キリンに憧れて 新章!! さよならレディ!! 最終話-1 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 数日前、かみさんが珍しく神妙な顔をしてオヤジ家の預金通帳を取り出してきた。


 度重なる散財、今日から母親の三回忌、家のリフォーム代の支払い(の予定)と続き、オヤジ家の財産は限りなく0に近くなっていった。


「預金も底をつき、このままいけば、一家で夜逃げか首をくくらなければいけません。」

おまけに米びつのコメも無くなりかけていた。


「うむ。わかった。」

オヤジはおもむろに携帯を取り出した。

「もしもし。E君か?こないだの話。まだ有効か??」

「ああ。オヤジか?ああ。本当にいいのか??」

「緊急事態が発生した。やむ得ないが、こないだの話を受けよう。」

「そうか。本当にいいのだな。」


この間の話とは・・・・・・話は半年前にさかのぼる。


 同級生のE君はXJR1200に乗っている。と話した時に、オヤジは免許を取り14Rを買ったのだが、転倒で左尻の筋肉を切断し、8月からバイクを乗らなくなった。という話をしたときであった。

「オヤジ!!もし、オヤジが14Rを手放す時は、絶対俺に売ってくれ。」と言われたことであった。彼の条件とはXJR1200+100万円の追い金で14Rを手に入れたい。という話であった。

 彼もまた14Rの毒気にやられたひとりであった。


「なあ。オヤジ!!オヤジはあの時、こうしとけば良かった?という事がいまだにあるか?」

「俺か?俺は14Rを手に入れたから、今は無いな。」

「俺はあるんだ。いまだにSSクラスのバイクを手に入れたくて、あの時妥協してXJR1200にしたことが悔やむことがある。」

「たったちっぽけな感情なんだが、未だに心のシコリとなっているんだ。」

 同級生のはそういってオヤジと別れたのであった。


 そして今日、急きょ彼がXJR1200を持ってきて14Rと交換、50km離れている北見市に二人でZX-14RとXJR1200のお互いの名義変更をすることとなった。


昨日まで陽気な春日和であったが、今日は春先には珍しく雪が降っていた。

 今日の予定をキャンセルした二人であったが、オヤジはこの後GWまで休みの予定が詰まっているので、朝9時ごろに彼に急きょ連絡をいらたのだが、やはり彼の携帯は音信普通となったいた。

「だめか?やはり事はうまく進まないのか?」

オヤジは彼との連絡諦め、午前中の用事を足し始めた。


10時ごろ、諦めきれないオヤジは再び彼に連絡。

「もしもし。オヤジか?今日は雪だから予定はキャンセルだろう?」

「ああ。そうだったが、実は俺は今日から母親の3回忌で3連休なんだ。俺も5月まで忙しくなるから、今日、お互いの名義変更をして、明日か明後日の天気のいい日にバイクの交換をしないか?」

「そうか!!それならお互い都合がいいな。」

「わかった!!すぐに用意する。」


 待つこと数十分。彼は必要な書類を持って、オヤジの前に現れた。

そして、彼とともにお互いのバイクの名義変更を行うためにオヤジは北見へ車を走らせた。







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