!


 しばし、外での作業。さ・さ・寒いよーーーっ!!せめてガレージみたいなところがあれば・・・・と、ふと見れば、ガレージはDT125しか入ってない。

早速、ガレージの中で、ゴミ箱のトビラ作りを開始する。
「おおっ!!やっぱりガレージだ!!風がこないだけ暖かい!!」
あらためてガレージの恩恵を浴びるオヤジであった。
 トンテンカンと悪戦苦闘すること2時間ばかし、ようやくゴミと化していたゴミ箱はもとに戻った。

$真・キリンに憧れて!!                   最狂伝説!!
$真・キリンに憧れて!!                   最狂伝説!!


さて、昼からはやっと、愛機ビーちゃんとのデート・・・・

と期待していたら、昼からは本格的な雨が・・・・・・・・・・・

_| ̄|○ ガックシ!!


くそっ!!勝負は明日だ!!


翌日15日。

この日も朝から雨が降っていた。
「くそっ!!せっかくの連休、雨かよ!!何もできないぜ!」とオヤジは毒つきながら空を仰いだ。
 今日も雨か。仕方がないからガレージの片づけでもしょうか。と思いつつ、ガレージの中に入るオヤジ。
 しかし、寒くて何もする気にもならない。

カーポートにある、XB9Sをみる。
そっとバイクカバーを外す。
あらためて見ると非常にコンパクトなバイクである。

ドクン!ドクン!!


オヤジはそっとXB9Sに跨ってみる。
「いいか。俺はエンジンをかけるだけたゾ!!今日は走らないぞ。」

イギニッション・ボタンを押す。


キュルキュルキュル!!

ドガン!!

ドカドカドカドカ!!



とXB9Sは辺りに爆音をまき散らす!!

バタバタバタバタ!!

 HD特有のこの音と振動に世の中のオヤジ族はやられたのか!!

 始めて乗った時は、この振動と音が非常に苦痛に感じ、一瞬購入したことを後悔したが、今日はどことなく違う感じである。


 「今日はどうせ雨だ。最初っから濡れて走るのも悪くないさ。」
エンジン音を聞いたオヤジはバイクに乗りたくて、いてもたってもいられなくなった。
早速、オヤジはシンプソンのヘッド・ギァーを取り出した。
 そっとクラッチを握り発進させる。

 バタバタバタ!!心地良い振動と有機的なエンジン音。
そうだ、こいつは詩(うた)だ。こいつは詩を歌っているんだ。
しばし、XB9Sのエンジン音に聞き惚れるOYAZI。

町を出て郊外ストレートに出る。5速!!OYAZIはアクセルをおもいっきし吹かす。

バタバタバタ!!相変わらずエンジン音はすごい音を立てる。

 曇りよけにシールドを開けているシンプソンに、強烈な雨の直撃を食らう。
「痛い!!痛い!!」
OYAZIはあまりの痛さに、思わずアクセルを緩める。
体は冷たい雨のせいで急速に冷えていく。

結局、隣町まで走って引き返すOYAZIであった。

帰り道、信号待ちの登り坂。
バタバタバタ!!青信号になり、オヤジは坂道発進を行う。
 その途端、大型V型2気筒特有の低速のシャクリ感でXB9Sはグラッと傾く。
「フン!!」

OYAZIは気合を入れてXB9Sを立て直す。
「おおっ!!軽い!!おかげで傾いたバイクを立て直せる!!」
14Rでは間違いなく、立ちコケを行っていたシーンである。

  そして前回の90度レフト・ターンにさしかかる。

思いっきりスピードを落とし、ハングオフ気味にバイクをバイクを傾ける。
「ぎょーーーえーーっ!!」
今度は傾きすぎる。

 こいつは半端なコーナリングでは倒しづらく、意識したコーナリングでは倒れやすくなるんだ。
 日本のバイクと違って、意識的なライティングが必要なんだ。

「うーーん。ビューエルねぇーー。面白いバイクだと思うよ。」

どのバイク屋もオヤジがこのバイクの事を尋ねると、オヤジを見て意味ありげにニヤリと笑いこう答えていた。(そうか。このことだったんだな。面白いバイクとは・・・・・)

雨足はどんどん激しくなる。

 OYAZIはこのまま帰る前に、前回、バイク免許を取ろうと考えていたKの職場に顔をだした。
 Kはやはりバイクの免許取得のお金の事で悩んでいたようだ。

「やあ。オヤジか?」
「おっ!!さっそくこいつの音を聞かせてくれよ。」

「ああっ。」

キュルキュルキュル!!
ハゴッ!!
ドカン!!

ドカドカドカドカ!!

XB9Sは早速、あたりに爆音をまき散らした。


「おおっ!!すごい音だな。前回のバイクよりもずっといい音でないか?」
「少なくても、俺はこっちの音のほうがずっと良く聞こえるよ。」


オヤジ族はやはりHDの音に共感するものがある。

友人KはXB9Sの爆音に感動していた。


「そうさ、こいつは俺に大切な詩(うた)をうたってくれる相棒さ!!」


(なあ、レディ・ナイン!!)

そう、オヤジは友人Kに答え、相棒のXB9Sを新たな名前で呼ぶのであった。


$真・キリンに憧れて!!                   最狂伝説!!

$真・キリンに憧れて!!                   最狂伝説!!




人気ブログランキング